ウンスとウネが屋敷で

お茶をしている頃

チェヨンはウダルチ兵舎で

鍛錬に精を出していた

 

 

上護軍に稽古をつけて

もらえるとは

なんという有難きこと

 

 

隊員たちはこぞって

チェヨンに挑み

ことごとく返り討ち

 

若い隊員たちよりも

一回りもふた回りも

歳を取っていても

相変わらず

しなやかな身のこなし

足さばき

そして鮮やかな剣の振り方

鬼と言われた孤高の

高麗武士は今も健在だった

 

その勇姿をじっと

眺めているのは

隊長を長く務めている

腹心の部下チュンソクだ

 

 

俺はあの方に

少しは

近づけたのだろうか?

 

 

そんなことをふと思う

武士としても

男としても

前を行くチェヨンという壁は

とてつもなくデカかった

その壁を乗り越えたいと

もがいた頃もあったが

いつの頃からか

もがくことをやめた

 

上官は天界人と恋をして

行方知れずのその女人を

四年待ち続けて

諦めることなく再会し

やがて妻に娶った

その時点で

自分とはあまりに

次元の違う話だと思っていた

チェヨンという男は

特別なのだとさえ思った

 

なのに それでも

まだどこかで

チェヨンに追いつきたい

と思っていたのだ

 

肩の力が抜けたのは

ポムを娶った時からだ

娘といってもおかしくない

そんな歳の差のある女人と

家庭を持って

屈託のない明るさと

ひたむきさに救われた

 

武士はどこで野垂れ死ぬか

わからない

戦に明け暮れる人生で

ポムとの暮らしは新鮮だった

 

愛するという言葉の意味を

知ったのもその頃だ

 

 

家族が大事で

妻を愛する

俺もただの男・・・

上護軍もただの男

それだけのこと

それでいいのだ

 

 

そう思ったら

すうっと力が抜けて

なんとも合点がいったのだ

 

上官の壁を越えるのではなく

大切なものを守る壁に

共になれたらいいと

そんな風に考えるようになった

 

そしてそれは多分

他のウダルチの隊員

トクマンやチソンも然り

高麗最強の編成部隊

義勇軍の連中も皆そうだろう

 

 

暑さが身にしみるな

動きが散漫になる

 

 

稽古を終えたチェヨンが

チュンソクのそばに

やって来てぼそりと言った

 

 

機敏で隙のない

見事な動きと

お見受けしました

 

 

チュンソクの返しに

チェヨンは少しだけ

口元を緩め言った

 

 

たまには

手合わせでもどうだ?

 

 

チェヨンは剣を握り直すが

 

 

いやはや

某はご遠慮申し上げる

上護軍の鍛錬のお相手は

血気盛んな若武者に譲ります

上護軍の体力には敵いませぬ

それに某 

まだ倒れるわけには

参りませぬゆえ

 

 

チュンソクは

丁寧に辞退した

自分ではまだまだ若いと

思っているが

チェヨンを前にすると

武士としても男としても

体の衰えを痛感する

 

チェヨンのどこから

これほどの力が湧いてくるのか

チュンソクは不思議で

ならなかった

あれほど激しい剣さばきを

見せていたにも関わらず

呼吸の乱れもないのだ

 

 

そうか?

ではそうするか

もう一本

チソン 

お前まだ行けるか?

 

 

むっむりです!

プジャン助けてください!

 

 

コテンパンに

やられたチソンは

副隊長のトクマンに

助けを求めた

 

 

え?俺?

むりむり

誰があの人に勝てるんだよ

あのテジャン(隊長)でさえ

辞退してるんだぞ

あ そうだった

武具の手入れをしようっと

じゃ 上護軍 

そういうことで・・・

 

 

トクマンはそそくさと

逃げ出した

 

 

調子のいい奴め

 

 

チェヨンが苦笑していると

 

 

俺ではダメか?

 

 

思いがけない人物が

名乗りを上げた

 

 

アン・ジェ将軍???

こりゃあ すごい!

名勝負になりそうだ

 

 

隊員たちがやいのやいのと

口々に声をあげ

わらわらと広場に集まり

チェヨンの返答を

固唾を呑んで見守った

 

 

そうだな

久しぶりに

手合わせ願うか

 

 

よっしゃ〜

こりゃあ すごいぞ

 

 

と 隊員たちの歓声が

広場に響く

 

 

そうして

皆が見守る中

二人の真剣勝負が始まった

 

 

アン・ジェが右から

斬り込むと

チェヨンはさっと翻り

ポンと高く飛び上がって

アン・ジェの背後に

回り込む

すると今度はアン・ジェが

体をひねって

チェヨンの剣を肩で構えて

受け止める

 

カキーンと

小気味いい剣の音

両者 一歩も譲らず

お互いをギッと睨み合い

すり足で円を描くように

じりじりと地面を移動する

静寂の中

二人の衣摺れの音が

かすかに聞こえた

 

 

まるで

剣の舞を見ているみたいだ

お互い 動きが綺麗すぎる

隙がなさすぎだろ これ

 

 

息を止め

二人の立会いに

見入った隊員たちは

その重圧から逃れるように

ヒソヒソ 話しあった

 

 

カキーーーン

 

 

と 互いの剣が

十字に交わった時だった

 

 

そこまで!

 

 

間に入ったのは

やはりチュンソクだった

 

 

お二人のどちらかでも

お怪我なさっては

国の宝の損失です

勝負は剣ではなく

酒の場でつけてください

 

 

おいおい

酒か?

まあ それもいいが

 

 

アン・ジェはニヤリと

笑って剣を収めた

 

 

久しぶりに手応えがある

鍛錬だった

礼を言うぞ アン・ジェ

 

 

チェヨンがさらりと言うと

隊員たちはぐったり

息を吐きながら言った

 

 

あれが鍛錬かよ

どう見ても真剣勝負だろ

はあああ すごかった

 

 

二人は隊員たちのどよめきなど

意に介さぬ風で

チュンソクの差し入れの冷水を

一気に飲み干し

ひたいに滲む汗をぬぐった

 

 

たまにはいいな

こう言う勝負も・・・

なあ チェヨン?

 

 

まあ・・・そうだな・・・

して

俺に何か用か?

わざわざ俺と剣を交えるため

ここに来たわけではなかろう?

 

 

チェヨンはアン・ジェに

向き直ると

静かに尋ねた・・・

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

信頼に値する相手だから

時に 戦いを挑み

気兼ねなく語らう

 

 

 

くま猫うさぎねずみトラ

 

 

 

残暑お見舞い申し上げます

本当に暑い日々ですね

地球はどこまで

沸騰するのでしょう?

暑さや水不足や水害による

食料不作も心配です

 

haruも先週末に

病院のお世話になりました

お薬もらって

無事回復しましたが

暑さで体調を崩す人や

胃腸の調子が悪い人が

とても多いそうです

また

ペットにも過酷な夏です

うちのわんこも

朝の散歩を嫌がって

首輪見たら逃げていきます

笑笑・・・

 

皆様も

どうか

安寧にお過ごし下さいませ

 

 

更新の間が空きミアネヨ

またおつきあいくださいませ

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<アメンバーの皆様へ>

ゴンのバースデー企画に

ご参加いただいた皆様

ありがとうございました

記事のコメント欄にも

書きましたが 結果は

お話の中で公開いたしますね〜

また ゴンのバースデーの頃に

リクエスト企画の

ご当選者様のお知らせも

いたしますので

もう少しお待ちくださいませ