見知った山道を
輿は止まることなく
登っていく

 

季節は春といっても

そろそろ夏の陽気

さすがにケナリの花は

姿を消して

遅咲きの山桜の花びらが

あたりに舞っていた

 

清々しい新緑の香りを

深く吸い込んだウンスは

腕の中で眠る三男坊の

ゴンをあやしながら

ごとごとと

でこぼこ道に揺られている

 

チェヨンは輿の様子を

気にかけながら

一人で馬に乗っている長男の

タンを視界に捉えていた

 

時折 

乗馬の訓練はしていたが

山道も遠出も息子は初めてだ

 

もしかしたら

チェヨンがウンスに初めて

馬の乗り方を教えた頃よりも

息子のタンは

上手に愛馬リョンを

扱っているように思えた

そしてリョンも

父親チュホン譲りの賢い馬

タンの意を汲んだ優しい歩みで

主人に寄り添っていた

 

 

いいなぁ

にぃにはひとりで

リョンに のれてさぁ

サンもおうまにひとりがいい

 

 

羨ましそうな声で

ばぁばに訴えるが

 

 

サンには騎乗はまだ早かろう

馬に乗ることに

少しずつ慣れていかなくちゃ

いけないよ

サンは向こう見ずなところが

あるからねぇ

それに仔馬にこの急な坂道は

きつかろう?

 

 

大叔母のチェ最高尚宮は

なだめにかかった

 

 

そうかなぁ?

でもさ おうちで

おるしゅばんなんて

チュン かわいそうだよ

 

 

チュンも

同じくチュホンの息子で

サンの愛馬として務めが

果たせるようにと

馬の扱いに長けている

女中のリアンから

教育を受けている最中だった

 

 

ヌン(母馬)とのんびりできて

案外 チュンも

嬉しいかもしれないよ?

サンだって オンマを

独り占めできたら嬉しいだろう?

 

 

う〜〜〜ん そうだけど・・・

リアンにいじめられてない?

リアンすぐしかられるもの

 

 

安全に主人のサンを運ぶために

チュンはいっぱい

勉強しているところなんだよ

何事も最初が肝心

リアンはきっちりチュンを

躾けているのだろう

タンぐらいの年頃になったら

サンも一人で騎乗できるように

なるだろうが

それまでに

馬のことをよく知り

上手に扱えるようにならないとね

 

 

まだ不満が残る顔のサンだが

ばぁばの意見に渋々頷いた

 

 

それにしても

チュホンも子沢山に

なったもんだ

 

 

チュホンの相方のヌンは

今春三頭目の出産を

控えており

チェ最高尚宮は

甥とその愛馬を重ねて

くくっと笑った

 

その横を騎乗したタンが

きりりと通り過ぎる

 

チェ最高尚宮にとって

初孫と言うべきタンは

すっかり手足も伸びて

幼な子から

子供らしい体型に変わった

 

目に入れても痛くないタンの

成長を間近で見られることは

この上ない幸せではあるが

幸せにはわずかな影も

つきまとうもので

すぐに大人になって

もしかしたらウダルチに

入隊して

いつか戦に出ていくのか

と そんな想像をするだけで

胸が締め付けられる

 

甥の時は何も考えず

チェヨンが王家のために

働くことが正しい道で

戦で活躍することを

あっぱれと思っていたが

どうやらタンに対しては

そうは思えなかった

 

武士よりも先祖代々の

文官の道に進んでくれたなら

その方がどんなに安心だろう

決して口には出さないが

ついつい思ってしまうのだ

 

 

ばぁば?ねえ

もう ちゅいた?

 

 

サンに呼びかけられ

チェ最高尚宮は

はたと我に返った

 

立派な門をどんと構えた

チェ家の墓がある山の中の寺は

いつ来ても喧騒から離れ

厳かな佇まいだった

 

 

ああ着いたよ 

お祖父様とお祖母様に

ご挨拶をしようね

きっとお待ちかねだから

 

 

兄を慕っていた娘時代の

チェ・ギョンウォンの

顔つきに戻り

ばぁばはサンに答えた

 

 

 

実は今日は

久しぶりの墓参りだった

もちろん

言い出したのはウンスで

 

墓に行かずとも

心の中で供養すればそれでいい

想いは伝わると言う考えの

チェヨンをウンスは説き伏せ

今日の日を迎えた

 

 

ゴンを一度も連れていって

ないんですもの

お父様やお母様にもぜひ

子供達の成長を

見ていただきたいの

それに

あのお寺は婚礼を挙げた

思い出の場所でもあるのよ

私たちが一生添い遂げるって

約束した場所を

子供達の記憶にも残したいわ

 

 

そんな風に言われると

反対する理由も見つからず

夫婦の休みを合わせて

一家総出ということで

叔母も誘って

大所帯で出かけることに

なったのだ

 

 

輿から降りたウンスは

ざわざわ

風に揺れる木々を見上げ

大きく伸びをした

 

 

あああ 気持ちがいい

森林浴だわ

 

 

スニョンとユニョンは

代わる代わるゴンを抱っこ

面倒見のいい姉たちが

母親に続く

 

タンはここまで頑張って

自分を乗せて来た愛馬リョンの

鼻を撫でて労って

サンはその隣で

いいなぁ いいなぁを連発中

 

 

では 墓に参るか

 

 

チェヨンに声をかけられ

振り向いたウンスは

手を差し伸べた

 

その手をぎゅっと握ると

チェヨンは微笑み

新婚の頃のように

仲睦まじく

ウンスと歩き始めた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

季節が変わっても

時が経っても

変わらぬ思い

遠くの人にも会えない人にも

 

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

おはようございます

なかなか更新できないまま

気づけば木曜日!!やばっ!あせる

 

今日はものすご〜く

暑くなりそうですねぇ

まだ五月なのに・・・叫び叫び

 

それにしても最近

周りで体調不良の人が

多い気がしています・・・

免疫力が低下しているのは

コロナ禍由来なのかしら?

 

はしかやインフルエンザの

ニュースも聞きますし・・・

 

みなさま

どうぞ体調管理に

お気を付けくださいね

haruもゆるゆると参ります

 

安寧にお過ごし下さいませ

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八年前の母の日のお話

ウンスのお腹にはみぃ(タン)

がいました

タンが思いついたソンムル

花かんむりは 胎児の記憶かしら?

こんなところに繋がりが・・・ダウン

またおつきあいくださいね〜