イサ先生の講義
素敵だったわねぇ
何と言っても
美丈夫なんですもの
 
 
両班で官位の高い父を持つ
コ・ミジャは
ふうっと息を吐きながら
医術とは関係ないところで
感激したと言って
ぼうっと天井を見上げ
イサの笑顔を思い出し
頬を赤らめた
 
 
まあ ミジャさんったらぁ
でも確かにイサ先生は
格好がいいわ
どこか冷たそうなところも
私 ツボなのよね
ところで
ねえ ミジュさんって
医仙様の診療所で直接
イサ先生に指導を受けたって
ほんとう?
 
 
そう聞いたのは
トクマンのいとこの
リノだった
 
 
ええ ほんとうよ
若先生・・・いえ
イサ先生はとても若いけど
ユ先生 
いえ 医仙様仕込みの
優秀なお医者様だし
それにとてもよく気がつくの
お子様たちにも人気があってね
 
 
まああ
羨ましい
私も診療所で修行を積みた
かったなぁ
 
 
エ・ミリは心底
そう思ったようで
養成所に合格したのが残念
というような口ぶりで答えた
 
 
ミリさんったらぁ
でも 不合格だからって
誰もが診療所で修行できる
わけじゃわよね?
ねえ?ミジュさん
 
 
ええ もちろんそうよ
私はたまたま・・・
たまたま運が良かった
本当に感謝しているわ
イサ先生にも
ユ先生にも
とっても
 
 
不合格だとわかって
落胆のあまり
川へ飛び込んで
しまいそうだったあの日
イサに出会っていなければ
どうなっていただろう?
今の自分はいなかっただろう
と ミジュはしみじみ思った
 
 
それにしても縫合術って
すごいのね
私たち
本当にあんなことが
できるようになるのかしら?
 
 
イ・ジュイナは訝しげな
顔で呟いた
一期生で優秀な寮長だった
ヒロでさえ
養成所の二年で習得できずに
里に帰らず 典医寺で
修行を続けていると聞いた
縫合ができる医官は
この時代まだまだ少ないのだ
 
 
でも頑張るしかない
そのためにここにいるんだもの
美丈夫な先生を鑑賞している
暇はないわ
ミジャさん あなただって
ここに遊びに来たわけじゃ
ないでしょう?
あたしは家族のためにも
覚悟を持ってここに来ているの
 
 
カエがややきつい口調で
きっぱり言った
 
 
そりゃあ そうだけど・・・
でも
イサ先生もお父様の侍医様も
格好がいいのは事実でしょう?
医官といえども見た目も大事よ
頑張り具合が変わるわ
 
 
コ・ミジャはむぅとした顔で
自分の主張を言い返す
 
 
縫合術の講義のあった夜
寮の談話室に
集まった新入生たちは
イサに出された
課題を解きながら噂話に
花を咲かせている最中だった
だが 学生たちは
今まで育ってきた環境が
あまりに違っている
それで
それぞれの立場によって
実習の捉え方も
ものの見え方も
異なっているようで
時折 小さな衝突が続いていた

 

 

縫合術は

いろんな場面で

医官にとって

必要な技術だって

イサ先生言ってましたよね

だから今年から本格的に

二期生の先輩方も縫合に

取り組んでいるとか・・・

て ことは

あたしたちは幸運ですね

初年度から先輩たちと

ご一緒に学ぶことが

できるんですもの

 

 

学生の最年長で母親でもあり

姑にも仕えている苦労人の

商家の嫁リョウが

娘たちの間に入って

ぼんやり諭し

その場はなんとか丸く収まった

 

その様子を寮母のソアは

陰からこっそり見ていた

 

身分も育った環境も

まるきり違う学生たちを

預かることになって三年目

のソアだが

こう言った学生たちの衝突や

行き違いはあって当然のことだ

と思っている

 

そうして互いに揉まれて

悩んで学んで

少しずつ人間関係が出来上がり

身分や親の地位に関係なく

純粋に医学の道を邁進する

大事な女医仲間へと

変わっていくのを

この二年で散々見てきた

一期生も二期生も

そんな風にここで過ごして来たのだ

 

 

さあ お夜食にしましょうか

大妃様から差し入れが

あったのですよ

勉強を頑張っている皆さんへ

西洋のビスケットという菓子

とても甘くて美味しいですよ

ネイルさん

二期生のみなさんも

呼んで来てくださいな

皆でいただきましょう

 

 

ソアは三期生たちに

声をかけた

 

 

やったぁ

西洋のお菓子!

