天女や

その歌声を聴かせて

くれないかい?

 

 

早朝 

人目のないうちに

地下牢に戻ろうと

帰る支度をしていると

宿屋の女主人が女に

唐突に言った

 

 

聞いてみたいんだよ

ヨンァが師匠だって言う

あんたの歌をさ

 

 

女は男を見た

ここで

歌ってもいいのだろうか?

 

 

構いませぬ

いつも通りに

 

 

わかったわ

じゃあ・・・

歌います

 

 

女は息を吸い込み

歌の準備

ところが

 

 

ちょっと待っておくれ

親戚の娘にカヤグム

(琴)の使い手がいてね

ウンスさん

あんたの話をしたら

その娘がぜひ

天女の歌を聞きたいって

いいかい?

 

 

ええ もちろん

 

 

そこへ

娘がカヤグムを抱え

現れた

 

 

て?ええ?

私の友人によく似ているわ

世界には似た顔の人が

三人いるって言うけど

まさか?モモのご先祖様?

だったりして??

 

 

天女様

あたい ポクスンア(桃)

って言います

ヌナ(姐さん)から話聞いて

飛んできたの

天女の歌声 聞いてみたい

 

 

そんな

大したもんじゃあ

ないんだけどなぁ

 

 

キラキラ瞳を輝かせている

可愛らしい娘を前に

照れたように女は答え

手を体の前に携えた

 

 

あぁあぁ〜

ああああぁ〜♩

 

 

発声で喉を広げて

心を落ち着かせると

彼に教わった通りに

自信を持って

遠く天まで突き抜けるような

澄んだ歌声を

響け 届け

女は祈りを込めて歌った

 

 

ふぅうう

素敵

すごく素敵

さっぱり意味はわからんけど

それでもこの辺に

じんじん来た

 

 

娘は胸のあたりを

どんどん叩いて

頬を赤らめた

 

 

イムジャの歌声は

人の心に沁み

その心を癒す

俺もその一人・・・

 

 

そんなこと言われたの

初めて

だって守り神さん

絶対 褒めないもの

 

 

そりゃあ 仕方ないね

ヨンァは口下手で

愛想のない男だから

天女が寛大な心で

許しておやり

 

 

女主人の言葉に女は笑い

小さく頷いた

 

 

男の心は葛藤していた

自分が人に執着するなど

あり得ぬことだと

思っていたが

目の前の女人を

手放したくない思いばかりが

強くなっていた

彼女の歌声を聴いていると

心が洗われ

その思いは一層強くなる

 

これがただの執着なのか

それとも恋慕の情なのか

 

常にそばにいられれば

守ることができるのに

彼女は天界に戻りたいと言う

 

違う世界に住む二人

もどかしさが募る

だが男は意を決して

その思いを封印した

 

何かを求めてはいけない

己が人生に欲しいものなど

何もないはず

 

 

密かに

地下牢に戻った二人は

天界に通じる

石門の前に立った

 

男は女を抱き上げ

女は男の首にしがみつく

 

 

しからば天界へ・・・

天界へ戻りたいと

願いを込めて

歌うのです

 

 

やってみる

 

 

女の美しい声が

地下牢に轟くと

石門がガタガタ揺れて

青白い光を放った

 

男はその光の中に

吸い込まれるように

足を踏み入れた

 

 

 

女が劇場に姿を見せると

現場は大騒ぎだった

シャンデリアは壊れたまま

人々も混乱したまま

 

プリマドンナは

鬼神の呪いだと言って

舞台稽古を欠席していて

このままでは公演も危ぶまれた

 

行方不明の友が心配のあまり

ろくに眠れなかったモモは

泣きはらした目で

親友を出迎えた

 

 

どこに行ってたのよ

どんだけ心配したと思って!

 

 

怖くなって・・・

ちょっとの間

身を隠していたの

 

 

女が嘘を混ぜたことで

後ろめたさを感じ

オロオロ答えると

モモはぎゅっと女を

抱きしめた

 

 

とにかく無事でよかった

おまわりさんが話を

聞きたがっているの

一体何があったの?

シャンデリアを吊るしている

ロープが人為的に切られて

いたみたいなのよ

ウンスや

大丈夫なの?

 

 

それから

警察に根堀り葉掘り

事情を聞かれたが

男の姿はその場になかった

 

 

きっとどこかで

見守ってくれているんだわ

 

 

女はそう信じた

 

 

とにかく

リハをしないと

幕が開かないぞ

 

 

演出家の一声で

皆が舞台稽古の準備を

再開するが

プリマドンナは怖がって

説得に応じず

舞台に立とうとしなかった

そこで

演出家は急遽

 

 

ユ・ウンス

君が代役を務めるんだ

 

 

静かにそう告げた

 

 

 

クリスマスベルクリスマスベルクリスマスベルクリスマスベルトナカイクリスマスベルクリスマスベル

 

 

アメンバーの皆様へ

お知らせです

 

土曜日12月9日(予定)に

ヨンマルリョンシ(年末年始)の

三つ子のお誕生日企画の案内を

アメ限でお届けいたします

企画応募の期間が

短いと思いますので

お見逃しないように〜

ご参加お待ちしています!

 

 

そして 今回の

モモ百々様のイムジャ企画

ウンスの友人役で

高麗も現代も

ご出演いただいております

よろしくお願いします

 

またおつきあいくださいね

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