チェヨンが

兵役に行っている間に

ウンスの周りで

大きく変わったことを

一つ挙げろと言われたら

それは

間違いなくウネのことだろう

 

 

シャワーを浴び

支度を終えたウンスが

再び病院へ向かおうと

玄関を開けると

仕事帰りのウネの姿があった

 

 

今から病院行くの?

 

 

うん

今夜は救急の応援なの

ウネは今 帰り?

 

 

ええ ようやく

帰ってきたわ

あたしも

徹夜2連チャンよ

今夜こそベッドで眠れる

ところで

彼氏とは会えたの?

 

 

一瞬?って感じだけど

部屋ですれ違った

 

 

そっか

でも

顔を見られただけ

マシってもんでしょう

あたしたちなんて

もう何日会えてないかなぁ

覚悟はしていたけどさ

なんだかねぇ〜

まあ おかげさまで

紙切れ一枚でも

気持ちは落ち着いたけど

 

 

ウネは左手の薬指にはめた

指輪をくるくる触って

少しだけ笑った

 

 

あの人もチェヨン君に

会いたがっているよ 

でも あたしら

全然タイミングが

合わないもんね〜

 

 

夜も昼もない研修医の

チェヨンと

専門医になったばかりで

大忙しのウンス

大手の弁護士事務所に所属し

バリバリ案件を片付けるウネ

そして特殊任務についている

警察官のアン・ジェ

四人の生活パターンは

バラバラで

顔を揃えることは滅多にない

 

アン・ジェは警察官僚の父と

名家の出の母を両親に持ち

チェヨンの幼馴染

 

スーパーエリートの兄は

政治家の父を持つ女性と結婚し

アン・ジェの両親と同居中で

つい先日まで

アン・ジェも実家暮らしの

居候の身だった

 

ところがチェヨンが

兵役に行っている間に

極秘任務を受け持つ部署へ

異動になったのを機に

アン・ジェは

突然プロポーズをして

ウネと電撃婚

二人は家族になった

任務の性質上

家族以外の外部との接触を

断たれることもあるから

結婚は最善の策と言えた

 

急なことでもあったので

結婚式は無しの予定だったが

二人は教会でひっそりと

愛を誓った

式に立ち会えたのは

親友のウンスだけ

 

それでも

ウネが幸せそうで

ようやく新しい道を

歩き出せたと

ウンスもホッとしたのだが

 

けれどもすべてが

うまく行ったわけでは

なかった

アン・ジェの母親は

ウネを

嫁とは認めないと言い放ち

きつく当たった

 

なんの取り柄もない

家柄の悪い嫁は

アン家のためにならない

内助の功で夫を助けるどころか

ウネ自身が

弁護士の仕事に夢中で

嫁らしいことを何もできないと

散々な言われようだった

 

 

私の心配よりウネは?

ちゃんと食べて寝てるの?

アン・ジェさんには

次 いつ会えるの?

 

 

二人は別居婚状態で

ウネは今もウンスと同じ

ヴィラにとどまり

普段は寮で暮らすアン・ジェが

任務の合間に

時々ヴィラに通ってくる

そんな暮らしが続いている

 

 

なかなか会えないけど

電話で声も聞いているし

元気なのは知っている

それに

たとえ紙切れ一枚でも

あの人の妻だって思いが

今のあたしの支えかなぁ〜

夫婦とか家族って響きは

やっぱり特別だもん

ねえ ウンスも早く

結婚しちゃいなさいよ

婚約が長すぎるのも

心配よ?

 

 

ウネの言うことは

いちいちもっともな気がして

ウンスの胸の奥に刺さる

 

 

そお・・・なんだけど

 

 

今のカオスのような

毎日では

チェヨンの妻として

ちゃんとやっていけるのか?

自信がないのも本音だった

 

 

 

 

 

 

 

病院に着くと

救急車が数台止まっていた

どうやら多重事故か?

次々人が運ばれて行く

 

 

ユ先生

ちょうどいいところに

すぐに入れますか?

 

 

救急の研修医が

ウンスを呼び止める

 

 

わかったわ

 

 

ウンスは研修医とともに

処置室へ急いだ

するとそこに

チェヨンの姿があった

 

 

ん?ヨン?

 

 

ウンス?

 

 

二人は目配せをしただけで

何かに飲み込まれるように

それぞれの持ち場に着く

 

ウンスが担当した患者は

ウンスの母親くらいの年齢で

胸を打ち付け苦しがっていた

一方 チェヨンの担当は

その女性の孫のようで

まだ赤ん坊

二人は背中合わせに

それぞれの患者の処置に当たる

 

お互いの呼吸をわずかに感じ

お互いの背中の

温もりを感じながら・・・

 

チェヨンが一足先に

赤ん坊を手術室に運び

ウンスは母親の検査に追われる

 

同じ空間にいても

それぞれ違う処置

けれども

繋がるリレーのような気がして

チェヨンがいるだけで

ウンスは心強さを感じた

 

 

手術室に赤ん坊を引き渡し

チェヨンが再び救急に

戻ってきた頃には

処置室もだいぶ落ち着いて

ウンスは

軽症患者の手当てをしていた

 

その患者が若い男で

うっとりぼうっとした顔で

ウンスを見つめているのを見ると

チェヨンはふつふつ怒りが湧いた

どうにも気にくわない

 

 

俺が代わります

 

 

え?でも

 

 

戸惑うウンスから

強引に消毒薬を奪い取ると

チェヨンは若い男に

荒っぽくそれをつけた

 

 

ひいいい〜

しみる!しみるよ 先生

 

 

大丈夫です

これくらい

 

 

なんか俺に恨み

こもってない?

 

 

そんなわけないでしょう

 

 

チェヨンと患者のやりとりに

苦笑しながら

ウンスはその場を離れる

 

 

一旦 医局に顔出そうかな

ついてすぐそのまま処置に

加わったし・・・

 

 

ウンスが廊下で一息つき

腰をぐいっと

伸ばしていると

突然 背後から腰を

掴まれた

 

 

ギャァ

 

 

うっかり

小さな悲鳴を上げたが

耳元で聞こえる吐息は

馴染みがある

 

 

もう 驚かさないでよ

ヨン・・・

 

 

さっきはすまない

ウンスのことになると

すぐ嫉妬して

平常心じゃいられないなんて

情けないよな

俺 医者失格だ

 

 

ウンスはうふふと笑って

振り向くと

素早く周囲を見回してから

チェヨンの頬に

そっと口づけ 呟いた

 

 

嫉妬するヨンも

私は大好きだけど?

それに

私もすぐ嫉妬しちゃうし

そんな私はダメかな?

 

 

あ?全然

全然ダメじゃない

俺は大歓迎だ

 

 

チェヨンの笑顔は

少年のようで

さっきまでの疲れは

何処へやら?

ウンスの心に

爽やかな風が吹いていた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

お互いの存在を感じながら

お互いの場所で頑張る

そんな支え方もあっていい

 

 

ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2ブーケ2

 

 

台風一号到来ですね

進路にあたる地域の方は

もちろんのこと

進路から離れていても

どうぞお気をつけくださいね

被害が出ませんように

 

 

またおつきあいくださいませ

安寧にお過ごしくださいませ

 

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