ウネが来ていたのか?
 
 
いつもより少し早めに帰って来た
夫チェヨンがウンスに尋ねた
 
 
ええ 久しぶりに色々話せて
楽しかったわ
 
 
ウンスは寝台に横になったまま
チェヨンに答える
チェヨンは微笑んでウンスを
見つめた
 
 
そういえばウネさんがね
王子様の祝いの宴の準備で忙しいって
のびのびになったもんね
名前のお披露目も
 
 
ああ お世継ぎゆえ
名 一つ取っても
簡単には決まらぬ
色々とやることも多くてな
 
 
そっか・・・
で やっぱり お名前は
ワン・ウ様?
 
 
あ?どこから聞いた?
ウネか?
まだ内密の段階なのに
 
 
ううん そうじゃないの
天界ではワン・ウだったから
もしかしてって
 
 
そうなのか?
 
 
ええ でも私の知っている史実だと
王子様の行く末がちょっと心配なの
でも多分歴史は変わっていると思う
だって私の知っていた高麗には
公主様もいないし・・・
でも公主様はお生まれになった
それに何よりこの私が
チェヨン大将軍の妻なんだもの 
あり得ない歴史よ うふふ
だから先の世も絶対変わっていると
そう思う
 
 
ああ 案ずるな
イムジャの心配は
きっと杞憂だ
 
 
チェヨンの力強い返答
気にかかることはたくさんある
だが今は前を向いてしっかりと
この子らを育てていくだけだと
ウンスはチェヨンを見つめて
少し安心したように頷いた
 
扉で仕切られた子供部屋には
寝台が四台並んでいた
娘のスニョンとユニョンの二台は
くっつけて置いてある
まだ子供部屋には戻れない
末の弟サンの
寝台のそばには長男タンの
少し大きめの寝台も置かれていた
だが今夜もタンはウンスの隣で
ぐうすか 眠っている
 
開け放たれた扉の向こうにいる
子供部屋の娘たちの様子を眺め
チェヨンは頬を緩めた
日が経つにつれて
顔立ちがはっきりして来た二人だが
妹ユニョンの方が
ウンスによく似ている気がした
 
 
この二人
同じ方向を向いて寝てるぞ
寝方もそっくりだな
 
 
うん 泣き声もよく重なるわ
でもスニョンの方が
声が大きいかな?
顔つきは違うけど声はそっくりなの
だからどっちが泣いてるんだか
わかんない時があるけど
大声なのはスニョンの方よ
 
 
そうか?
イムジャに似たユニョンの方が
大声かと思うたが・・・
 
 
あら 私 そんなに大声かしら?
 
 
ウンスはぷいと頬を膨らませ
チェヨンはウンスの元へ戻ると
その頬をツンと指で押した
ウンスはその指を掴んで
少し甘えた声でチェヨンに言った
 
 
そうだ
そういえばね
ウネさんがヨンが女の子を
抱っこしてる姿が想像できないって
言ってたわよ
アン・ジェ将軍も娘に戸惑うことが
あったんですって
 
 
アン・ジェもか?
キム殿もそのようなことを・・・
 
 
あら そうなの?
父親は女の子が苦手なのかしら?
 
 
いや そうではない
そうではないが・・・
おしめ一つ取っても
取り替えにくいのは確か・・・
 
 
え?なんで?
 
 
それはそのぅ
タンとは違ってだな
どうも・・・勝手が・・・
 
 
チェヨンは困ったように
呟いた
タンの時は率先してやっていた
おしめ替えをどうしてやらないのか
疑問に思っていたウンスは
納得したように手を叩いた
 
 
あああ なるほど
ついてるのと
ついてないのとの違いだ
 
 
おい イムジャ
ウネに感化されたか?
 