さすが王宮だわぁ

 

 

ネイルは嬉々とした声をあげ

浮き足立って

先輩たちを呼びに向かった

 

 

ーーーーーーー

 

 

どうでした?

初めての講義は?

その顔つきだと

上手くいったようですね

 

 

チェ侍医は

息子の初講義の様子が

気になったらしく

いつもより典医寺から

早めに帰ってきたのだが

落ち着いた様子の息子を

誇らしげに見つめ言った

 

 

いやいや

人前で話をするのは

やっぱり得意じゃないよ

無駄に緊張するし

 

 

総大将としてかつて

大勢の臣下に

檄を飛ばした経験も

講義では役に立たないようで

イサは苦笑して答えた

 

 

でも人に説くのは

いい経験になりますよ

己を強くしてくれる

 

 

ユ先生にも同じようなこと

言われたなぁ

気があうね お二人さん

 

 

ニヤッと笑ったイサに

 

 

親をからかうもんじゃ

ありませんよ

イサときたら・・・

 

 

今度はチェ侍医が

苦笑して答える番だった

それから二人は

酒を酌み交わしながら

今日の講義について語り合った

 

 

新入生は最初

みんなポカンとしていたよ

傷口を縫うってことを

オレは

当たり前のことだと思って

やってきたけど

それって本当は

すごいことなんだよね

ユ先生がいてくれてこその

技術なんだよなぁって

改めて思った

 

 

その通りですよ

天界の医術を学べる機会に

私たちは恵まれているのだから

もっと精進しなくては・・・

だが

腹を切るとか 

針で傷口を縫うとか

未だに抵抗がある患者もいるし

家族が反対する場合もある

新しいことを始めるのは

いつの時代も大変なこと

だからこそ医術に携わる人々に

正しい知識や技術を

伝えていかねばなりません

なのに 嘆かわしいことに

ちゃんとできもしないのに

縫合術の看板をあげている

偽物医者のなんと多いことか

それではますます

縫合に対する

信頼を損ねてしまいますからね

 

 

チェ侍医は忌々しそうに

呟いた

 

 

ああぁ

それで典医寺で承認制度を

作ったんだね

父上の考えは間違ってないよ

 

 

イサは頷いた

このところ 

天界式の手術で病を治すと

看板を掲げて

法外な金を取った上に

およそウンスのやり方とは

違う術式で 失敗したり

患者を死に至らしめる事例が

相次いで報告されているのだ

 

そのことを深く憂慮した

チェ侍医が

チェヨンに相談し

医官の腕前を典医寺で試験して

より専門的な

難しい術を有する適格者には

王様のお墨付きを与える

といった具合に制度を変えている

ところだった

 

 

医仙様の志が汚されるのは

由々しき事態です

典医寺とて放っては置けませぬ

 

 

父上もヒョンも

ユ先生がからむ事案には

見境がないからね

仕事っぷりが早くて気持ちいいよ

 

 

イサはククっと笑って

言い返した

 

 

 

 

翌朝

イサは普段通りに

診療所に出勤をした

出迎えたのは不機嫌な顔をした

ユニョンだった

兄弟喧嘩でもしたのだろうか?

 

 

どうした ユニョン姫?

サンと朝餉のおかずの

取り合いでもしたのか?

 

 

イサが

にこやかに尋ねると

ユニョンはますます

目を釣り上げて言った

 

 

ユニョン

イサ キライよ

 

 

は?

えっと?どうした?

姫??

 

 

困惑した顔でイサは

ふくれっ面のユニョンを

見つめた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

君の顔

怒っているのか

泣いているのか

手がかかって愛おしい

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

気がつけば大型連休突入

そして四月が終わります

皆様 

いががお過ごしでしょう?

haruは普段通りの生活ですが

連休後半はお休みだから

少し ゆっくりできるかなぁ

それにしてもとても眠い〜あせる

 

お話の更新率

今月もダダ下がりでミアネヨ

ゆるゆる更新ですが

おつきあいくださいませ

 

 

お話に コメントをいただき

ありがとうございます

お一人お一人に

お返しできなくて失礼しております

お心遣いに感謝です

 

季節の変わり目は何かと不調が

つきもの・・・

新年度の新しい環境にも

慣れてきた頃かと存じますが

めまいや頭痛など

体調の変化にお気をつけながら

どうぞ皆様も

安寧にお過ごし下さいませ

 

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