「新・陰陽師 瀧夜叉姫」

安倍晴明(中村隼人) 源博雅(市川染五郎) 平将門/村上帝(坂東巳之助) 瀧夜叉姫/如月姫(中村壱太郎) 興世王(尾上右近) 桔梗の前(中村児太郎) 俵藤太秀郷(中村福之助) 大蛇丸(中村鷹之資) 源八坊(市川青虎) 琴吹の内侍(市川寿猿) 式神密夜(市川笑三郎) 式神密虫(市川笑也) 藤原忠平(市川猿弥) 藤原実頼(市川中車) 三上山の山姥(市川門之助) 蘆屋道満(市川猿之助)他

 

今回の「陰陽師」は歌舞伎味の濃い、澤瀉屋ならではの3Sの楽しさに溢れつつ、日本史の暗い部分に思いを致さずにいられない見ごたえのあるドラマだった。巳之助さんと壱太郎さんが骨太な演技で、虐げられた人々の哀しみを表現して素晴らしかった。猿之助さんの蘆屋道満が相変わらずの人を食った面白さ。その格好で髑髏を持っていると文覚上人にしか見えない( ´艸`)笑也さんの密虫が可愛かった。右近さん、興世王のような役を見るのは初めてだけれど粘っこくスケール感もあって中々よかった。

 

隼人君と染五郎さんの主演というのがウリの一つだった筈なのに、俵藤太と桔梗の前が主役のように見えたのが微妙な感じ…とはいえ、彼等も含めてごくごく小さな頃から舞台を見ていた子達が堂々と主要な役を演じているのは本当に嬉しく頼もしい。

がんばってね。

 

古今東西、理不尽な運命に泣かされて、でもどうすることも出来ず無念の内に死んでいった無数の人々の、将門公はその代表的な一人である。生きている限り、私はそうした人達を忘れたくない。