前回の続きです。
堂島くんの冷める出来事に、既にかなりテンション下がりつつも、飲み始めた。
まだ会ったばかりだし。。
気持ちを盛り上げねば
とりあえず、飲んで食べていたら、少し満たされてきた
だが、おしゃべりは…
正直、つまらない
まずね、家の話はもう勘弁
親戚の家に行った話とか、家庭の愚痴とか。
愚痴は最初こそ興味もあるし聞いていたけど、価値観が違うから、全体的にあまり共感できなくて
むしろイライラしてきたり
この日、言おうと思ってた。
男女関係でいたいなら、所帯じみた話はやめてほしいと。
「つぐみちゃん家はどう?」と聞かれても、私は別に家庭の愚痴を言いたいわけじゃないのよ。
むしろ忘れて楽しみたいんだよね。
ここも、やっぱり価値観が違うんだと思う。
そのことが中々伝わらなかったので「萎える」という直接ワードを出し、ようやくその話題が減った。
……………
お店に入って1時間。
彼はまたソワソワと急いでいる。
残った料理をササッと片付けたり、店員にお水を頼んだり、仕舞いには私がちびちび飲んでいたお酒を無言で飲む始末。
これにはびっくり
無理に飲んでるとでも思ったのか知らないが、聞かずに飲むなよ、と思った。
とにかく店を出たい気持ちが前面に出て
露骨過ぎる
正直にさ、
「早く二人になりたいからそろそろ出よう?」
って言えば嫌な気はしないのに。
でも彼は、さり気なく、
「まだ時間あるけどどうしようか」という雰囲気にしたいんだよね。
まぁ、分かるよ、その男性心理も。
けど、実際、全然さり気なくなってないからね。露骨でバレバレなのよ。
それに気づかないんだよね、彼は
うん、こーいうとこ、ほんと小中学校の時のままだわ。
天然で、よく笑われてた、いじられキャラの堂島くん。。
仕方ない。。
「そろそろ行こうか」
「…!うん!行こう!」
お会計は、今回は割り勘にした。
何度かデートして、毎回ほぼ出してもらっていたけど、家庭の話を聞いていて本当は節約したいことは分かっていたから。
ホテル代は出してもらうし(堂島くんに対してここは厳守)、まぁ不満はない。
……………
そして店を出て、真っ直ぐホテル街に向かう彼。
「ねぇ、これからホテル行くの?」
「…え、あ、まぁ行こうと思ってたけど…。いや、どっか行きたいとこあれば…」
「いや、それなら飲み物買ってから行きたいなって。まぁ、時間もあまりないし、カラオケとかでも良いけど笑」
すると、そっと顔を近づけてきて、
「…カラオケで、やったことあるの笑?」
と、クスっと笑いながら言った彼。
………
キモい
と、思ってしまった。
やっぱり私は大分冷めている。
だめだ、お酒飲んでこんな調子じゃ。
何が嫌なんだろう。
ズレているから?
温度差か?
この温度差に気づかない彼が嫌なのか。
「…ないよ」
と、自分でもびっくりするほど真顔で冷ややかな声で返してしまった。
真っ直ぐホテルに足早に向かっていた彼が、一瞬足を止めて私の方を見たくらい。
しまった、と少し焦ったが、適当にごまかしたら、彼はそれ以上は気にせず進んだ。
そして、そのまま飲み物を買ってホテルへ。
こんな気持ちで楽しくやれるんだろうか。。
やれるわけ…ないよね。。
続きます。