To: Usui-San | HARUCAFE

To: Usui-San

これは、うすいさんと過ごした最期のお話─



先週日曜、いつものようにうすいさんのお世話をしていたときのこと

一人のおじさんに話しかけられました。


「その猫、君の?」


あ。いえ…ここでみんなで可愛がってる感じです。


「へぇ、そうなんだ、いやね、前から気になっててね、雪の時なんて特に心配してたよ。

寝床もちゃんとあるみたいだし、あーよかったよかった」


なんて立ち話をしていたんです。

ふふ、やっぱりみんなうすいさんのこと気にかけているんだな。(ほっこり)


「あ、ちなみにこの子名前とか付いてるの?」


はい、うすいさんです。


「え?うす…?」


“うすいさん”です。((まぁ、驚くわな、私も最初びっくりしたもんw))


「ははっ!うすいさんか!そっかそっか、それじゃあまた…」


と愉快気に帰って行ったおじさん。



その日は何故か、うすいさんのことを「マリリン!マリリン!」と呼んでる変なおばさんもいて(笑)

あとでまた来ようと…買い物を先に済ませることに。


買い物から帰ってきてうすいさんが箱の中で眠っていたから、掛け布団をかけてあげようと箱に手を伸ばし…


ん?なんだこれ?





ブランケットの間に挟んである、一枚の紙切れ…いや、封筒?




え。


うすいさんに?


透かしてみたけど、おそらくお金であろう。


うすいさんのエサ代にしてくれってこと?

一体誰が…?


刹那に浮かんだのが─

タイミング的にもさっきのおじさん…だよね?


軽く筆記体入った“To: Usui-San”


なんて素敵なんでしょう。


嗚呼、この町はホントにいい町だ。

ウルっとしつつ、率先してうすいさんを可愛がってくれてる居酒屋のおばさんの元へ届けました。





最近風邪をひいてしまったみたいで、体調がイマイチだったうすいさん。


でもあの雪の日を突破出来たんだもん、大丈夫だよね?

みんなが応援してるよ、頑張れ。



うすいさんが亡くなったのは、この2日後…3月11日のことでした。




3月11日─。


いつものように朝うすいさんに挨拶をして出勤した私。

“行ってきます、また帰りにくるからね”


その言葉をうすいさんはちゃんと聞いていた気がする。


この日は急遽残業になってしまって、いつもより1時間遅れでうすいさんの公園に到着した私。


でも、そこに居たのは朝の元気なうすいさんとは似ても似つかないほど、変わり果てた姿でした。


箱の中で横たわっていたうすいさん、生きていないことはひとめでわかりました。


正直、最初は怖くて近づけませんでした。でも…私は特殊部隊なんだ、最期まで面倒みると誓ったんだ。目を背けてはいけない。


すぐに居酒屋のおばさんに報告し、ブランケットを被せてあげました。


その時、微かにピクッと動いた気がするの。

その後何度も触ったときはもう完璧に動いていなかったから私の思い違いかもしれないけど

“待っていてくれた”そう自分勝手な解釈をしました。


あと1時間早く帰ってこれたら、ちゃんと逢えたのだろうか…?


そして、うすいさんがもう食べれないのは分かってるけど、いつもどおりお皿にご飯を入れて立ち去ろうとしたとき


「ねこちゃんの調子はどう?」


この前のあのおじさんだ。


おじさん…ですか?この前、うすいさんに手紙を…


「ははっ、バレちゃったか。うん、そう…。名前を聞いたからね、何かしたくて。

それより、うすいさんは?」


……。

うすいさんはもう…


何度もうすいさんを触るおじさん、ね?動かないでしょ。

カイロを入れるおじさん…


おじさん、もうダメだって。


「…うん。でも折角ならさ、ポカポカで天国にいかせてやりたいじゃない。」


そうして、おじさんと二人でポカポカになったうすいさんにお別れをしました。






3月12日─。



うすいさんのお通夜がしめやかに行われました。


マンションの管理人さんが施してくれたみたいで、うすいさんはカゴに入れられてまるで眠っているようでした。

その周りには沢山のお花やご飯…肩を落としてがっくり落ち込んでいるおじさんの姿もみかけました。


最近帰りが遅い旦那も、この日は早く帰ってきてくれて一緒にお花を買いに行き、お通夜に参列してくれました。


猫がそんな好きじゃない人だから私もびっくり。

「だってHARUKAの友達だから─。」そんな優しい一面も見れました。


うすいさんが沢山の人に愛されていたことが如実に現れていたお通夜でした。



もう、うすいさんはいません。


ご飯をあげることも、目ヤニを拭いてあげることも、天気の心配をすることもないんだな。


うすいさんと一緒に春を迎えたかったよ。


でもきっと、天国は雨も雪も降らない、ずっとポカポカしたところで、美味しいご飯をお腹いっぱい食べれるところだと思う。


 


うすいさん。


この町で初めて出来た私のお友達。


あなたと過ごせたことずっと忘れないからね、ありがとう。


どうか、安らかに─







追伸:


悲しい話を最後まで読んで頂きありがとうございました。

気を落としていてブログもお休みしちゃってました。でもうすいさんの為にも前を向かなきゃダメですね。

そして、勝手ではありますが、皆様も“うすいさん”を忘れないでいてくださると大変嬉しいです。


来週からはまた元気にブログ開始させて頂きますのでよろしくお願いします。