全国で主に財政難を背景にした公民連携による施設の整備、運営が続々となされています。
公民連携とは、公と民間のメリットデメリットを生かし、コストの縮減とサービスの維持向上を図ることですが、私が常に問題だと感じているのが、いかにルール化できていないかということ。
民間資金を活用するPFI(プライベートファイナンスイニシアティブ=民間資金主導の政策)であれば、良くも悪くも民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)がありますが、それに拠らない「民間活力を導入する事業=PPP(パプリックプライベートパートナーシップ)」では客観性、透明性が常に主題になります。
そうした観点から公民連携に関する条例を提案し、成立して頂いたわけですが、総務省も同じような観点から調査をしているようでその調査を読み解いてみます。
民間活力を導入した事業でPFI法に拠らない事業は全国32事業(調査平成23年3月1日時点)
アンケートによると、なぜPFI法に基づかないと判断したのか
(出典:総務省地域力創造グループ地域振興室「地方公共団体によるPFI事業とPFI法に関する調査」調査報告書、平成24年12月より筆者作成)
民間資金を活用していないが19事業(65.52%)と多数
調査結果の概要
PFI法に基づかない民間活力導入の特徴
回答29団体の内、19団体がDBO方式(施設の設計、建設、維持管理、運営を包括的に民間企業に任せる)を採用します。
これは私が前回の一般質問でも取り上げた地方公共団体が市債や補助金等で資金を調達する従来手法と、民間企業が資金を調達するコストの差がネックとなっており、包括的に民間企業に任せ、総事業費を圧縮するが、明らかに安いと考えられる「資金調達」だけを公共が行う方が効率的という判断があったのでしょう。
それを証明するように同じアンケートの別の設問においてPFIや民間活力事業を検討する際に重視したポイントはという回答のナンバーワンが総事業費がどれだけ圧縮できるのか(30.86%)となっています。
ここから読み解くポイント
古い調査ですが、今でも結果を傍観すると、現在の庁舎などの建設手法はDBO方式が増えており、今でも通用すると思います。
事業自体の収益性に着目したプロジェクトファイナンスによる資金調達の観点からは、DBO方式では金融機関によるモニタリングが働かない
如何に効率的な事業を実現するのか
DBO方式は基本的にPFIが想定する民間資金を活用したプロジェクトファイナンスではないため、如何に運営や事後の検証をするのかがキーとなりそう
調査結果概要からの記述抜粋
包括的に企業グループに委ねることで、維持管理・運営を意識した設計が可能になり、総事業費の圧縮などの事務効率化が進むと共に、事務コストの削減に繋がると認識され、一方で資金調達という観点では民間資金を活用すると高くなり、補助金や交付金のような金利のかからない財源、更には起債という資金調達コストの低い財源を活用する方がよいという見方がある。
結果、民間資金を活用せずにPFI的手法を活用するDBO方式はいいところを組み合わせて事業費を最小化できるものと認識されているようである。
本来PFIは公共事業に民間資金と民間の経営を導入するという狙いでスタートしたものであったが、補助金や交付金、起債という既存制度がある中で、金利等によるコストを含めたVFMを比較検討した結果、民間資金が活用されないケースがある。
ポイント
金融機関にどのような役割を期待するのか
モニタリングは出来るのか。PM業務のリスク分担は明確化されているか
どのような理由で民間資金を活用するのか。総括出来ているか
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参考文献:総務省地域力創造グループ地域振興室「地方公共団体によるPFI事業とPFI法に関する調査」調査報告書、平成24年12月