いつのまにか 皆

大人になったものだな

ついこの間まで

クムのような幼な子で

あったというのに

 

 

長男タンの婚礼のせいか

チェヨンは少しばかり

感傷的な口調で

妻のウンスに言った

 

 

本当ねぇ

クムもすぐに

大人になって

しまうのでしょうねぇ

 

 

チェヨンの腕の中で

気持ち良さそうに

眠ってしまった孫娘を

優しい視線で見つめながら

ウンスは答える

 

チェヨンとの出会いは

現代の時の流れでは

決して遅くはない方なのだが

この時代の結婚適齢期よりは

随分と遅かった

 

タンが生まれたのも

三十路を過ぎてからで

ユニョンが嫁いで

ようやく初孫に出会ったのが

昨年のこと

すでに ウネのところなどは

ひ孫が生まれている

というのに・・・

 

タンの結婚はこの国の平均より

ずっと後になってしまったのだが

本人たちの幸せそうな

今日の様子を見て

それも運命だったのだろうと

ウンスは思っている

 

 

子育ての時期なんて

あっという間よね

あの頃は毎日忙しかったし

仕事も大変だったけど

すごく楽しかったな

それもこれも

旦那様のおかげだわ

 

 

イムジャの頑張りの

賜物だぞ

 

 

うふふ

そういうことにしておく

 

 

寝汗をじんわり

ひたいに浮かべる孫娘の

頭を撫でながら

ウンスは微笑んだ

 

 

だが 俺たちは

まだまだこれから・・・

イムジャとともに

どこか遠くへ旅もしたいし

別邸に引きこもるのも

悪くはないな

のんびりと釣り三昧の夢が

ようやく叶う

 

 

タンの結婚を機に

チェ家の当主の座は

チェヨンから息子のタンへ

屋敷の主人は若い世代へと

引き継がれ

チェヨンとウンスは若夫婦を

支える立場になる

 

 

これからも

よろしく頼むぞ イムジャ

 

 

あら 

それは私のセリフよ

私のお守りは一生の

約束ですからね

 

 

ああ 無論

俺の約束は一生

ここからが始まりだ

 

 

うふふ

そお来なくっちゃぁ

 

 

二人は顔を見合わせ

微笑んだ

二人の物語はまだまだ

これから・・・

 

 

 

 

 

にぃにはさぁ

ウダルチやめて

本当によかったの?

後悔しない?

あんなにウダルチを

誇りにしていたじゃないか

 

 

三男坊のゴンは

次男のサンと談笑している

長兄のタンに近づくと

いつか聞こうと

思いながら

いつも聞けなかった

この一言を

ようやく絞り出し尋ねた

 

実はサンもそれが

気がかりだった

何かを望めば何かを諦める

それしか本当に

方法はなかったのだろうか

 

タンの結婚は色々な意味で

チェ家にとっても

タンにとっても

大きな節目を迎えることに

なった

タンはウダルチを去ることに

決めたのだ

 

 

ああ 後悔はない

 

 

だけど・・・

 

 

ゴンはまだ何か

言いかけたが

晴れやかな兄の顔を見て

その言葉を飲み込んだ

兄が熟慮に熟慮を重ねて

決めた道を否定する権利は

どこにもないと思ったから

 

 

そっか

わかったよ

にぃに 

改めて結婚おめでとう

 

 

ありがとう ゴン

ところでゴンは

天文学でまた新しい理論を

見つけたんだって?

すごいな

 

 

タンは弟を尊敬の眼差しで

見つめた

 

知的好奇心が人一倍

旺盛だったゴンは

幼い頃から何事も突き詰めて

考える子供だった

その上

現代科学の知識がある母が

理系に強いこともあって

そんなゴンの

天文や数学の些細な疑問に

細かく答えてくれていた

 

そんな下地もあって

自然と進む道は決まった

天文学を生涯の道と定め

研究所に通いながら

チェ家の屋敷で暮らしている

 

 

にぃにに言われると

なんだか照れくさいよ

でも

僕 天界へつながる方法を

必ず導き出すから

もう少し待っててって

オンマにもそう言ってるんだ

 

