イサの剣幕にたじろぎながら

それでもチェ侍医は

王家に忠誠を尽くす侍医として

王様の話を息子にするような

ことはなく

チェ家を巻き込んでの

王子様の嫁取り話は

うやむやに終わった・・・

 

 

ーーーーーーー

 

 

それから数日後

よく晴れた空の下

二期生の旅立ちを祝う式典が

ウンスや典医寺の医官や

大妃様・王妃様が見守る中

養成所の講堂で行われた

 

 

養成所虹の卒業生であることに

誇りを持って

志高く この国の医療のために

尽力して欲しいと願っています

医官は

権力や相手の身分には屈せず

目の前に患者がいる限り

分け隔てなく診察あるのみ!

それが

この養成所の信念です

みなさん この二年間

よく頑張りました!

私はみなさんが誇らしいです

 

 

ウンスが最後に卒業生に送った

はなむけの言葉は

七名の新人医官の心に

しみたようで

すすり泣く声が

あちこちから聞こえた

 

中でも感極まって

一番泣いていたのは

寮母ホン・ソアだった

ようだが・・・

 

そうして二期生の七名は

医師免許をウンスに手渡され

その誇りを胸に

養成所から巣立って行った

 

典医寺に配属が決まったのは

最優秀成績者の

寮長イ・サユナだった

 

ウダルチ専属医官を夢見るレイ

家族のためにも

立派な医者になりたいリヨン

大きな薬房の跡取り娘ケイの

三人は一年間典医寺で

さらに研鑽を積み

その上で配属先や進路を

決めることになった

 

入れ替わりに

一期生のヒロとショウは

典医寺での

一年間の研修期間を終え

それぞれの故郷に戻り

医官としての勤務が決まった

 

 

今年も無事に卒業を迎え

何よりです

 

 

式典のあと

ほっとした顔で

チェ侍医はウンスに告げた

 

 

ええ 本当に・・・

これもチェ先生やサラや

教授たちのおかげだわ

あの子達をよく導いて

くれました

感謝しています

それに

ヒロとショウのことも

ありがとう・・・

典医寺でさらに学んだからこそ

地元も帰っても即戦力だと思う

ヒロは医官である父親から

女医になることを

反対されていたから

認めてもらえてほんとよかった

ヨンファも喜んでいたのよ

いい医官が朔州に増えたって

 

 

ヒロの故郷は

ウンスの妹分ヨンファが

嫁いだ先で

ショウはチェヨンの本貫

鉄原が故郷だ

 

 

それに一期生のメリの

決断にも驚いたわ

恵民局をやめて

ソルジャの助産院を

一緒にやるって言うんだもの

一期生もそれぞれの場所で

頑張っているのね〜

二期生もきっとそれに

続いてくれるわ・・・

横のつながり

縦のつながり

養成所出身者たちの

絆を思うと嬉しい限りよ

 

 

そうですね

医仙様の医術に対する

お考えが

彼女たちに浸透している

何よりの証ですよ

それにしても

私はあの三人の卒業生に

驚かされました

医仙様は以前から

ご存知だったのですか?

 

 

うふふ

私も驚いたわ

でもいいアイデアだと

思わない?

だから協力を惜しまないって

彼女たちには伝えたの

それにメイの卒論

「お茶の効能の考察」は

本当に上出来だった

読み応えがあったわ

 

 

ウンスは思い出したように

微笑んだ

 

 

 

 

 

 

卒業試験を終え

卒業を間近にしたある日

ウンスの診療所に

二期生のナオとメイとソラが

緊張した面持ちで訪れた

 

聞けば卒業後の進路のこと

を相談に来たと言うのだ

 

皆 典医寺に残りたい

と言う要望なのか?と

思ったウンスだが

メイの口から出た言葉は

意外なものだった

 

 

うちの実家のお茶屋の隣に

空き家が出たんです

それでそこで開業したいと

夢物語を寮で話したら

ソラとナオが一緒にやりたい

って言ってくれて・・・

 

 

え?開業?

