オンマぁ〜っ

じぇんぶ

たべたヨォ〜

 

 

チェヨンとウンスの

愛息タンが

夕食時 誇らしげに

空っぽの皿を振って見せた

苦手な人参が

綺麗になくなっている

 

 

えらいね〜

すごいね〜

タンはいい子だね〜

 

 

ウンスは大げさに褒めて

息子の頭を撫でた

 

いつもは母屋で食べる夕飯

今夜は義両親がお出かけで

不在だった

それならたまには息子のために

手料理をと腕を振るったのだが

それを全部平らげたタンの

可愛い笑顔に

ウンスは自然と目尻が下がる

仕事の疲れも吹っ飛ぶと

いうものだ

 

 

オンマぁ 

タン えらい?

 

 

うん えらいえらい

 

 

タンは母親に褒められ

嬉しさで

鼻の穴を膨らませている

 

 

アッパ オンマが

タン えらいってぇ〜

 

 

今度は父親にとびきりの

スマイルを見せる

 

 

タンが苦手なものも残さず

ちゃんと食べたから

料理したオンマも

嬉しそうだぞ

 

 

そおぉ???

 

 

タンはますます誇らしげに

胸を張った

そんな息子の仕草が可愛くて

チェヨンはウンスと

顔を見合わせ微笑んだ

 

いつもの賑やかな

母屋での食事は

タンにとっても楽しいだろうし

チェヨンの両親にとっては

可愛い孫とのひと時で

嬉しいだろうが

たまには

家族三人だけの時間も

いいもんだ・・・と

チェヨンは密かに思う

そんなことはウンス贔屓で

孫溺愛の母親ヒエの前では

口が裂けても言えないが・・・

 

 

それにしても

ウンスは本当に

よくできた嫁

よくできた母親だな

その上仕事もきっちりやって

バランスよくて感心する

 

 

え?なになに?

急にどおしたの?

そんなに褒めても

何も出ないわよ

うふふ

理解のある

旦那様がいてこそよ

私一人じゃ

何にもできないもの

 

 

それはウンスの本心だ

学生時代も研修医時代も

専門医の修行の日々も

どれだけチェヨンに

支えられてきたことか

どれだけ彼の存在に

励まされて来たことか・・・

 

 

あのね 今日ね

研修医の様子をね

見ていたんだけどね

 

 

ウンスは思い出したように

呟いた

 

 

あ?まさか

あの心臓外科志望の

チャラチャラして

浮ついた顔の男か?

 

 

いやねぇ

ヨンにかかれば

男の子はみんなチャラ男に

なっちゃうわよ

 

 

いいや 俺は指導医の

イムジャのことを

じっと見つめる

あの目つきが気に入らん

 

 

いやいや

それはそうでしょう?

私が指導していることを

しっかり聞いてもらわないと!

それが研修なんだから

 

 

まだ不服そうな夫に

やれやれと苦笑して

なんの話だったっけ?と

ウンスは首をかしげた

 

 

そうだ!

その研修医を見ていて

激務の研修医時代を懐かしく

思い出したって話をしようと・・・

でも ヨンは研修医の頃から

まるでベテランみたいに

なんでもできていたよね〜と

思い出したわ

救急外来での対応なんて

的確で迅速で心強くて・・・

ほんと

あの頃もヨンの背中が

大きく見えたわ

 

 

俺はウンスが背後を

守ってくれているようで

心強かった

それは今も変わらないけど

 

 

そお?うふふ

それにしても

忙しかったわよね

医者駆け出しの頃って

なかなか会えなくて

すごく寂しかったなぁ

ああ でもそれ以上に

ヨンの器の大きさを

ますます実感したのも

あの頃だったわ・・・

器の大きい男

私の旦那様は〜

 

 

あ?

おいおい

そんなに褒められたら

なんだかこそばゆいぞ

なあ タン?

 

 

キョトンとした顔で

照れ笑いの両親を

見比べているタンの

頭を撫でながら

チェヨンは少年のように

笑った

 

 

ああ その笑顔・・・

ほんと好きだわ〜

 

 

ん?なんか言ったか?

 

 

ウンスはふっと

口元を緩め

それから首を振った

これ以上褒めたら

何を言い返されるか

わかったものではない・・・

 

 

ううん

さてと ご飯の後の

デザートにしようかな

チャメがあったわ

さっきソンオクが

冷えたのを持って来てくれたの

タン 食べるでしょう?

 

 

たべるぅ〜〜〜

たべたら えほんよんでぇ〜

オンマぁ〜

 

 

いいけど

その前にお風呂よ

今日は久しぶりに

三人で入ろうか?

 

 

やったぁ あぁ〜い

タン アッパとオンマの

おせなか

ながしゅ〜〜ね〜〜〜

 

 

弾んだ声でタンが返事をし

チェヨンは幸せそうな顔で

息子に微笑み返した

 

 

=========

 

 

研修医のチェヨンは

二日徹夜の夜が続き

そのあとの日勤を経て

ようやく

しばしの休日を迎えた

 

「明後日ね」

と言ったウンスの

甘い声が脳裏に何度も響き

それを励みに乗り切ったのだ

 

もちろんこの先も

次々激務は襲って来て

この状態があと二年近く・・・

それはわかっていたことだし

医者の仕事はやりがいがある

ただ

ウンスにゆっくり

会えないことが

ものすごくきつい

 

そばにいるのに

触れられないもどかしさは

兵役義務を果たしている

遠距離恋愛の頃よりも

何気に辛いかもしれないと

チェヨンは空を見上げた

 

空は忌々しいくらいに

清々しくチェヨンを

見下ろしている

 

ウンスとはさっき病院で

すれ違いざまに

互いの予定を確認済みで

「先にヴィラに

戻っていていいよ」と

ウンスは言ったが

チェヨンは近所のカフェで

ウンスの仕事終わりを

待つことにした

 

カフェラテを飲みながら

窓際の席で通りを見つめると

空を見上げる余裕も

立ち止まるゆとりも

どこかに忘れた顔で

人々は忙しそうに歩いていた

 

その群衆の中から

光が差し込むように

長い髪を揺らして

美しい人が駆けて来た

窓際の彼氏を見つけると

嬉しそうに手を振っている

 

その顔が見たくて

ここで待ち合わせをした

 

今にもこの胸に

飛び込んで来そうなウンスを

チェヨンは愛しそうに見つめ

手を振り返す

 

ようやく二人きりの時間

これからとびきり

甘い時間が訪れる予感がする

 

忌々しくさえ思えた

空の清々しさが

急にチェヨンの瞳に

美しい色を伴って写り込んだ

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

思い出も希望も現実も

全部ひっくるめて

今の私がいる

 

 

ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2

 

 

お話は過去と現在を

行ったり来たりしながら

進んでおります

 

お話にたくさん

コメントをいただき

ありがとうございます

お返事できずミアネヨ

 

お話の軸と

みなさんのコメント(感想)

を リンクさせながら

時にふむふむと感心し

時になるほどと思いながら

嬉しく

読ませていただいております

 

いただいたコメントを通して

さらにこの話の世界が

広がっていくような

そんな気がしています

 

 

台風や地震

自然災害への不安が増す

今日この頃ですが

週末も

安寧にお過ごしくださいませ

 

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