 

ほお

時空を超える理論か・・・

実現するといいな

頑張れよ ゴン

 

 

久しぶりに集まった三兄弟は

肩を組みあって笑った

タンがこの屋敷に戻ることで

これからは

こんな風に過ごす時間が

増えるのかもしれない

 

 

賑やかで楽しくって

ご馳走もいっぱいで

さすが天界式風の結婚式だね

みんな笑顔で

義姉上もお綺麗だし

にぃにも幸せそうでさ

 

 

サンはぐふっと笑いながら

兄に言う

 

 

うん

幸せだよ

これからもよろしくな

サン ゴン

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ヘジャは胸のあたりに

痛みを感じて

厨房でうずくまっていた

 

若様の婚礼も見届け

お子様たちもそれぞれ

立派になられ

屋敷は代替わりをする

元女中頭として

思い残すことな何もない

 

あの人が

そろそろ迎えに来る頃合い

そんなことを思っていたら

扉がガラガラと開く

 

そこにいたのは

思いもよらない人物だった

 

 

へ?

 

 

すっとぼけた声を

出すんじゃによ

あんたは昔からなんでも

すぐに諦める

悪い癖だよ

ヘジャ しっかりおし!

 

 

なぜに 母さん?

ああ いよいよ

お迎えに来たってわけか

あの人じゃなくて母さんが・・・

まさかソクテが

迎えに来られないように

意地悪したんじゃ

ないだろね?

母さんならやりかねない

 

 

あたしを

なんだと思ってるんだい

人聞きの悪いことを・・・

だいたいあんたは

まだ くたばっている場合じゃ

ないだろう?

新しいご当主様のお世話を

オクリョンに任せるつもりかい!

奥様に生涯お仕えするって

あの志は嘘だったのかい

それに何よりあたしの大事な

坊っちゃまのお世話を

放り出して逝くなんて

このあたしが許しはしないよ

 

 

母さん

自分はとっとと

先に死んだくせに

なんて言い草だい

十分頑張って来たさ

そろそろお役御免でも

いいだろう?

それにもう

思い残すことなんて

 

 

はあああ?

お役御免だって???

お迎えする若奥様に

チェ家の嫁としての心得や

料理裁縫 チェ家の習慣

お教えすることが

たくさんあるだろう?

それをどうするんだい

まさかオクリョンに丸投げか?

あの子じゃまだ心もとない

それにオクリョンは

奥様の言いなりじゃないか

天界から来た奥様には

チェ家のしきたりも何も

あったもんじゃないんだからね

あんたがしっかりこの屋敷の

手綱を引き締めなくて

どうするんだい

 

 

母さん

奥様に失礼なことを

言わないでくれるかい!

奥様はこのヘジャが

ずっとお支えして来た唯一の

このお屋敷の女主様だ

天界から一人で

この世界に来られて

ご苦労もあったんだ

それを知りもしないで・・・

 

 

だったらあんたが

この先もその奥様を支え

ご相談に乗ってあげないで

どうするんだい

さっさと死んでいいと

本気で思っているのかい?

とにかく

あたしは認めないよ

あんたはこの先も

チェ家のために生きるんだ

それがこの屋敷に仕える

あんたの生き様ってもんだろ?

自分から弱気になったり

投げ出すなんて許さないよ!

 

 

まったく

母さんにはかなわない・・・

ソクテも母さんも

あたしを残してさっさと

逝ってしまったくせにさ・・・

 

 

ヘジャや

お前は十分よくやっているさ

あたしはあんたが誇らしいよ

けどね

ヘジャのことを

必要としてくれる

チェ家の皆様がいる限り

こっちに来ようなんて

思うんじゃないよ

いいね わかったね

 

 

ヘジャの母ソンオクは

背筋をピンと伸ばして

厳しい口調で

言いたいことだけ言い終えると

すうっと消えた

 

 

いよいよこのヘジャも

あの世が近づいたって

ことだろうか

母さんが見えるなんて・・・

いや 案外母さんの声

優しかったねぇ

 

 

ソンオクの厳しさは

幼い頃から知っているが

今回は母なりの喝の入れ方

気弱になっていた心を

どんと押された気がして

ヘジャは顔を上げた

 

すると もう一度

厨房に誰かが入って来た

 

 

ヘジャ いる?

