ある日

二人は日帰りの旅に出た

 

 

久しぶりの高麗

みんな元気だと良いな

 

 

はしゃいだ声で話すのは

普段はおしとやかで

微笑み美人と評判の

帝国皇后テウル

 

 

テウルは本当に

高麗時代が好きだな

 

 

クスッと笑った目元に

上品さが漂う美男子は

普段は雲の上のそのまた上

名前を呼ぶことさえ許されない

皇帝陛下のゴン

 

もともとは別々の世界

民国と帝国で

生きてきた二人が

時の狭間で出会って

恋をして苦難を乗り越え

共に生きる道を模索して

ようやく夫婦になったのは

ごく最近のこと

 

 

ノ尚宮

絶対怒っているわね

また勝手にいなくなったって

 

 

ヨンァに任せてきたから

大丈夫だろう

私たちの週末は

世継ぎをもうけるため

寝殿にこもりきりと言う

ことになっている

誰も文句は言うまい

 

 

そうよ

それよ!それ!

なんであんなこと言ったの?

 

 

怒った顔のテウルに対し

ゴンは胸を張って答える

 

 

お二人は週末に

何をなさっているのですか?

と 我が民に聞かれたからだ

確かに週末になると

民の前から

我らの行方は途絶えるからな

 

 

毎週末とは言わないが

肩書きを捨て

二人はゴンとテウルになるため

できるだけ時空を旅して

二人きりの時間を謳歌している

 

だがその間 

二人は帝国から姿を消すわけで

本当のことを知っているのは

ノ尚宮と近衛隊長のチョ・ヨンだけ

 

国民が注目している二人の動向が

おかしな噂にならないように

ゴンは子作りに励んでいると

宣言したのだ

 

 

ゴンはいいかもしれないけど

私は

ものすごく恥ずかしいんだから!

わかる?この気持ち?

週末に何していたのか

全国民が勘違いしているのよ

だいたいSNSでそんなこと

発信する必要がある?

週明けにみんなに会う時

どんな顔して会えばいいのか

 

 

つらっとしていればいい

それにあながち嘘は言ってない

女官に囲まれた寝殿と違って

旅先は開放感が溢れていて

テウルもその気になるだろう?

 

 

それは確かに・・・

いやいやいや

そうじゃなくて・・・

 

 

テウルは苦笑いして

ゴンの腕をつねった

どちらがどちらの部屋に

渡ったか?

夫婦が過ごした夜の数まで

記録に残るのが皇帝日誌

この慣れない環境に

実際テウルは

いささか参っていた

 

 

ほら いつもの宿屋が

見えてきたぞ

今日は先客がいるようだな

 

 

大抵は人目を避け

夜に着くようにするのだが

昨日は大事な国際会議があって

日曜日だけの日帰り旅

だがそれでも二人にとって

貴重な息抜きタイムだ

テウルは前回高麗で仕入れた

チマチョゴリ姿

ゴンは前回旅した時よりも

地味目のパジチョゴリ姿に

笠をかぶって

一応顔を隠している

 

 

あら?ねえ

いい男が二人もいる

 

 

宿屋の食事場に

旅人が二人座って

談笑しているのが見えた

 

 

おい 私の前で

他の男の話か?

気に入らん

 

 

そうやって拗ねるとこ

好きよ

 

 

テウルはクスッと笑って

言い返す

長い髪が風に揺れて

テウルの頬が赤く染まった

 

 

皇帝をからかうとは

いい度胸だ

 

 

ゴンは

ドッキっとした顔で

テウルを見つめ

とぼけるように

脇腹をくすぐった

 

 

ヤァ ちょっと!

やめてったらぁ

 

 

二人のじゃれ合いに

気がついた女将が

テウルに声をかけた

 

 

おや 

お久しぶりですねぇ

また来てくださって

嬉しいですよ

ああ そうそう

くしゃみが出ませんでしたか?

先ほど 

あなた様たちのこと

噂していたんですから

ねえ 侍医様?若先生?

