強迫性障害で何が苦しいかといえば、ガスコンロの火が消えているか何度も確認したり、汚れがついているんじゃないかと延々手を洗い続けたりすることが、おかしいとわかること。

これはもう、心の問題なんかではないと感じる人は多いはず。

 

狂ってしまった脳と、狂ってしまったことがわかる正常な脳。

なぜ、そのことにもっと注目しなかったのか、なぜ、脳の3層構造に全く関心が持てなかったのかと不思議にさえ感じますが、脳を避けてきたのですから仕方ありません。

 

以下、ベッセル・ヴァン・デア・コーク氏の著書、『身体はトラウマを記録する』(紀伊國屋書店)を参考に少々強引にまとめさせて頂きます。

 

脊髄が大後頭孔から頭蓋骨の中に入ってすぐ上、脳の一番下にあるのは「爬虫類脳」。

この最も原始的な脳は、子宮内で発達し、生まれたときにはすでに稼働している。

基本的な生命維持、眠ったり目覚めたり、食べたり飲んだり、呼吸したり。

空腹や痛みなどを感じ泣くのも、この脳が受けもっている。

 

「爬虫類脳」を覆うようにその上にあるのは大脳辺縁系。

この大脳辺縁系は「哺乳類脳」と呼ばれ、 情動と記憶を専門とする。

爬虫類脳と異なりこの脳の発達は生まれてから本格化する。

上記の本には、

「大脳辺縁系はおもに誕生後6年間で構成されるが、使用依存様式で発達を続ける。トラウマは一生涯にわたってその機能に大きな影響を及ぼしうる。」(p,100)

と、書いてあります。

 

そして、最上層にあるのが「人間脳」とも言われる大脳新皮質。

新皮質のかなりの部分を占めるのが前頭葉で、このおかげで人間は、計画を立てたり反省したり、他者に共感したり、不適切な行動を抑制したりすることができる。

前頭葉は生まれて2年目になると急速に発達し始める。

上記の本には、

「前頭前皮質は最後に発達し、やはりトラウマにさらされると影響を受け、たとえば、関係のない情報を除外できなくなる。一生の間、前頭前皮質は脅威に反応して稼働を停止しやすい。」(p,100)

と、書いてあります。

 

爬虫類脳と大脳辺縁系によって形成される情動脳はに目や耳や鼻といった感覚器から入ってくる情報や全身から集まる体性感覚から、生命維持に脅威となる状況かどうかを即時に判断し、私たちが自覚する前に、ストレスホルモンを分泌し闘争、あるいは逃走する為の準備を始める。

それに対して、前頭葉(とくに目のすぐ上に位置する内側前頭前皮質)は、観察し予想し意識的に行動を選ぶことが出来、そのおかげで私たちは、情動脳にあらかじめプログラムされていて行動様式を固定する自動的な反応を、抑制したり、まとめたり、調節したりすることが可能になる。(p,105 )

 

主観的なまとめ方で申し訳ありません。

でも、もしかしたら、私のように乳幼児期のトラウマによって、前頭葉が情動脳を制御しきれなくなったことが強迫性障害の発症と関係していたのでは、と、思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか?

 

上記の本のページをめくり、下記の文章を見つけたときは、驚きとともに、やっとはっきり言ってくれる人に会えたと感じました。

大半の自己破壊的行動や、一部の強迫観念や強迫行為、パニック発作といった、精神医学的問題に分類される行動の多くは、もともと自己防衛のための戦略だった。トラウマに対するこうした適応は、ときに正常な機能を妨げる大きな障害となるので、医療提供者も患者自身もしばしば、完全な回復はとうてい望めないと思い込んでしまう。こうした症状を不治の障害と見なすと、治療の焦点が適切な服薬計画を見つけることに狭められ、トラウマサバイバーを生涯にわたって薬物に依存させてしまいかねない(以下略)(p,458)

 

 

奥多摩にて

 

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