三寒四温삼한사온(サマンサオン)
 
朝鮮半島北部で冬の気候を表す言葉
吹き出す寒気が七日くらいの周期で
強まったり弱まったりすることに
由来する
寒い日は晴れることが多い
 
 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
 
 
おかしな夢を見たわ
 
 
ウンスは目を覚ますと
隣に寝ている夫チェヨンの方を向き
微笑んだ
 
 
どんな夢だ?
 
 
ん?あのね・・・
 
 
ウンスは反対側の隣で
ぐうすか寝ている息子のタンを
優しい眼差しで見つめて話し始めた
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
はなちて
はなちてったら
すにょんにさわらないでよ
 
 
ユニョンは
自分たちを囲む男たちを睨みつけた
男たちはヘラヘラ笑って
ユニョンに言い返す
 
 
チビのくせに勇ましいな
怖くないのか?
それにしても
どっちも綺麗な顔立ちをしている
大人になったら
きっと天女に化けるぞ
 
 
姉のスニョンが泣き出した
 
 
すにょ なかないの
きっとみんな さがちてる
しんぱいないからね
あんたたちかくごしなちゃいよ
 
 
まったく 
さっきからうるさいガキだ
少し黙っとけ
 
 
振り上げた男の拳がユニョンの頬に
その瞬間 一匹の犬が
唸り声をあげながら飛び込んできた
 
 
あうううううっ
ガルルルルル
 
 
あっ ふな〜
あっ たん!
 
 
愛犬フンと駆けつけたのは
スニョンとユニョンの兄タンと
末っ子のサン
二人とも手に短めの木刀を持ち
男たちを睨みつけた
 
 
いもうとをはなせっ!
 
 
へっ 怖いもの知らずの
ガキがまた増えたぜ
売り飛ばせばいい金になるか?
それとも親から金をせしめようか
綺麗な着物を着ている
どこかいいお家のガキどもだろうよ
 
 
相手は五人の大人の男
どう考えても勝ち目はなかった
スニョンは男に手を掴まれて
怯えたように泣いている
 
タンは父親チェヨンの言葉を
思い出す
「正面突破」
タンは木刀を構えた
剣術は父親に赤ん坊の頃から
仕込まれている
タンはサンに言った
 
 
サン 
タンが切りこんだら
スニョンをつれてにげるんだぞ
わかったか?
 
 
あにうえ〜
しゃんもたたかう
 
 
しゃん
あにうえのいうとおりにちて
いまはにげるの
すにょがないてる
はやくたすけなきゃ
 
 
タンはユニョンに微笑んだ
それからサンを見る
 
 
いくぞ サン ユニョン フン
 
 
あい!
 
ワンワンワン
 
 
タンはスニョンを掴む男の
スネめがけて切り込み
木刀を振り下ろした
 
 
イッテェ 痛いだろ!
 
 
思わず怯んだ隙に
すばしっこいサンが
スニョンの手を掴み駆け出した
その後ろにユニョンが続く
 
 
フン ユニョンをまもれ
 
 
タンは戻って来ようとしたフンに
素早く命令をした
ユニョンは逃げ足遅く
男に捕まり
抱きかかえられようとしていた
フンは瞬時に男の腕に噛み付き
ユニョンはその隙に逃げ出した
 
 
イッテェな
何するんだ この野郎!
 
 
男が小刀を構え
フンに刃を向けたのを見たタンは
タンを捕まえようとする男たちの間を
くぐり抜けて 愛犬フンのもとへ
 
男に飛びかかるとと小刀を
木刀で「ヤァ!」と叩き落とした
ところが背後から別の男がタンに向け
剣を振り下ろす
 
 
たん あぶない〜〜〜
やめて〜〜
 
 
ユニョンの悲鳴が聞こえた
その瞬間
 
 
カーーーンと音がした
鬼の形相でチェヨンが剣を
構えている
 
 
アッパァ!
 
 
無茶しおって
まったく 
心配したぞ
怪我はないか?
 
 
チェヨンはタンに尋ねた
 
 
あい!
ごめんなさい アッパァ
しんぱいかけて
 
 
無事で何より
 
 
しゅんとしたタンの頭を撫でて
それから男達をギロリと睨みつけた
 
 
俺の子供達を狙うとは
いい度胸だ
お前達 覚悟はいいか?
 
 
お お前 だ 誰だ?
 
 
あまりの気迫に
男達は固まった
 
 
あ?俺の名か?
知らない方が身のためだぞ
 
 
チェヨンは鬼剣を振り上げ
今にも皆殺しの構え
 
 
上護軍
殺しちゃダメですよ!
いくら腹がたっても
捕らえなきゃ!!
 
 
市中を見回っていた
ウダルチのテマンが
慌てて駆けつけて言った
 
 
上護軍?まさか?お前は?
 