診療所を開くってこと?

本気なの?

 

 

もちろん

開業が時期尚早だってことも

わかってます

あたしたちが医者として

力不足なのもわかってます

でも 市井に

女人が気軽に行ける診療所が

少ないのに 

このまま黙って見ているのも

医仙様の教えに反するんじゃ

ないかって思えて・・・

そうしたらナオが背中を

押してくれて・・・

 

 

メイはしおしおと言った

 

 

市井で開業っていう

メイのあいであ

いいと思ったんです

だからメイに

女人専用の診療所は

どうかな?って

提案したんです

 

 

ナオが答えた

 

 

あたしは卒業が決まって

ホッとしたけど・・・

典医寺に残りたいって言う

みんなのような強い思いも

なかったんです・・・

けれど

メイとナオの話を聞いて

ああ これだ!って思って

 

 

人見知りのソラが

おずおずと付け加えた

 

 

すごいわ

もちろん大賛成よ

だけど

開業には資金もいるし

設備投資も必要よ

志があっても先立つ物が

必要なのも事実で・・・

 

 

その点は大丈夫です

うちの親が

出資してくれるって

 

 

メイが頬を赤らめ答えた

 

 

うちも賛成してくれて

援助してくれるって

 

 

繁盛している

絹屋の娘でもあるソラが

言った

 

 

私もそれなりに

蓄えがあるし・・・

 

 

両班のナオが胸を張った

 

 

おっけ〜!

そう言うことなら

必要なものがあれば

うちが使っている商団を

紹介するわ

医療器具もいい腕の職人が

いるから紹介できるし・・・

女人専用の診療所かぁ

すごくいいわね

そうだ!

診療所の名前はどうするの?

 

 

名前ですか?

まだそこまで考えて

なかったです・・・

 

 

じゃあ

もしよかったら

うちの分院ってのは

どうかしら?

 

 

分院????えええ?

 

 

三人は目を見開いた

 

 

ええ 診療所の名前は

『菊花診療所分院』

ダメかなぁ?

 

 

 

 

 

 

あの三人が女人専用の

診療所を開業したいとは

さすが医仙様の見込んだ

教え子たちですね

 

 

チェ侍医は涼しげに微笑み

ウンスを見つめた

 

 

いいえ

私の力じゃないわ

ここで学んだことを生かして

自らの考えで

羽ばたいてくれた

私はそれが嬉しかったの

 

 

そうですね・・・

それにしても

今日の養成所の晴れ舞台

上護軍もご覧になりたかった

でしょうに・・・

 

 

チェ侍医はつぶやいた

 

 

仕方ないわ

 

 

ウンスは少しばかり

顔を曇らせて言った

 

入学も卒業も

いつも見届けてくれる夫が

今日の式にはいなかった

胸騒ぎがするような出来事が

急に持ち上がったのだ

 

 

明の使節団が

王様に謁見に来たのに

あの人が放っておくことは

できないもの

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

新しい道に進む人

立ち止まって振り返る人

春は出会いと別れの季節

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

お話に登場いただいた

二期生の皆様

ご卒業おめでとうございます

 

赤 ナオ(ツマ吉様)

橙 メイ(caffe-piyo様)

黄 レイ(ray0110様)

緑 リヨン(rika0308koji様)

青 サユナ(id8604様)

藍 ソラ(kumiko0323様)

紫 ケイ(KF様)

 

新天地でのご活躍を

楽しみにしております

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

cafe-piyo様

メッセージ(卒論)をいただき

ありがとうございました

とても

興味深く拝読いたしました

そこで 

メイたちの進路を考えた時

女人専用の診療所を

開業するのはどうかしら?

と 閃いた次第です音譜

 

卒業生の七名の皆様

一期生の皆様

それぞれの道の先でまた

お会いできますように   haru

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村