ウンスたちが女同士
ひな祭りで盛り上がっている頃
イサは王宮に着いていた
 
 
来たか?
 
 
集賢殿で
待っていたチェヨンは
イサを執務室に招き入れる
他の文官は皆
帰宅した後のようで
パク・インギュの姿もなかった
 
 
ヒョン
余計な手間をかけさせて
すまない
 
 
イサは神妙な顔で
チェヨンに言った
実母のことを調べて欲しい
そう願い出たイサに対し
チェヨンはわかったと告げ
それから密かに調べを
進めてくれていた
 
 
すまない・・・と?
何を今更
出会って以来
お前には本当に
手を焼き通しだぞ
 
 
それはまるで肉親に
小言を言われるみたいな
感じがして
イサはこそばゆく思えて
苦笑した
 
 
うん
ごめん
迷惑ばっかりかけて
 
 
今度は「ごめん」か?
殊勝な顔で言われると
調子が狂う
 
 
チェヨンは笑って
イサの頭をポンと叩いた
 
 
しかしどうしたのだ?
以前は過去は過去
調べたところで何も変わらぬと
言っていたではないか?
 
 
ちょっと・・・ね
気になることがあって
 
 
何か言われたのか?
 
 
誰にと問わないところが
ヒョンらしいな・・・
察しがついているって
ことだろ?
 
 
聡いチェヨンのことだ
このところの二人の様子から
娘のユニョンに何かしら
関係があるのではないかと
思ったのだろう

 

 

夢を見るんだ

 

 

夢?

 

 

うん

それがおかしなことに

ユニョン姫と同じ夢

どこかの小高い丘にいて

大木の下に女人がいて

 

 

あ?

 

 

チェヨンは怪訝な顔で

イサを見つめた

 

 

だけど

オレは何も思い出せない

あれは

前世の記憶・・・?

だろうか?いや

違うかもしれない・・・?

姫は

感の鋭い子だから

これから起こる未来を

感じ取っているのかも

しれないし・・・

でももしも同じ夢を見る

姫とオレに因縁があるなら

知りたいと思ったんだ・・・

それに

この国とオレのつながりは

母上だから・・・

母上がどこの生まれで

どんな人だったのか
ちゃんと知らなくちゃ・・・
過去に目を背けちゃ
ダメだって思って・・・

 

 

そうか

わかった

 

 

チェヨンは頷き

机の上に国の地図を広げた

 

 

ここはかつて華州と

言われていた場所だ

百年ほど前は

今以上に元国との戦が絶えず

北に国境を接している華州は

常に敵国の脅威に怯えていた

どうやら

お前の生母と思しき女人の

一族はその

華州の出と思われる

 

 

ん?

オモニは南方の出身だって

聞いたことがあるけど

 

 

そなたの母の名は

なんという?

 

 

ハナ

 

 

やはりそうか・・・

インギュが聞いた噂の女人も

名もハナと言った

華州の戦火を逃れ

南方に逃げたはずの一族が

倭寇との戦いに巻き込まれた

というわけだ

 

 

結局 どこへ行っても

オモニは戦からは

逃れられない運命だった

ってことか・・・

 

 

イサはしみじみ

悔しそうな顔で言った

 

 

そういう時代だったのだ

今よりももっと過酷な・・・

イサ・・・実は・・・

ハナ・・・という名に・・・

この名に俺は心当たりがある

 

 

ヨンファ様のお嬢さんの名前

でしょう?

 

 

それもそうだが・・・

その名は ウンスが・・・

かつて百年前に

使っていた名・・・

 

 

なに?意味がわからない

ヒョン 

え?どういうこと?

 

 

信じられぬ話だろうが

ウンスは

百年前にいたことがある

天界に戻るはずが

百年も前に飛ばされたのだ

その時代 素性を隠すため

ハナと名乗っていたウンスは

戦で傷ついた人々を

多く救ったそうだ・・・

それでその土地の女の子に

ハナと名付けられた子供が

多くいた

お前の母親もそれが所以の

名かも知れぬ・・・

それに

侍医との因縁もその頃からだ

侍医の祖父にウンスは

その時分 随分と

助けられたのだ

 

 

イサはにわかには

信じられないという顔で

チェヨンを見つめた

 

 

行きたくて行った

わけではない・・・

どういうわけか

百年前に流されてしまったことで

ウンスはなかなかこの地に

戻ってくることができなくなった

どこにいても

いくら素性を隠しても

じっとしておられぬお方ゆえ

戦で傷ついた人を

捨て置けなかったのだろう・・・

 

 

それで・・・

ハナという子が

増えたってわけか

 

 

イサはウンスが百年前で

暮らしていたという事実を

なんとか飲み込んだ

 

 

そうだ・・・

百年も前の時代で

ウンスが奮闘していることを

知る由もない俺は

ウンスと別れた国境近くの

黄菊の咲く丘の上で

ただただ

四年 帰りを待ち続けた・・・

イサが見た夢・・・

大きな木が一本そびえ立つ

その丘の上で俺もあの方を

待ち続けた・・・

イサの夢の風景を

俺も知っておるというわけだ

 

 

そうだったのか

 

 

ああ

互いの強い思いが

縁を引き寄せ

ようやく俺たちは巡り会えた

 

 

もしかして

オレが夢に見る

あの丘の木は

人の縁を引きつける何かが

あるのかな?

 

 

そうかもしれぬ

この世には説明のつかぬ

不可思議なことがあるものだ

もしかしたらあの丘の木が

俺たちを 何かしら

繋げているのかも知れぬ

 

 

チェヨンは遠い目をして

イサに答えた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

目に見えない力で

人は巡り会い

人は惹きつけあう

 

 

 

 

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大阪から無事戻って来ました

わんこも変わらず元気でした

 

明日からまたがんばろ〜〜

週明けも

安寧にお過ごしくださいね