「子育て自己責任論」が的外れだと思う二つ目の理由は、

「どんな人生選択であれ、必ずリスクやマイナス面はあって、それをゼロにする事もコントロールする事も不可能だから」です。

どういった経緯で誰が選択したかに関わらず、人の身に起きる事態は、必ず利益/プラス面と、リスク/マイナス面の両面があると思っています。

それは、いつの時点で評価するかでも変化します。ある時はリスク/マイナスに思えたものが、数年後には利益/プラスに感じられたり、逆もまた然りで。

また、どれだけ真剣に熟慮して、自分で納得して決めた選択であっても、その結果を完全に予測することはできません。あらゆる事態は、自分だけでなく色んな人が関わっているので、自分一人ではコントロールできないし、その時々の社会情勢が影響したり、時間経過と共に事態が自ずと変わったり、時に突発事態が起きたりするからです。

加えて、「今の自分ならこの結果予測ができるけど、当時の自分は(まだ人生経験不足で)ここまで予測できなかった」という時だって当然あります。(それが歳を重ねる良さでもあると思います。)

そうすると、「予測できなかったマイナス面」や「予測に反したマイナス面」というのが、その時々で必ず出てきます。

 

それが、人が生きていることの実相であり、人生選択のリスク/マイナス面をゼロにできるとか、完全に予測してコントロールできるといった考えは、自然科学思考(再現可能な観測や実験に基づいて人生を理解すること)の弊害ではないかと思います。
 

そう考えると、時に人生選択のマイナス面にたじろぎ、戸惑い、悩み苦しむのは当たり前ではないでしょうか。

 

むしろ、そこでちゃんと悩み苦しんで、愚痴をこぼす中で、事態を客観視できたり、自分と向き合えたり、マイナス面への見方が変わったり、プラス面にも目が向いたり…色んな変化が起きるような気がします。

 

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随分長くなりましたが、当初の話に戻ると、(SNSで子育ての愚痴を書いた人の書き方にもよりますが、)厳しいコメントの内容は「なんだか的外れな気がするなぁ」と思ったわけです。

 

このような思いは、「子育て自己責任論」に限らず、例えば「40代妊活自己責任論」とも言える風潮にも同じ気持ちでいます。

 

40代で妊活して、想定外のマイナス面に戸惑い、悩み、愚痴をこぼすことがあったとしても。

 

それが普通のことであり(みんな仕事や恋愛など、何かしらの場面で同じように悩んでいるでしょうし)、ロボットではない生身の人間の人生であり、しっかりと生きている証ではないかと思っています。

 

長文を最後まで読んで下さって、ありがとうございました。