ウネがヴィラを去り
寂しくなったと思う暇もなく
ウンスの日常は忙しく過ぎ
あっという間に
アメリカ行きの日が近づいていた
季節は盛夏から晩夏へ
ボストンでの
新しい暮らしが始まる
ヴィラを引き払う日
久しぶりに釜山にいる
親友のジヒョンが
わざわざ会いに来てくれた
相変わらず美しく
相変わらず気高いジヒョン
その彼女が少しだけ
寂しそうな顔で
ウンスに言った
実は・・・ユハと相談して
このヴィラを手放すことに
したのよ
それでその手続きもあって
今日はこっちに来たの
本当はカン・ユハも
来たがっていたけど・・・
仕事 抜けられなくって
そっか
アメリカに行く前に
カン・ユハにも会いたかったけど
仕方ないわね
それにヴィラを手放すことも・・・
二人の決めたことなら
私に異論はないわよ
ありがとう ウンスや
とてもいい条件で
引き受けてくれるオーナーが
見つかったのよ
ユハの大恩あるハルモニから
引き継いだヴィラだから
できれば手放したくは
なかったのだけれど・・・
ここを売った資金で
ようやく念願のクリニックの
開業に漕ぎ着けそうなの
ハルモニの故郷で
困った人たちの役に立ちたい
って言うあの人の夢が
ようやく動きだすわ
すごいじゃない！
さすがだわ
一国一城の主になるのね
何を言うのよ
そんな大層なもんじゃ
ないわよ
ユハは経営には向いてないから
金銭的には苦労しそうよ
でもそれも楽しみかもしれない
って思っているの
ユハのために私ができることが
まだたくさんあるってことだもの
ジヒョンったらカン・ユハに
ベタ惚れなんだから
うふふ
ウンスこそ
いや二人こそお互い
ベタ惚れなんじゃない？
だって・・・
ここのオーナーね
ん？
ウンスは首をかしげ
ジヒョンはうっかり
口を滑らしそうになって
首を振った
ヴィラの新しいオーナーが
チェヨンだと言うことは
本人の希望で内緒の話
ウンスとの大切な思い出の家を
保存しておきたい
ユハたちの釜山のクリニックも
応援したいと
チェヨンが申し出たのだ
いいえ なんでもないわ
それより ウンスや
エリート街道まっしぐら
じゃないの
ボストンの大学で
執刀する日も
そう遠くはないわね
どおかしら？
私は不安だらけよ
慣れない異国で
本当に大丈夫かなって・・・
大丈夫に決まっているわ
あなたにはチェヨンが
付いているもの
それにしても人の運命なんて
わからないものね
私が釜山で家庭医として
やっていく日が来るなんて
ウンスがアメリカに行って
しまうなんて・・・
ウネが義両親と同居の道を
選ぶなんて・・・
ええ ほんと
学生時代には
予想もしてなかったわ
このヴィラで出会った人や
ここでの思い出が懐かしいわ
そうそう
ヴィラはこのまま存続するのよ
金銭的に余裕のない学生に
貸し出される予定なの
だから新しい青春物語が
続いていきそうね
よかった
私 イサ君の住む場所が
なくなるんじゃないかって
ちょっと心配だったの
イサハルはイルボンからの
留学生で 色々あったが
今は医学部に通っている
成績優秀者だ
他の男のことを
気にかけていたら
チェヨンが妬くわよ？
彼も彼のお母様も
本当にあなたのことが
大好きで理解があるもの
うふふ
ありがたいことだと
思っているわ
私もうんと頑張らないと
ウンスは微笑んだ
会えてよかったわ
ジヒョン
ええ 私もあなたと
チングになれてよかった
これからもあなたは
私の真の友よ
二人はヴィラの前で
握手と笑顔で別れ
ウンスはヴィラを後にした
またいつか
この場所で友人たちと
素敵な時を過ごす日が
あるといいなと願いながら・・・
ーーーーーーーーー
タン
そろそろ仕事に行くわね
朝の挨拶を終え
ウンスは名残惜しそうに
席を立った
そろそろ仕事に向かう時間
チェヨンが時計を気にしている
あぁ〜い
オンマぁ いってっしゃーい
タン
いいこでまってるからね〜ぇ
オンマ がんばって〜
ウンスは可愛く手を振る
笑顔の息子を抱きしめた
お母様
タンをよろしくお願いします
なるべく早く帰りますから
タンちゃんのことなら
心配しないで私に任せて！
でもね ウンスちゃん
ウンスちゃんは
素晴らしい能力を持った
お医者様なんだから
思う存分仕事もして欲しいと
思っているのよ
そのために
家内のサポートは私の役目
私は毎日孫と過ごせて
幸せなの
ありがとうございます
