日本初の図書館PFI、三重県桑名市の事例は多くの学びと示唆を与えてくれます。
桑名市は人口約14万人(H29年4月現在)、名古屋市のベットタウンとして知られるまち。
PFIの重要な概念、リスク分担は以下の通り。
項目 | 市 | PFI事業者 |
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責任者 | 館長設置 | 責任者必置 |
図書等の選定・収集等の方針 | 方針の決定 | 方針に基づく企画・立案 |
図書等の購入 | 提案による購入の可否決定 | 方針に基づく選定提案 |
閉架・廃棄 | 提案による閉架・廃棄の決定 | 方針に基づく選定提案 |
貸出・返却・整理・配架等 | ![]() |
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郷土資料・行政資料の収集 | ![]() |
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読み聞かせ等NPOとの協働 | ![]() |
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コンピュータ・ホームページ | ![]() |
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トラブル、苦情対応 | ![]() |
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図書等の盗難・紛失リスク | 簿価価格の0.3パーセント以内 | 簿価価格の0.3パーセント以上 |
職員数 | 6名 (内 嘱託3名、司書3名) |
延30名 (技術職を除き司書率95パーセント) |
技術革新リスク | 5年ごとに限度額も設けて双方で協議する | |
運営・選書等の方針 | 3年ごとに協議して見直す | |
瑕疵リスク | 契約書に定める要件ごとに双方が負う |
職員(全てを事業者に移転していない)は、ノウハウを一定蓄積したいという思いがあるのかも…
もう一つの重要な概念であるモニタリング(サービス水準の監視)への専門性の対応もあるかも…
旧図書館 | 新図書館 | |
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蔵書 | 約13万冊 | 約30万冊 |
面積 | 約1,000平方メートル | 約3,200平方メートル |
開館時間 | 午前9時~午後5時 | 午前9時~午後9時 |
開館日数 | 約270日 | 300日以上 |
比較は上記の通り。
開館時間、日数ともに直営ではコスト的に不可能ですし、指定管理を採用しなかったことも推察できます。
削減効果は
桑名市における今回の事業の主な削減数値をあげると、建設費16億7千万円、図書館運営6億5千万円、維持管理・修繕6億1千万円などで、事業全体では21億5千2百万円(約22パーセント)の削減効果がある。
リスク移転と思われるもの
財政負担の圧縮・支払い平準化(コスト効果)
30年間の図書購入費の確保
30年間の人材・人員確保
民間ノウハウ・アイデアによる運営
アベイラビリティ(利用可能性)=維持・運営(予防管理保全)
中村はるきの考えと視点
今回の事例検証で最も私の興味を惹いたのが、私が研究しているPFIのモニタリングで注目している事業者のモチベーションをどう保つかというクエスチョン。
優秀な事業者であっても、長期契約で緊張感を持続し、サービスの向上を図ることは大変ですよね。
アベイラビリティ・リスクを移転するというモニタリングと支払いの連動メカニズムを採用。
アベイラビリティとは、利用可能性=使用可能な状態を維持することを言います。
⬇以下は解説する前の参考文献から⬇
「いかに優秀な事業者であっても、緊張感を持続し、サービスの向上を図ることは大変である。このため、桑名市では、モチベーションを保つためのしかけを用意した。
それは、運営業務のサービス対価を利用者(注3)の増減によって変更する、というものである。即ち、事業者は、利用者が多ければ多くのサービス対価を支払ってもらえ、反対に利用者を多くする努力をしなければ最低の対価しか払ってもらえないことになる。」
桑名市立中央図書館PFIの学び
PFIは長期契約
PFIはモニタリングが大切だけど、サービスのモチベーション維持は大変
=日本初のPFIは「アベイラビリティ方式」を採用。
何をリスクをして捉え、サービスに何を求めるのかが一番大切
(出典:三重県立図書館「県内の市町村図書館・図書室紹介」よりwww.library.pref.mie.lg.jp/?page_id=95)
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参考文献:桑名市ホームページ「人口と世帯」
http://www.city.kuwana.lg.jp/index.cfm/25,52212,215,322,html
文部科学省「新しい形の図書館-PFI-(三重県桑名市立中央図書館) 」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06040715/016.htm