空が淡い青色に包まれ
日差しが穏やかに差し込む

春の日

皆に見守られながら

女医の養成所虹の四期生開校式

式典が執り行われた

七名の新入生は希望と夢に

満ち溢れた顔をして

その式典に臨んだ

 

 

ようやくここまで来たわ

 

 

ユチェは嬉しさを

隠しきれない様子で

頬を紅潮させていた

彼女の父親は

商団を率いている商人で

ウンスの診療所に勤める

会計担当のミヒャン

(針房の女官見習いミホの母)

の夫とも かつて仕事で
顔見知りの間柄だった
 
商いは順調で金回りも良くて
さびれた両班の家よりも
ユチェは子供の頃から
使用人達に「お嬢様」と呼ばれ
何不自由ない暮らしを
送っていた
だが 年頃になって
懸想した相手の母親に
「両班の血筋でない娘との
交際は認めない
いくらお金があっても
所詮は成り上がりの平民
うちの家門とは釣り合わない」
とはっきり言われ唖然とした
 
血筋ってなに?
身分ってそんなに大事なの?
両親にはこんなに大事に
育ててもらったのに
ただ身分が違うというだけで
受け入れられないの?
 
その理不尽さにユチェは
心から傷ついた
そしてその時の衝撃が
ユチェを養成所に導いたのだ
 
身分も縁故も関係ない世界
女だからと言って
我慢を強いられない世界
 
医仙様の凛とした姿に憧れ
医官を目指した
勉強は大変だったが
日々ものすごく充実していた
知らないことを知ることが
こんなにわくわくするなんて!
 
合格証を受け取った時は
嬉しすぎて自然と涙が出た
けれどここからが始まりだ
仲間とともに
医仙様の志を受け継いで
民の役に立つ女医になりたい
ユチェは目の前が明るく
ひらけた気がしていた

 

 

ホ・トマは七人の中で

一番神妙な顔つきで

この式典に臨んでいた

彼女の父親は医学会の重鎮で

大きな医院を経営している

 

父親は名誉欲も出世欲も強く

かつて典医寺の医官だったが

チャン・ビンが

侍医に任命されたのを機に

典医寺を出て

金持ちや身分の高い両班相手の

私設の高級医院を開いた

 

治療費はとにかく高額

高貴な身分の人からの

紹介がなければ診察は行わない

ウンスとは対極にある人物

 

そのような父親の娘が

養成所に「民のための医官」

を目指し入学してきた

これは典医寺にとっても

驚くべきことだった

 

 

医術は算術じゃないわ

お父様の考え方には

賛成できないの

医仙様のところで修行して

私は私の道を切り開きたい

 

 

ホ・トマは心から

そう願っていた

 

 

ウンスは意欲にあふれた表情の

七名の女人をゆっくり見渡した

一期生の時を思い返せば

最初の式典で余裕もなくて

何を祝辞に述べたのか

記憶も定かではない

 

ただあの頃から

自分の思いを受け継ぐ後継を

この世界に医官として

送り出すこと

その決意にかわりない

そして

この世界が少しでも

いい方向に向かって欲しい

いや 向かうと信じている

 

新入生の後ろには

卒業したばかりの二期生達が

顔を揃えていた

開業の準備で忙しい者もいる

典医寺の研修で

ふうふう言っている者もいる

でもみんないい顔をしていた

 

 

すっかりイムジャの

弟子が増えたな

 

 

式典に参列した夫チェヨンは

妻の隣に座って式典を見守り

誇らしそうに囁いた

 

 

ううん

弟子だなんて・・・

志を同じにする仲間よ

患者を助けたい

困っている人を放っておけない

私たちは同志なの

それが巡り巡って

ヨンの力にもなるといいな

 

 

もちろん

俺の力の源だぞ

イムジャの頑張りは

俺が一番知っておる

俺も負けてはいられない

 

 

うふふ そお?

お互い切磋琢磨ってことね

この場に誰もいなければ

このままヨンに

ポッポしたい気分だわ

でも

さすがに王様の御前じゃあ

気がひける

 

 

俺はちっとも構わんぞ

 

 

もう!

しれっとそういうこと

言うんだから〜

困った人ね〜

 

 

イムジャが

煽ったのであろう?

まあ 夜の楽しみに

今は我慢するか・・・

 

 

夫の囁きに

ウンスは初々しく

頬を赤らめた

 

 

会場には見慣れた顔

アン・ジェの従兄弟の娘が

入学したのを見届けに来た

ウネの姿もあった

もちろんイサと

チェ侍医親子の姿も・・・

 

王妃様と大妃様は並んで座り

二人は微笑みながら

会話していた

その光景を見るだけで

ウンスは胸のつかえが下りた

気がした

ユニョンのことで

嫁姑が気まずくなっていたら

どうしようかと思っていたが

そんな様子はかけらも

見せなかった

 

校長のサラが

七名の名簿を読み上げる

 

 

赤 サクラ

橙 イ・ジウ

青 ホ・トマ

黄 ユチェ

緑 オル

藍 アン・ズ

紫 サノ

以上七名の入学を許可します

二年間精進し

この国の医術のために

立派な医者になってください

 

 

王様のお言葉

チェ侍医の祝辞

そしてウンスが前に出た

 

 

一期生が養成所の門を

叩いた時

女だてらに医官など

この国の慣例にはない

由々しき事態だと

王宮のお偉い人たちに

揶揄されました

それが

大妃様 王様 王妃様の

お力添えがあって

典医寺のチェ先生 サラ校長

他の医官達の支えがあって

ここまで来ました

四年後の今

王宮も世間も養成所を受け入れ

卒業生達は皆

それぞれの場所で頑張っています

皆さんもどうぞ

今日この日の志を忘れずに

真摯に医術に向き合ってください

私は皆さんの入学を歓迎します

入学おめでとう!

 

 

ウンスの声が高らかに

響いた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

一歩一歩の積み重ね

それが明日を作るんだ

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

今日はユチェとホ・トマの

ご紹介となりました

サクラとイ・ジウのご紹介も

後日お届けしますね〜

四期生の皆様

おめでとうございます!

 

更新の間が少々空きました

ミアネヨ

またおつきあいくださいませ

安寧にお過ごしくださいね

 

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