おはよう

ウンスちゃん

タンちゃん

昨夜は夕飯

ご一緒できなくって

寂しかったのよ

堅っ苦しいお食事会より

家族で食すごはんが

どれほど美味しいことか

 

 

チェヨンの母ヒエは

孫のタンの頭を撫でながら

微笑んだ

昨夜はお呼ばれで

パーティに出かけ

留守だったから

一日 顔を見ないだけで

孫と会うのが久しぶりな

気さえするヒエだった

それほど

ウンスとタンの存在は

暮らしの一部になっている

 

 

ばぁば あのねぇ

タンもしゃみしかったよぉ

でもねぇ

オンマとごはんも

たのしかったの〜

 

 

まあ 

それはよかったわねぇ

タンちゃんはほんとに

いい子だわ

さすが私のウンスちゃんが

産んだだけのことはあるわねぇ

 

 

ヒエはタンに笑いかけた

ウンスの仕事のある日は

出勤の時間帯もバラバラで

余計な気を使うだろうからと

朝食は母屋と離れで

別々に食べることになっている

息子夫婦と孫が

朝一番に会いに来てくれた

それが

ヒエはとても嬉しかったのだ

 

 

おいおい 母さん

俺の存在は無視か?

それに「私のウンスちゃん」

って

どういう言い方だよ

あのなぁ

なんども言うけどウンスは

俺の妻

俺のウンスだからな

 

 

あらぁ まあ

ヨンもいたのね〜

ふふふ

もう出かけたのかと

思ったのよ

 

 

ウンスの取り合いで

行われる母子の攻防も

チェ家の日常

そんな様子を寡黙な

チェヨンの父親が

口元を緩めて見ている

 

 

アッパぁ

ばぁば〜

あのね めっ!よ

なかよ〜くしてね

 

 

しっかり者の孫の発言に

じぃじの顔が自然とほころぶ

 

 

タンの方がよほど

しっかりしておるなぁ

タンや?

じぃじの膝に来るか?

 

 

うん!くる〜〜〜っ

 

 

ぴょんとじぃじの膝に

飛び乗ったタンを

愛しそうに見つめながら

ヒエは言った

 

 

まああぁ ヨボったら

いつのまに抜け駆けを!?

嫌ですわぁ

私が先に抱っこしようと

思っていましたのに・・・

 

 

孫の取り合いも見慣れた風景

ウンスはクスクス笑った

 

ふと見ると

広い部屋の壁際には

白い芍薬が大きな花瓶に

豪勢に飾られていて

いい香りを漂わせている

 

 

離れにもお花を

届けてくださって

ありがとうございました

 

 

花壇に咲いたのを

少しばかり摘んだから

おすそ分けよ

お庭に咲いているのも

美しいけれど

お部屋に飾ると

部屋がぱあっと明るく

なるでしょう?

お花は心を和ませるわね

 

 

はい 本当に綺麗です

癒されます

あの日も・・・あの

アメリカ行きのご報告に

伺った日も・・・

こんな風に芍薬が部屋に

飾ってありましたよね

 

 

ええ

そうだったわね

 

 

あの時

わがままを聞いていただいて

ありがとうございました

 

 

ええ?改まってどうしたの?

それに

わがままだなんて

ちっとも思わなくってよ

娘の将来を思うのは

親として当然ですもの

 

 

そう言っていただけて

私 幸せ者です

お母様・・・

 

 

ウンスとヒエは顔を見合わせ

微笑んだ

ああ この家の家族になれて

本当によかったな

ウンスはそんなことを

ぼんやり考えながら

あの日のことを思い出していた

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

じっとりと暑い日だった

 

 

ボストンはここより

涼しいみたいだな

夏は過ごしやすいんじゃ

ないか?

 

 

運転しながら

チェヨンはぼそりと

ウンスに言った

二人はチェヨンの実家に

向かっているところ

だった

 

 

うん

そおかもね

 

 

なんか?

緊張してる?

 

 

え?そんなことないよ

 

 

そうか?だが

いつもより口数が少ないぞ

 

 

チェヨンは片方の手で

ハンドルを握り

もう片方の手を

ウンスの手に重ねた

 

 

色々・・・考えると・・・

やっぱり

行くのよそうかな

 

 

ん?

ああ それでもいいぞ

行くのやめようか?

実家に行って貴重な休日を

潰すことはない

 

 

え?いや 

そっちじゃなくって

 

 

 

 

アメリカ・・・行き・・・よ

 

 

え?

 

 

散々悩んで

決めたことだけれど

いざ異国へ行くとなると

どうにも尻込みしてしまう

チェヨンに会えなくなることも

見ず知らずの土地で

一人で頑張れるかどうかも

かなり不安

最初の威勢の良いのは

どこへやら?

ウンスはだんだん

自信がなくなって来たのだ

 

 

俺は・・・

もちろんウンスに

そばにいて欲しい・・・けど

だけどその一方で

俺がウンスを引き止めたことで

もしウンスが渡米をやめたら

その方が後々

ずっと悔やみそうな気がする

俺のウンスは眩しいくらい

輝いているから

その輝きを俺が止めるのは

違うと思うんだ

 

 

率直に胸の内を語る

チェヨンの優しい言葉が

不安なウンスの心を

溶かして行った

 

 

会いに行くよ

 

 

うん

 

 

ウンスが呆れるくらい

会いに行くから

 

 

うん 待ってる

でも研修医時代を

甘くみちゃダメよ

ヨンもしっかり修行を積んで

 

 

ああ もちろんだ

ムン・チフ教授は

人格者で患者に信頼されていて

医者としての腕も超一流だろ

あの人は俺の目標だから

いろんなことを学んで

吸収したいと思っているよ

 

 

ヨンが目標っていうくらい

すごい教授なんだね

そんな恩師に出会えたこと

素敵だし奇跡だと思うわ

 

 

まあな 

けどな 俺は

俺の一番の奇跡の出会いは

ウンスだって断言できる

 

 

赤信号で止まった瞬間

チェヨンはウンスの唇を

チュッと奪って

ニッと笑った

 

 

もう!ヨンったら・・・

油断も隙も無いんだから・・・

 

 

嫌?だったか?

 

 

嫌じゃやないけど・・・

ちょっと照れる・・・

 

 

ウンスは頬を赤らめ俯いた

もしかして周りの車からも

見えていただろうか?

 

 

あ?嫌じゃないなら

もう一回

 

 

チェヨンは今度は

ぎゅっと抱きしめ

おもむろに舌を絡めた

 

 

ひゃっ

 

 

ウンスの焦る声が車内に響き

後ろの車はクラクションを

鳴らし始める

信号はとっくに青だ

 

チェヨンは残念そうに

唇を離して

それからゆっくりと

車のアクセルを踏んだ

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

あの日のことも

今日のことも

つながって

道は続いて行く

 

 

ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2

 

 

暑い毎日 すっかり夏です

が 天気は不安定

どうぞ

安寧にお過ごしくださいませ〜

 

 

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