オンマがヘジャの姿が

見えないって心配しているわ

 

 

ヘジャさん 大丈夫か?

 

 

イサ様 ユニョンお嬢様

はい・・・大丈夫でございます

ついうっかりうたた寝して

おりました・・・

お恥ずかしい

 

 

いいのよ ヘジャ

疲れたら休んでいいの

ヘジャにはこれからも

オンマの右腕として

オンマを支えてもらいたいもの

だからうんと長生きしてね

 

 

一応 脈を診よう

顔色は悪くはないようだけど

どこか痛いところはない?

 

 

少しばかり心の臓が

痛いような・・・でも

気のせいだったようで・・・

 

 

わかった

だけど自己判断はダメだよ

ちゃんと検査しようか

ヘジャさんの健康管理も

オレの役目だからね

 

 

慣れた手つきで脈を診て

イサは微笑んだ

 

 

ちゃんと寝て食べて

元気でいてくれなくっちゃ

ヘジャはこの屋敷に

なくてはならない人なんだから

これからも頼りにしているわ

 

 

ありがとうございます

はい

このヘジャにお任せを

 

 

ヘジャはなんだか胸が

いっぱいになって涙ぐみ

二人の言葉に大きく頷いた

 

 

===========

 

 

はりゅもに(ハルモニ)

はりゅもに??

こんなところで

オネンネ???

ねえ おきて

奥しゃまがさがしてるわ

 

 

孫娘のタルの声で

ヘジャははっと目を覚ました

 

 

おや?うっかり

昼寝していたようだ

タルや?

奥様がこのヘジャを

お探しだって?

 

 

あいっ

ぱーちいのことって

 

 

ああぁ 端午の節句に

若様がソダンのご友人を

お招きしたいって

あれのことだろうかね

 

 

ヘジャはすくっと腰を上げた

湯気の立った大鍋が

いい匂いをさせている

 

そろそろご飯が炊ける頃

 

ほんのひと時の

昼寝のつもりが

とても現実味のある

長い夢を見ていた気がする

 

お子様たちが大人になって

このお屋敷を盛り立てて

旦那様奥様がお幸せそうで

いい夢だった

 

 

もっと頑張らなくっちゃね

母さん

空の上から見ていておくれ

お屋敷のことは

このヘジャにお任せを!

 

 

おまかしぇ〜

 

 

孫娘のタルが真似して

ケラケラ笑っている

 

 

奥様〜

ヘジャは此処におりますよ

今 そちらへ伺います

 

 

ヘジャは奥に聞こえるように

大きな声で答えてから

首をかしげた

 

細かなこともよく覚えている

夢だったのに 一点だけ 

わからないことが・・・

 

 

ん?それにしても

若様のお嫁様はどなただろ?

ああ もう少し

夢の続きを夢見ていたかったねぇ

残念だよ

 

 

ヘジャはふるふると首を振り

敬愛する奥様のもとへ

急ぎ足で向かった

 

 

春の日差しが心地よい

そんな昼下がりの夢見心地

チェ家は本日も安泰なり

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

いつか夢の続きを

みんなで一緒に

見られるといいなと思う

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

 

一ヶ月かかりようやく5話汗

お届けできました

筆の進みが遅くてミアネヨ〜

 

タンの結婚式は

本編ではまだまだ先の話ですが

夢の中でのチラ見

 

相手の女人は果たしてだれ?

そんなことも気になりますし

ウダルチをやめたのはなぜ?

そんなところも気になります

この話を伏線として

またいつか続きを

ご披露できればと思っております

 

 

 

 

今朝は北海道で大きな地震が

またありましたね

地震や事件 なんとも

気の滅入ることばかりの

世の中ですが

GWも近づいておりますので

どうぞ気持ち明るく

安寧にお過ごしくださいますように

 

 

またおつきあいくださいませ

 

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