Twitterで教えて頂いた、加藤隆弘先生の著者『脳科学が精神分析と出会ったら?』。
早速購入し、先ずはざっと目を通しました。
ブレインフォグ等にも関係しているのではないかと注目され始めているミクログリア。
(前略)脳内にはニューロン以外にグリア細胞と呼ばれる脇役細胞たちが多数生息しています。ミクログリアはそのグリア細胞の一種で、昔の教科書には「小さいノリ」を意味する「小膠細胞」と記されていました。(中略)他のグリア細胞であるアストロサイトやオリゴデンドロサイトはニューロンと起源が同じ外胚葉由来細胞ですが、ミクログリアは中枢神経系では数少ない中胚葉由来細胞です。脳や脊髄といった中枢神経系に広く分布しており、脳全体の10%前後を占めています。ちなみに、ニューロンの数もミクログリアと同じくらいです。
代表的な中胚葉細胞は白血球や血中マクロファージといった血液の免疫細胞です。こうした細胞と同じように、ミクログリアは脳内における免疫応答細胞として重要な役割を担っています。(P.76-77)
ミクログリアは、ふだんは分枝型(ramified:ラミファイド型)として樹状に突起を伸ばし、脳内の微細な環境変化をモニターしています。ウイルス感染などにより脳内に異物が入ってくると、ミクログリアはそうした異物に敏感に応答し活性化します。活性化すると脳内の炎症反応の主役として,標的部位まで移動し(走化)、異物を食べたり、炎症性サイトカインやフリーラジカルといった物質を放出します。まさに、ミクログリアは「頭の中に火事を引き起こす」細胞なのです(図6-1)。
一九八〇年代以降、こうしたミクログリアの活性化が、多発硬化症やアルツハイマー病といった進行性の神経変性疾患の病態に関係するという知見が得られつつありました。(p.77-78)(図6-1は本をご覧ください)
もう、25年も前になりますが、髄膜炎に罹ったという姉を一人で見舞いに行き、もう病院からは出れないと感じるほど不安定な姿を見てしまいました。
そんな私を心配してか、看護師さんが、
「先生からお話しを聞きますが?」と言って下さいました。
でも、ようやく会えた先生は、ひどく不機嫌で、
「窓口はお姉さんの御主人一本にして下さい」と、いきなり怒られ、
「はっきり言って変ですよね。」と。
「変?」
「はい。脳炎を起こしていると思われます」
流石に、「変」という言葉にはカチンときましたが、喧嘩するだけの気力もありませんでした。
幸い、姉は退院して義兄との生活に戻ることが出来ました。
でも、私は、姉の頭の中に居続けているに違いないウイルスだか、菌だかが悪さをするのではないかと怖くてたまりませんでした。
月日の経つのは早くて、あと数年で姉が亡くなって20年。
そんな時に、この本は私の元にやってきました。
異物をやっつけてくれるはずのミクログリアが、「頭の中に火事を引き起こす」…。
第8章のタイトルは「反復強迫とミクログリアの活性化」。
強迫性障害の発症にも、最近よく聞く炎症が関わっているのではと思っていた私は、ストレートに答えが書かれていることを期待していましたが、そうではありませんでした。
けれど、他の章に、ストレスとミクログリアの活性化についても書かれていますし、これから、ゆっくりじっくり読んでいこうと思います。
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