すっかり夜が更けた頃
王様は王妃様の寝所に
出向いていた
 
 
ウ王子は無事に
帰って来たようじゃのぅ

 

 

はい 
ご心配をおかけしました
いつもはわがまま一つ
言わない王子が
よもや王宮を抜け出し
ユニョンに会いに行くとは
 
 
そうじゃの
王妃の息子じゃ

血は争えぬ

 

 

王様は口のはしを

キュッとあげて笑った

 

 

耳の痛いお言葉に

ございます

 

 

王妃様は平静を装い

一口 お茶をすすった

かつて まだ

この王宮に来たばかりの頃

勝手に王宮を抜け出して

無茶をしようと思ったが

結局 大事な武閣氏を失って

巻き込んだ皆を

危険な目に遭わせた

王様はそのことを思い出し

ているのだろう

 

 

それで上護軍は

何の用でございましたか?

 

 

王妃様は王様を見つめて

尋ねた

一度屋敷に戻ったチェヨンが

わざわざ王子様たちを

王宮に送り届け

その上王様に謁見したのだ

 

 

あの者は

余をこの国の王だと

思っておらぬぞ・・・

 

 

はて?

 

 

余に向かって

阿呆呼ばわりじゃ

不敬にもほどがあろう

 

 

そういった王様の表情は

心なしか明るかった

 

『王様は阿呆でございますか

明国の申し出を断るために

王子様の純粋なお気持ちを

利用するおつもりですか?

王子様のためを思って・・・

などと仰せなのは詭弁です

親ならばまず王子様のお心を

見守ってあげてください

王子様の優しい真心を 

王様は王命で

踏みにじろうとしておいでだ

命令で心が手に入るなら

誰も苦労はいたしませぬ』

 

父親としても男としても

器の大きなチェヨンの言葉が

身にしみた

 

 

上護軍がそのようなことを

・・・

王様にとって彼は本当に

よき友なのでございますね

 

 

そうじゃな

よき臣下であり

よき友じゃ

歯に衣着せぬ物言いで

余をたしなめるのは

あの者と王妃くらいじゃ

 

 

ええ?

妾も歯に衣着せぬ物言い

でございましょうか?

 

 

目を見開いた王妃様の

手の甲に王様は手を重ねて

微笑んだ

 

 

ゆえに

大切だと

思うておるのじゃ

 

 

『王様

もし 隣国が攻め入って

来るようなことがあったとしても

我が義勇軍は敵を

迎え撃つだけの武力も志も

保持しております

強く豊かな国を作りたいと言う

王様のお心は下々の者に

ちゃんと届いておりますゆえ

王様は躊躇することなく

ただ我らに

ご命じなさればいいのです

この国を守れと』

 

 

臣下としても友としても

全幅の信頼を寄せておる

その娘だからこそ

王子の嫁にと願ったが

時期尚早であったようじゃ

あの二人が

チェヨンと医仙のように

互いに互いを

求め合う日が来るまで

見守るしかないのであろうな

 

 

ええ 王様・・・

ですが

公主と大妃様は納得する

でしょうか?

 

 

ああ それならば心配ない

お母上によるとタンが公主を

なだめてくれたとのことじゃ

お母上はますますタンを

手放してはならぬとお言いじゃ

 

 

まあ どうしましょう

王子と公主が同じ家門と

縁つづきにはなれませぬ

 

 

公主も王子も

大人になるまでには

まだ時がある

この先子供らの気持ちが

どう転がるかは

まだわからぬであろう・・・

それに同じ家門との婚姻が

慣例にないと言うならば

ユニョンを誰ぞの養女に出す

と言う手もある・・・

 

 

王様・・・

 

 

なんじゃ?

 

 

意外に策士でございますわ

 

 

意外は余計じゃ

王妃よ

 

 

王様は笑って答えた

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

その日は

ウンスの誕生日だった

 

夫の熱い抱擁で目覚め

子供達の嬉々とした声に

気持ちが弾むそんな朝

 

子供達は何日も前から

「ウリオンマ」のために

ぱーちいの準備をし

この日を楽しみに待っていた

 

実はその日はもう一つ

ウンスのとって

大事な日でもあった

養成所虹の入学式典が

行われる日でもあったのだ

 

 

ごめんね

せっかくいろいろ準備して

くれているのに・・・

お式が終わったら

大急ぎで帰って来るわね

 

 

ケンチャナヨ

オルもお式に

出るんでしょう?

 

 

ええ そうよ

 

 

へ〜〜〜 いいね!

オルうれしいだろうなぁ

こっちもごちそう用意して

待ってるから

お仕事頑張って〜オンマ

 

 

ありがとう タン

できるだけ早く戻るわね

 

 

ねえ アッパも

いっしょにかえって来る?

 

 

サンは心配そうに聞いた

オンマが帰って来ても

アッパがいなければ

ぱーちいが始まらない

 

 

無論

大事な妻の誕生日に王宮で

仕事などしていられるか?

一緒に戻るぞ

 

 

ああ よかったぁ〜

 

 

心配性のサンとスニョンは

同時に胸をなでおろし

子供達は両親を見送った

 

 

オンマが帰って来る前に

いろいろがんばろう!

まず最初はお部屋の飾りつけ〜

 

 

長男タンの号令で

子供達は忙しそうに働き始めた

 

 

今日の式典には

王様 王妃様 大妃様が

顔を揃える

そして典医寺の関係者と

時々講師を引き受けているイサも

参列することになっている

 

だから菊花診療所は臨時休診

ガランとした診療所は

寂しげに見えるが

屋敷の奥から

ソダンを休んだ子供らの

賑やかな声が聞こえていた

 

 

ウンスはチェヨンとともに

輿に乗り込み

王宮へと向かった

チェヨンの私兵テマンが

その横をチュホンを引きながら

歩いている

 

王宮へ向かういつもの光景

だが

ウンスは少しばかり

気がかりなことがあった

 

 

悩み事か?

 

 

そおじゃないんだけど・・・

イサのことがね

 

 

ああぁ

あいつ このところ

よそよそしいな

 

 

やっぱりヨンも

気がついてた?

 

 

まあな

 

 

王子様がいらしてから

なのよね

ユニョンに聞いても

知らないって言うけど

王子様と何かあったのかな?

 

 

さあ?東屋でお会いした時

王子様に別段変わった様子は

なかったぞ?

 

 

そお・・・

イサ今回の王子様のことで

私たちに変な壁を作らなきゃ

いいんだけど・・・

イサはそう言うところ

あるでしょう?

妙に遠慮がちって言うか

 

 

王子様の件は

イサには関係あるまい

 

 

あるわよ

だってユニョンは

イサのこと好きだもの

 

 

は?

それは子供の戯言だろう?

 

 

そおかしら?

ユニョンはイサのこと

本気だと思うけどな

 

 

チェヨンのこめかみが

ピクリと動く

 

 

イサが変に萎縮したり

余計な気を使わないと

いいわね

 

 

それはそうと・・・

イムジャはまず

今日の式典を無事終えねば

イサのことはそれからだ

 

 

ぽかぽかとした陽気と

土埃の匂いが

春を告げている

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

道の先に何があるだろう

春は新しい出会いの季節

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

入学シーズンですね

今春ご入学ご進学の皆様

おめでとうございます

 

養成所虹も入学の時を

迎えました

入学式とウンスの誕生日と

イサとユニョンと王子様

いろいろてんこ盛りですが

ゆるゆると参りますので

おつきあいくださいませ

 

 

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