 

 

食事場にいた若い男が

怪訝な顔で二人を見ている

 

 

若先生?って

 

 

医仙様の診療所は

ご存知でしょう?

そこの若先生なんですよ

以前にお会いになりませんでした?

 

 

えっと・・・

お会いしたような

してないような?

 

 

女将さん

この人たち 例の?

ヒョンの?

 

 

ええ

こちらが・・・えっと

なんと申しましょうか

ヨンさんによく似た旦那様と

その奥様でして・・・

 

 

噂の主の登場か

ヒョンによく似た男が

そうそういるもんじゃないと

思うけど・・・?

ねえ 父上

 

 

父上?

お二人は親子?

なんですか?

 

 

テウルは驚いた口調で

尋ねた

父上と呼ぶには若く

お互いに顔の作りも

あまり似てはいない

テウルの気持ちを察したのか

若い男が答えた

 

 

オレにとって

唯一の父上だよ

まあ

顔は似てないけどね

 

 

そんなことはございませんよ

その切れ長の涼しげな

目元なんかそっくりですから

ねえ ヨボや?

 

 

ジヒョンが夫に尋ねる

 

 

ああ うん まあ

似ていない親子は

この世にたくさんいるもんだし

 

 

そうですよね〜

私もアッパとは似てないわ

母親似だってよく言われます

オンマは五歳の時に

病気で亡くなったけど・・・

うっすら覚えている顔は

確かに似ている気がするわ

ゴンもそうなんじゃない?

理系の血筋は

お母上様譲りよね?

お母上様は科学者だったし

ゴンは数学者だもの

きっと顔立ちも似ているに

違いないわ?

 

 

どうだろうか?

理系の血筋と顔立ちは同じか?

さすが文系 いや

コム(熊)系の発想だな

 

 

ゴンは面白そうに笑った

 

 

それに

私は写真でしか

母の顔を覚えていない

似ているだろうか?

 

 

ゴンは遠い目をして

聞いた

別世界に存在した

母親によく似た女には

一度会ったことがあるが

母上も彼女と同じ顔をして

いたのだろうか?

 

 

似ているわよ

私が見る限り

お母上様美人だもの

ゴンの美しい顔は

お母上様譲りだわ

ん?でもお父上様も

シュッとした素敵な

お顔立ちよね?

ゴンはお二人のいいところを

受け継いだんだわ

きっと・・・

 

 

テウルは一人納得したように

ゴンに言った

 

 

なんだ?もしかして

みんなオモニとの縁が

薄いのか?

オレも幼い頃にオモニを

亡くしているんだ

ヒョンもそうだし・・・

ヌナたちも?そうなんだね?

でも こうして

みんな立派に育っているんだし

今が幸せなら

それが一番だよね?父上

 

 

その通りだ

 

 

そうなの?

ヒョンって

チェヨン将軍のことよね?

彼も小さな頃に母親と別れたの?

 

 

三歳の時だったかな?

病気で亡くなったって

聞いたよ

もともと体が弱かったみたいだ

 

 

まあ それじゃあ

ゴンと一緒の身の上じゃない

ねえ ゴン?

 

 

ああ 

 

 

ヌナ

ヒョンを知っているの?

 

 

ええ もちろん

私がいる世界でも

有名人だもの

 

 

ん?もしかして

その言い方

ユ先生みたいだな

ヌナも天界の人?なの?

 

 

それって

ウンスオンニと

同じじって意味かしら?

それなら

同じようで違うような?

天界にも色々あるのよ

 

 

医仙様をご存知で?

 

 

侍医が口を開いた

 

 

ええ もちろん

以前にもお世話になったんです

それで私 この人と

結婚しようって

覚悟を決めることができて・・・

だからその報告も兼ねて

ウンスオンニに会いたくて

それにチェヨン将軍にも

お会いしてみたくて

またここへ来たんです

お屋敷に伺えば会えるかしら?