私 仕事は大好きです
でもタンと一緒の時間も
お母様たちと過ごす時間も
もちろん彼との時間も
私には大事な時間
幸せな時間なんです
だから早く帰れる日は
すっ飛んで帰って来ますね
あ？なんで？最後なんだ？
俺は付け足しか？
ウンスは会話の最後に
自分が出て来たことで
ちょっと拗ねた顔の夫に
苦笑している
その様子をヒエが
笑いを噛み殺しながら見ていた
そしてふと
あら ウンスちゃん
そのブローチ
まだ使ってくれているのね？
懐かしそうに
ウンスの左胸を見つめて言った
そのブローチは白蝶貝と
きらきらひかる宝石で作られた
芍薬モチーフのもので
ウンスがアメリカへ発つ時に
ヒエから贈られたものだった
はい
これを見るたびに思うんです
私は大事にされているって・・・
それにヨンと離れて
アメリカに行ったことも
そこでの修行も
その後のヨンと私のことも
どれも今の自分に
必要なことだったんだって
ウンスはブローチを
撫でながらしみじみとした
顔で笑った
芍薬の花言葉は「幸せな結婚」
まさにその言葉を
象徴するような今の暮らし
恋人同士の恋慕の時
幸せな結婚をして愛を深め
家族が増えて
いっそう情が湧く毎日の
どれもこれもが愛おしい
何が正解だったのか
どんな道が良いのか
長い人生だから
今はまだはっきりとした答えは
わからないかもしれない
この先も 迷ったり悩んだり
立ち止まることもあるだろう
でもこれだけはわかる
チェヨンと出会えたことは
すごく幸せだということ
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
きっと誰かが見ていてくれる
きっと誰かが信じてくれる
自分の生き方に胸を張る
久しぶりの現代版「芍薬」
アメ限を加え全１６話を
お届けいたしました
アメリカに行ってしまうウンス
その時の二人の様子や
その後のアメリカ話は
次回お届けする予定です
お待ちくださいね〜
お話にコメントで
ご参加頂いた皆様（順不同）を
ご紹介いたします
caniche-22様
ran-monpuchi201様
あやぴん様
ゆきちゃん様
mmmaxmama様
karin様
811059様
totoronoinori様
chocomar1-2020様
veirie様
すずぷぅ様
ユウコ様
きくちゃん様
nesannesan777様
rietin0321様
tomokenma様
snow様
中嶋仁美様
yuk0407様
ryoko3311様
lapisu33様
hotkumama様
ムム様
せんせ〜様
z0986k4591t様
み様
yuideiz0519様
aks8811様
パラリラちゃん様
mimitabu81203791様
yocchan9332様
pinkilac1211様
アメ限にいただいたコメントは
すでにお返事させていただいたので
こちらには載せていないのですが
それ以外で もしも
お名前に漏れや誤記がありましたら
お知らせいただけると幸いです
よろしくお願いします
ご感想や現代版への思い
また励ましなどを
綴っていただいたコメントや
メッセージを読むたびに
力が湧いて来ます
いただくコメント等も含めて
自分のお話は成り立っていると
常々思っているもので
皆様のお気持ちが
とても 嬉しいです
と言っておきながら・・・
お一人お一人に
お返事できなくてミアネヨ〜
なんども
コメントしていただいた皆様
ここぞ！と言う時に
反応いただいた皆様
心より感謝申し上げます
久しぶりの現代版に
「いいね！」をいただき
励みになりました
ありがとうございました
そして今回は
私事ではありますが
キムヒョンジュンのライブ
落選と二次当選にも
コメントやメッセージを
お届けいただき
ありがとうございました
後日談ですが
リハーサル見学イベント抽選に
当選連絡が来ました！
ライブ参戦は米粒席なのですが
リハーサル時に
近くで見る幸運に
恵まれたようで嬉しい
当日の暑さだけが心配ですが
楽しみです
現代版におつきあい
ありがとうございました
本編再開は七月下旬を
予定しておりますので
少しばかりお待ちください
本編再開までの半月間
掌編で繋ぐか？
どうしようか？考え中です
（ひみ恋は秋以降にお届けかな）
ぜひまた
おつきあいくださいませ
三連休あけも安寧に
お過ごしくださいね