 
チェヨンは照れたように
頭をかいた
 
 
うふふ そうかも?
だってウネさん
相変わらずなんだもの
あなたのこと
高麗一の子作り上手だって
 
 
何をいうかと思えば
あいつと来たら
 
 
言いかけたチェヨンの
声を遮るようにスニョンが泣き出した
「うんぎゃあうんぎゃあ」
するとユニョンも
「ふぇふぇふぇ」
 
 
あらら 始まったわね
さあさあ
お乳の時間よ
 
 
ウンスは自分の寝台の両脇に
布団を積み上げると
授乳の準備を開始した
 
 
さあ おいで
スニョン ユニョン
 
 
よいしょと姉妹を抱え上げるウンスは
たくましい母親の顔をしている
 
 
何か手伝うか?
 
 
うん じゃあ後ろから支え・・・
あれ?
 
 
おんまぁ
おんまぁはたんの
おんまぁ よ〜〜
 
 
いつの間に起きたのか?
背中に張り付いた息子のタンに
ウンスは微笑んだ
 
 
そうよ オンマはタンのオンマ
それにスニョンもユニョンもサンも
オンマの可愛い子供達よ
 
 
や〜〜よ〜〜
おんまぁ たんのおんまぁ
 
 
タン ほらこっちへ来い
赤ん坊たちが泣き止まぬぞ
腹が減っているのだ
 
 
ウンスの背中にしがみつくタンを
チェヨンは剥がそうとしたが
ウンスはその手を制した
 
 
いいのよ
背中にタンがいると
暖かくって気持ちがいいもの
タンは毎日サンの面倒も見てくれて
いっつも笑っていて
でも甘えたいよね〜まだまだ
二人にお乳をやったら
父上と三人で一緒に寝ようね
タンもお乳を飲む?
 
 
タンはこくんと頷いた
ウンスはチェヨンの助けを借りながら
上手に授乳を開始する
それを背中から覗き込んで見ているタン
 
 
もう少しだよ タン
もう少しで妹たち
飲み終わるからね
 
 
スニョンをチェヨンに預けた
けぷっとげっぷをさせ
大事にそっと寝台に寝かせると
チェヨンはその頬にちゅっと触れた
それから 次はユニョンを
寝台に寝かせると同じように
ちゅっと頬に触れ布団をかけた
ウンスはその様子を
愛おしそうに見つめている
 
 
おんまぁ
たん おねむ 
なの〜〜
 
 
ごめんね お待たせ
次はタンの番だよ
 
 
ところが耳元で聞こえてくるのは
すうすう規則正しい寝息
 
 
あらら 寝ちゃった?
 
 
ああ 背中にしがみついたまま
寝ておるぞ
 
 
そっか
 
 
チェヨンはウンスからタンを剥がすと
ウンスの隣に寝かしつけた
 
 
タン・・・
私の可愛い息子
 
 
ウンスはタンの頬を撫で
ちゅっとその頬に口づけた
 
 
では次は俺の番だな?
 
 
チェヨンはウンスを抱きしめ
布団の中へ
 
 
えええ?なんの順番よ
まだダメだからね
それに心の準備が・・・
 
 
まっさーじは俺の特権
それは譲れぬ
 
 
あ ちょっと ちょっと待って
ほら サン
サンの様子を見てこなくちゃ
今日はサラが
泊まりに来てくれてるのよ
勉強もあるし今夜は
イサはチェ先生のとこに返したの
 
 
胸に触れるチェヨンの手を
押し戻してウンスは言った
 
 
それは先ほども聞いた
それに
様子ならば
先ほど見て来たばかりだぞ
 
 
そうだけど・・・
あっ こら
 
 
チェヨンがウンスの腕を掴む
この華奢な腕のどこに
赤ん坊を二人も担ぐ
たくましさがあるのかと
チェヨンは不思議な気さえした
 
 
イムジャ
逃げようと思っても無駄なこと
逃さぬぞ
 
 
に 逃げないけど
でも・・・えっと・・・
ヨンのマッサージは
えっと・・・なんだかちょっと
困る・・・の
 
 
困ってろ
 
 
チェヨンはにやりと笑う
夫婦の熱い攻防が続く夜
都の空に雪が舞っていた
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
甘えたいのは夫婦も一緒
じゃれ合うことで心がほぐれる
 
 
 
またおつきあいくださいませ〜

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