ウンスがレジデント（研修医）
だった頃に入隊した彼が
無事に兵役を終えて
ソウルに戻って来たのは
チンダルレの花が
街を彩った頃で
ウンスは待望の心臓外科医
（専門医）一年目を
歩み出していた
レジデントの頃よりは
少しはゆとりのある暮らしが
できると信じていたが
そんな甘い世界ではなくて
医者としての責任は増える
論文は書かなければならない
雑務はレジデント以上
相変わらずの忙しさだ
チェヨンは研修医の途中で
入隊してしまったので
大学病院で研修医から
やり直しの日々だが
四年の飛び級のおかげで
他の人より先に進んでいる上に
天才の彼ににとっては
一年半ほどの遅れなど
大きな問題はなかった
あぁあ〜
ようやく戻って来たのに
全然一緒にいられないなんて
これじゃあ 遠恋してた方が
会えていたかも
夜勤明け
ようやく自宅のヴィラに
帰って来たウンスは
ウンスのベッドを占領し
眠るこけているチェヨンの顔を
見つめながらぼやいた
離れて暮らす日々は
二人の想いを強くした
距離があるぶん
負けないように
時間が合えば電話したり
休日には
ちょっとでもいいから
一目でいいからと
はるばる
チェヨンの部隊がいる
国境付近まで
電車に乗って出かけたりもした
チェヨンはチェヨンで
休みのたびにソウルに戻り
濃密な時間を過ごすことが
できたのに・・・
今は
日々のデフォルトに流されて
生活がすれ違う
「いつでも会える」
と言う油断は
「会う努力をしなくなる」
と言うことに通じる
チェヨンはウンスの部屋で
仮眠をとることが多く
確かに彼の気配や痕跡を
部屋の中で感じるのだが
実際に
温もりに触れ合うことは
なかなかできない現状
そして圧倒的に時間が
足りない・・・
医者同士の婚約って
こんなもんなのかなぁ
加えて
ウンスを悩ませている
大きな出来事があるのだが
それをウンスはまだ
チェヨンに相談できていない
おはよう
ウンスや
今 帰ったのか？
ベッドの前で佇むウンスを
布団の中から見上げて
チェヨンは眠そうに言った
うん
ヨンはこれから出勤？
疲れてない？
連日遅くまで仕事だって
うちのレジデントから
聞いたわよ
ああ・・・仕方ないさ
でも
ウンスのベッドにいると
安眠できる
このままウンスを抱きしめて
もう少し
眠りたいとこだけど・・・
起き上がって
腕を伸ばして
チェヨンはウンスを抱きしめ
軽く口づけた
本気で舌を絡ませたら
途中でやめるなんて
できなくなってしまうことを
二人は知っている
何かお腹に入れてから
出かける？
でも もう
そんな時間ないかな？
ウンスは時計をちらりと
確認した
自転車で飛ばしても
出勤時間までに着くには
ギリギリだ
サンドイッチ
買って来たんだけど
持っていく？
そうするかな・・・
休憩時間に食べるよ
ありがとう
だけど
ほんとは今 一番
食いたいものは
ウンスなんだけど・・・
な
じっと見つめるチェヨンの
熱いまなざしで
ウンスのお腹の底が疼く
でもここで流されるわけには
行かない・・・
ウンスは想いを振り切るように
わざと冗談めかして
切り返した
ヨンは食べ出したら
止まらないから
今は無理よ
あぁ〜〜〜〜！
いつなら食える？
俺 ウンス欠乏症で
もうすぐ死ぬ
いやね〜
そんな言い方
縁起でもない
医者がするもんじゃ
ないわ
ウンスはなだめるように
キスを返した
俺の必須栄養素はウンス
なんだから仕方ないだろ
それを言うなら
私だって
ヨン欠乏症でカラカラよ
ああ くそ！
もうこんな時間か
欠乏症を治してから
出かけたいのに！
仕方ないわよ
さあ もう行って
遅れちゃうわ
ウンスはサンドイッチの
袋をチェヨンに渡し
急かした
転役後の感動の再会も
もはや遠い記憶のような
気さえすると
ウンスは
小さな吐息を漏らす
今夜は病院で
泊まりでしょう？
ああ
明後日まで
ずっと勤務だ・・・
ウンスがやり遂げた
過酷な研修医だからな
俺も頑張るよ
うん そうだよ
頑張ろうね
それで
明後日こそ・・・
私 ヨンに・・・
食べられたい
かも・・・
あ？そうなのか？
それ絶対だぞ
約束だぞ！！
チェヨンはそう言い残すと
ぱあっと明るい表情で
ウンスの部屋を
飛び出して行った
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
恋人たちを阻むもの
距離と
時間と
忙しさ
いつもは激甘な現代版も
今回ばかりは
我慢我慢が続きそう？？
さてどうなるかなぁ〜
現代版を書き始めるにあたって
たくさんのコメントを
ありがとうございました
お返しできずにすみません
現代版の再開を
お待ちいただき嬉しいです
皆様のお気持ちが
励みになっております！
現代版の二人も
お楽しみいただけますように
またおつきあいくださいませ
安寧にお過ごしくださいね