 
その名を聞けば 悪党達は
震えが止まらなくなると言う
高麗の守護神チェヨンが
目の前にいた
 
 
テマンか?
わかっておる
斬り捨てはせぬ
このところ頻発している誘拐事件は
こいつら仕業かもしれぬ
捕らえて厳しく取り調べねば
だがその前に
俺の子供らに手を出したら
どう言う目に遭うか
こいつらには体で覚えてもらう
 
 
チェヨンはあっという間に
五人をボコボコ叩きのめすと
あとはテマンと駆けつけたウダルチに
その場を任せた
 
 
あっぱぁ ちゅよい
あっぱぁ〜〜しゅごい
 
 
泣き虫のスニョンは
チェヨンに抱きついた
 
 
スニョン ユニョン
勝手に出歩いてはならぬと
あれほど言っているであろう?
 
 
だって おんまぁに
まんじゅうをかいにいこうって
ゆにょが
おんまぁ げんきになるって
 
 
スニョンは目に涙をためて言った
珍しく熱を出して寝込んだウンスを
気遣っての行動に
チェヨンは そうか と
スニョンの頬を撫でた
 
 
案ずるな 母上は名医だぞ
病に負けるわけがない
それに俺もついている
だがお前達に何かあったら
そのほうが母上は倒れてしまうぞ
 
 
チェヨンはスニョンを抱き上げ
優しく言った
 
 
あああ りんきよ〜
ゆにょも〜〜
 
 
ユニョンが
チェヨンの腕にしがみつく
 
 
おいで ユニョン
 
 
チェヨンは頷き
両腕に大切な娘達を抱いた
 
 
タン サン
帰るぞ
母上が待ちくたびれておる
 
 
後ろを振り向き息子二人に
声をかける
 
 
あぁ〜〜い
まってぇ アッパァ
 
 
タンはサンの手を引き
チェヨンの後を追う
 
 
まだまだ寒い高麗の都
空は澄み渡り蒼く
道には白い雪が積もっていた
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
なんだか正夢みたいでしょう?
 
 
ウンスはチェヨンの腕の中で
甘えるように呟いた
 
 
そうだな
 
 
きっと
そんな日がすぐ来るわね
赤ん坊の時はすぐに過ぎるもの
だから
うんと今を大事にしなくちゃね
 
 
ああ そうだな
 
 
チェヨンはウンスの
こめかみに口づけを落としながら
頷いた
 
 
タンはあなたに似て
正面突破な男になるのかしら?
 
 
あ?イムジャも正面突破な女だろ
向こう見ずなところがあるゆえ
いつまでたっても目が離せぬ
 
 
もう ヨンたら
あら タン 起きたの?
 
 
タンはよいしょと
二人の間に割り込むと
ウンスにしがみついて言う
 
 
おんまぁ らぶ〜らぶ〜?
たん りんき よ〜〜
あっぱぁ
たんのおんまぁよ
 
 
何を言う
俺のウンスだ
 
 
二人が火花を散らしていると
ふぇふぇふぇと泣き声が
隣の部屋から聞こえ始めた
 
 
あら 
夢では勇ましかったユニョンが
遠慮がちに泣いているわね
うふふ
 
 
夫と息子の悋気合戦をすり抜け
ウンスは子供部屋で待つ姉妹の
授乳に駆けつけた
 
 
厳冬の高麗の都
だが屋敷の中はぬくぬくと
相変わらずに暖かだった
 
 
*******
 
 
三寒四温삼한사온(サマンサオン)
暖かな日もあれば
寒い日もある
そんな冬の日を徒然に
 
 
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
冒頭にも書きましたが
三寒四温삼한사온はもともと
中国大陸や朝鮮半島北部で
1月下旬から2月にかけて使う
冬の気候を表す言葉でした
 
それが日本の気候では
どちらかと言うと
春の兆しを表す言葉として
定着しております
 
まだまだ寒さ厳しい高麗の
少し早い春の兆しを探しながら
三つ子が生まれたチェ家の
新しい年に繋がる
新章になればと思っております
おつきあいくださいませ
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
夢のお話は
ちゃこ姉様から
「タンと三つ子が活躍するお話」
と言うリクエストをいただいたので
ちょこっとですが
描かせていただきました
本当はミョンやミレや
他の子供達も絡ませたかったのですが
そこまでたどり着けず すみませぬ
いただいたリクエスト内容は
いずれまた・・・
ちゃこ姉様 ありがとうございました
 
 
 
チェ家の女中にたくさんのご応募
ありがとうございます
コメをお返ししておらずミアネヨ〜
20日中受け付けておりますので
ご希望の方は前話の
へジャのお願いに「希望」と
コメを残してくださいね〜
 
 
皆様
安寧にお過ごしくださいませ

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