ふと門を見ると
妹のユニョンがイサと
ソダンに到着したところ
「ユニョンの夢は
イサのお嫁さんになること」
と
公言してはばからない彼女は
イサに送ってもらったことが
とても嬉しそうに見えて
タンは兄として少し
複雑な気分だった・・・
イサはいい奴だし
信頼もしているし
チェ家のみんなにも
頼りにされている
だけどユニョンとは
親子ほども
年が離れていて
そのイサが
自分の弟になるのは
おかしな気がしたのだ
それに
妹を取られたような
気分になって
悋気もしている
見たところテマンとサンと
スニョンは
まだ来てないようだと
タンは思った
どうせ
またサンが駄々をこねて
いるんだろうな・・・
頭は悪くないのに
じっとしているのも
勉強も嫌いなサンは
何かにつけてソダンを
休みたがる
母親のウンスは
基本子供の考えを
尊重する人で
無理強いすることがないから
サンはしょっちゅう
遅刻している
最近はスニョンも剣術の
稽古の方が楽しいと言って
一緒に遅刻することが
増える有様で
タンはスニョンのことも
心配していた
もっと幼い頃は
筆を使っているのが大好きな
引っ込み思案な妹だったのに
今では
すっかり変わってしまった
スニョンの夢は
ムガクシ・・・かぁ
活躍しそうだなぁ〜
でも・・・
ぼくはまだよく
わかんないや〜
ソダンで
最近出された課題に
「自分がどんな大人に
なりたいか
どんな夢を持ちたいか
考えてみましょう」
と言うのがあった
これは
近い将来受ける科挙や
その他の受験に向け
自分を見つめ直すように
と言うユハ先生の狙い
だったのだが
タンはこのところ
ユハ先生の思惑通り
ずっとその課題について
将来の自分の姿や
夢について考えていた
周りの人は
父親のような立派な武士に
なるだろうと思っているし
いやいや母親のような
尊い医者になるのだろうと
言う人もいる
が 正直
「これがやりたい！」
というものに
まだ出会えていない
気もしている
あ〜疲れたぁ
ようやく読み終えたでする
え？タンちゃん
いつの間に？
読み終えるの早いですね〜
さすがでする〜
タンがぼんやりしていると
母親ポムに似て
独特の言い回しをする
親友のミョンが
目を輝かせながら
タンを見て微笑んだ
ミョン 読み終えた？
じゃあ
雪だるま 作らない？
おっき〜いやつ
みんなが
びっくりするくらいの
いいでするね〜
やりましょう！
二人は早速庭で
雪玉を転がし始めた
ソダンでは日課の課題を
解いた後は
自由に過ごす時間もあって
タンとミョンはこのところ
雪だるま作りに夢中だった
ねえ ところでミョン
ミョンの夢ってなあに？
ああ
あの課題でするね？
うん
ぼくの夢は父上のような
立派な
武士になることでするよ
あと
母上とミユを守ること
それにタンちゃんのことを
ずっとお助けしたいでする
え？ぼく？
はい
父上がサホグン
（上護軍）様を
お助けするように
ぼくもタンちゃんの
お役に立ちたいのでする
ありがとう
でも 夢は自分のために
叶えるものじゃないの？
誰かのためじゃ
ダメでするか？
夢にはならないでするか？
う〜〜〜ん？？？
ダメだとは思わないよ
ミョンらしいって思う
本当？
うん すごいよ
ミョンは
ミョンは少しばかり
変わった口調のせいか
おっとりした性格のせいか
他の男の子たちから
バカにされることがある
だがいつもニコニコ
それを笑い飛ばして
悠然と構えている姿に
タンは密かに感心し
友を心強く思っていた
ところで
タンちゃんの夢は？
決まりましたか？
やっぱりお父上様のように
この国で大活躍されるのが
夢でするか？
どうかなぁ〜
まだ考え中ってとこかな
タンが悩んだ顔で
そう答えると
ミョンは深く追求せずに
「ごゆっくり考えれば
いいでする」と笑った
曇天の空から
ちらちらと雪が舞っている
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
背負うものが多すぎて
つい肩に力が入るときは
背筋を伸ばして
深呼吸する
うるう年
今日は2月29日です
と言うことは
明日から三月
二月はあっという間に
逃げて行った・・・
三月もどうぞ
よろしく
おつきあいくださいませ