 

 

あっ 残念

今は家族団らんで

別邸にいるから

屋敷へ行っても会えないよ

短い夏休みなんだ

 

 

なんだぁ

残念

今回こそ将軍に会えるかと

楽しみにしていたのに

また次回に持ち越しね

ウンスオンニのお子さんたち

変わりないかしら?

 

 

うん チビ助たちは

みんな元気で

のびのび成長中さ

きっと今頃

きゃあきゃあ言いながら

釣りをしているんじゃないか?

 

 

よかった

 

 

テウルは優しい顔で呟いた

 

 

さてと

父上 

そろそろ行こうか?

 

 

そうだな

 

 

オレたちこれから

近場の温泉に寄って

それから都に帰るんだ

この宿は料理もうまいし

酒もいいし

女将さんも美人だし

星空も綺麗だけど

残念なことに

温泉が出ないもんなぁ

 

 

ああ 

前に女将さんが行ってた

温泉ね〜

いいなぁ 

私たちも行きましょう?

ゴン

 

 

いいけどさ・・・

温泉は混浴だよ

いいの?

そっちの旦那さんは?

 

 

ならん

それはダメだ

絶対に

 

 

あはは

声も言い方もヒョンに

そっくりだ

 

 

若い男は声をあげて笑って

言った

 

 

天界のヌナとヒョンも

仲睦まじいんだね

いいことだ

じゃあ 良い旅を〜

女将さん 

また来ます〜

お世話になりました

 

 

またいつでもどうぞ

侍医様 若先生

 

 

男二人は馬に乗って

宿屋を去った

 

 

私たちはどうする?

テウルの高麗の姉上は

お留守のようだが?

都で買い物でもするか?

 

 

そうだなぁ

それもいいけど・・・

女将さん

お部屋空いてます?

 

 

テウルの問いに

照れたようにゴンは聞いた

 

 

おい テウル

昼間から

本気で世継ぎを?

いくら国民に宣言したから

と言って

こう明るいとさすがに・・・

でも まあ 

テウルが望むならば

こういうシチュエーションも

悪くはないが・・・

 

 

ばか!

違うわよ

なに想像しているのよ ゴン!

そうじゃなくて・・・

川のせせらぎを聞きながら

お昼寝するのも

悪くないなぁって思ったの

このところ 

ノ尚宮の鬼特訓で

ゆっくり

昼寝もできないんだもん

リフレッシュしたら

明日から一週間

また頑張れるわ

 

 

なるほど そう来たか

それはいいアイデアだ

私ものんびりしたいと

思っていたところだ

女将

部屋を頼む

 

 

ハリのあるゴンの声が

響いた

 

 

はい ただいま

どうぞ

ごゆっくり・・・

 

 

川のせせらぎを聞きながら

本当のところは・・・?

高麗一のキーセンだった

宿屋の美人女将は

二人のやりとりに

クスッと笑い

その場をそっと立ち去った

 

 

 

花火花火花火花火花火花火虹

 

 

アンニョンハセヨ

本編の合間ではありますが

日曜スペシャルで

「永遠の花嫁」

前回の続きをお届けしました

 

今回は一話限りで

本編に戻りますが

また近々ゴンとテウルに

会えますように〜

 

前回のお話終了後

多くの皆様に

「永遠の花嫁」の続きの話を

リクエストいただきました

ありがとうございました

このままシリーズ化しようラブラブ

 

今度はどこに旅しましょう?

二人に訪れてほしい旅先とか

シチュエーションが

ありましたら

リクエストくださいね

とりあえず

ウンスに会って

結婚の報告が先かしら?

 

次回もまた

お付き合いくださいませ

 

 

ヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコ

 

 

コロナ禍

そして冷え込んでいる

隣国との関係

果たして以前のように

旅に出かけられるのは

いつのことになるのでしょう?

 

せめて旅気分を〜と

ロケ地巡りの動画をお借りしました

ダウン

 

どうぞ

安寧にお過ごし下さいませ

 

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そしてこちらは本編のリブログ〜

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