先日、「SNSで子育ての愚痴を書いた人に、厳しいコメントをする人が相次いだ」というネット記事を見ました。コメントの内容は、

「自分で望んで子どもを持ったのだから、そのくらい覚悟の上だろう」
「わざわざ産まなければつらい目に遭わなかったのに、なんで産んだの?」
「子どもがいるために困った境遇になっても、自分が産んだのだから自己責任」


…といったものでした。「子育て自己責任論」と総称されるようです。

この記事を読んで、「???」と思いました。

「なんだか的外れな気がするなぁ」というのが、率直な感想です。的外れだと思う理由は二つあって、

一つは、「大人の人生選択は、(戦争や自然災害など特殊な場合を除いて)あらゆる選択が自己責任だから」です。

つまり、自己責任なのは、子育てに限ったことではないと思うんです。

例えば、

「仕事上の悩み」

↓↓↓

「自分で望んでその会社に入ったのだから、そのくらい覚悟の上だろう」
「困った境遇になっても、自分で選んだ仕事なのだから自己責任」


「恋愛や結婚の悩み」

↓↓↓

「自分で望んでその相手を選んだのだから、そのくらい覚悟の上だろう」
「困った境遇になっても、自分でその相手を選んだのだから自己責任」


…といったように、どんな場面にも同じコメントが返せます。

仮に「他者(親や友人など)に言われて仕方なく」と感じる局面があっても、他者の言動を受けて、最終的に判断したのは自分になります。あらゆる意思決定を自分で行う(行わざるを得ない)のが、未成年とは違う「大人」の定義ではないかと。

また、話は少し逸れますが、「自己責任」って、本来ネガティブな意味合いではないように思います。「自分の意思で主体的に選択した行為」の言い換えですから。

世間では、自分の意思で選択した結果がプラスなら「自立してて主体性があって素晴らしいね」、マイナスなら「自己責任だね」と言い換える向きがあるかもしれませんが、そもそも「自分の意思で選択した結果は、プラス面もマイナス面も等しく自分が負うのは当たり前」であり、実際自分で負うしかない(誰も肩代わりしてくれない)わけです。

 

加えて、どんな事態にもプラスとマイナスの両面があると思っていて、子育ての愚痴を言う側面もあれば、子育ての喜びを噛みしめている側面もあり、それが普通というか、大抵そういうものではないかと思っています。



(つづく)