命 | ©猫と春風の花慈しみ愛で。心。

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猫たちと暮らす穏やかでささやかな日常。
当たり前だけど、当たり前じゃない、
がかけがえない特別な宝物の瞬間瞬間。
一日一日大切に丁寧に重ねています。
(旧ブログ「神様がくれた宝物2007〜」より)






私は大好きだった兄を癌でなくしている。

以前の勤務先の仲良しの大切な友達は乳癌。



兄は手術をした際他に転移していて、余命半年と言われた。

担当医師に告知を問われ、家族が泣き崩れる中、私は即座に「絶対告知をしない」と告げ、「少しも苦しまないようにだけして欲しい」と添えた。

毎日笑顔で一番嫌いな「嘘」を吐き続けた。

「治るよ。大丈夫だよ」


余命半年と言われた兄は、それから頑張って一年半生き延び。

凄く頑張って偉かったなと思った。


毎日病院に通い、眠っている傍らに居ると、眠っているのに突然目を見開き、私の顔を伺う。

私が嘘をついていて、油断をして、泣いているんじゃないかと確かめたかったのではないかと思った。

勿論患部の腫れや体調の悪化から、助からないと本人も気付いていたと思う。

それでも最期の日まで「治るよ。大丈夫」と笑って言い続けた。

最期に病室を出る時に兄は痩せた手を高く挙げてピースをした。

握り返したら、「ありがとうな」と言って。

それが兄と話した最期。

真夜中だった。

「誰も呼ばないで」と言っていたと看護士さんが教えてくれて。

一番かっこいい兄らしいと思った。

旅立ちの瞬間に立ち会ったら、多分ずっと辛かった。


乳癌の仲良しの子は最期に息を切らしながら「また入院するよ」と電話をくれた。


最初に手術をして、僅か数ヶ月後のこと。

手術の際、やはりリンパに転移していたとのこと。


あっという間。

生き長らえても余命+一年。

特例もあるかも知れないし、医学は日進月歩と言っても、確実に根治できるのは初期の癌だけだと思う。

確実に訪れる。

癌が発覚した段階で、転移が進んでいて、ステイタス向上の為の手術をしたとしても、もう二年。

転移が確認できて二年も元気でお弁当を作れるものか、私には疑問。

若ければ若いほどあっという間。


何故私に張り付いて最高に悪質なことをやりながら余命を過ごしているのかそれも理解できない。

どんな悪人でも余命を宣告されたら、最期改心しようとすると思う。

それが太古の昔からの人々と、様々な信仰の繋がり。

人という生き物の心理と真理で。


神様との最期の約束だと私は想う。


「命」を冷静に見据えて、感謝を込め、謹んで卒塔婆を沢山供えて、天国まで持たせる。




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