おんまぁ〜〜

おんまぁ〜〜

 

 

愛犬フンと

庭で遊んでいたはずのタンが

泣き顔でウンスのところへ

走って来て抱きついた

 

ウンスは奥の間の続きの部屋で

横になって休んでいたところで

ちょうど

一度屋敷に帰り

息子のミョンを連れ来たポムが

そばにいて

心配そうにタンを見ている

 

タンはミョンを見つけると

少し決まりが悪そうな顔を見せたが

そんなことは

構ってられないとばかりに

ウンスに助けを求めた

 

 

おんまぁ

しゅっぱい

おくち しゅわわ〜〜

よ〜〜

おっとけぇ〜〜

おんまぁ

 


口をしゅっとすぼめ

鼻の穴を膨らませ

目をパチパチして

タンは状況を

必死にウンスに訴えた

そこへ

息を切らした

へジャが追いついた

 

 

申し訳ありません 奥様

お休みでしたのに



ヘジャは息を整えながら

ウンスに説明をする



若様は

フンと庭で遊んでいたのですが

ちょっと目を離した隙に

厨房に入ったと見えて

調理台に並べていたユジャ(柚子)を

キョル(蜜柑)と間違えて

お食べになったようで・・・

 

 

まぁ!

そうだったの?

まったくタンたら

どれだけ食いしん坊なの?

確かにユジャもいい香りだけど

キュルと間違えるなんて

やぁね うふふふふ

あはははは

 

 

ウンスはタンの災難が

何だかおかしくて

久しぶりに声をあげて

笑い転げた



島から届いたキュルは甘くて

香りが豊かで本当に美味しくて

タンはパクパクと

たくさん食べていた

だが

さすがにお腹を壊すのでは?と

思ったウンスが

明日またね と取り上げて

厨房に隠すようにへジャに

申しつけたのだった

それを密かに覚えていたタンは

調理台の上で柚子茶になるのを

待っていたユジャを

てっきりキュルだと思い込んで

パクリ!

だが あまりの酸っぱさに

ギョエエエ〜と慌てて

ウンスのもとへ駆け込んで来たわけだ

 

つまみ食いを隠すでもなく

自分の失敗をウンスに報告し

素直に甘えるタンが

可愛らしくて 

ウンスはぎゅっと抱きしめた

 

 

タン

それはユジャ

キュルじゃないのよ

柚子茶にしないと酸っぱいの

うふふ

へジャ ここは大丈夫だから

心配かけたわね

 

 

いえ 

目を離して申し訳ありません

 

 

いいのいいの

タンはすばしっこいから

しょうがないわ

でもタン

勝手にいなくなってはいけないと

あれほど言っているでしょう?

へジャが心配するじゃない

それに勝手になんでも食べちゃ

いけないわ

お腹を壊したら大変よ

 

 

あぃ・・・

 

 

シュンとしたタンが小さな声で

頷いた

 

 

さ もうこの件はおしまい

ちょうどよかった

ポムもミョンもきてるから

へジャ

甘〜い柚子茶を

持ってきてちょうだい

タン

柚子茶を甘くしてお口直しを

しましょうね

 

 

タンはこくこく頷いて

ウンスにぴとっとしがみつく

 

 

本当に甘えん坊なんだから

ほらミョンが見ているわよ

うふふ

 

 

柔らかなタンの頬をつついて

ウンスは微笑んだ


 

柚子茶を飲み軽くお菓子を食べた

タンとミョンは

子守のオクリョンとともに

子供部屋で遊び始めた

ポムはウンスと戦の話

 

 

そろそろ

合戦が始まるかもしれないと

旦那様から聞いたでする
無事に国境に着いたでしょうかねぇ?
 
 
そうね
そろそろかもしれないわね
誰も傷つかず
元気に都に戻って来て欲しいと
毎日祈っているのよ
 
 
ほんとにそうでする!
それに
上護軍様が率いる義勇軍
負けるわけがないでする
でもぉ・・・
 
 
どうしたの?
 
 
旦那様も一緒に行きたかったの
だろうなぁと胸中を思うと・・・
 
 
そっか・・・
七年前は
一緒に緑鴨江(アムノッカン)から
西の国土を
取り戻したんですもんね
 
 
はい・・・
でも旦那様はウダルチ隊長としての
務めがあるでする
「王宮を託せるのはお前しかおらぬ」
と上護軍様に言われたと
 
 
そう   その通りよ
チュンソクさんが
ウダルチ隊長として
王宮や王家を守ってくれているから
うちの人も
安心して出兵できたんだもの
 

ありがとうございまする
そう言っていただけたら
旦那様も
きっとうれしいでする


ポムはにっこり笑った
 
 
その頃王宮の典医寺では
急なお産が入り
女医のサラがあたふたと
出産準備に取り掛かっていた
 
 
すみません チェ先生
医仙様のところへ往診へ
行く予定でしたが
このぶんだと夜になってしまいます
 
 
そのようですねぇ
 
 
チェ侍医は頷いた
 
 
医仙様はそろそろ
張り止めのお薬がなくなる頃かと
それに体調も気になって・・・
早くお加減を診たいのに
 
 
じゃあ サラ先生の代わりに
父上が行くよ
な 父上?
 
 
イサが横から口を出した
 
 
いや どうであろう?
戦に随行した医師も多い
典医寺が人手不足の折に
私がここを離れるわけには・・・
 
 
渋るチェ侍医にイサは言った
 
 
大丈夫さ
今日は重症患者もいないし
傷寒患者が来たとしても
診療できる医官は他にも
いるじゃないか
でも医仙様を往診できるのは
サラ先生と父上ぐらいなもんだよ
チェヨンも新米医者に医仙様を
任せるよりも
父上に診てもらった方が
きっと安心するから
 
 
イサに促され
チェ侍医は重い腰を上げた
久しぶりにお会いする医仙様

心踊る気持ちを
イサやサラに悟られないように
難しい顔つきをして
往診の支度をすませると
イサとともにウンスのもとへと
向かった
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
チェヨンは散り散りに逃げる
元軍の兵士を捨て置き
ポツンと残った
黒輿と向き合っていた

輿の周りにいる
黒づくめの男たち七人が
異様な空気を醸し出している
 
 
ワン・へ 出て来い
結局 お前に残ったのは
金で雇った殺し屋だけか?
哀れな男だ
お前のために信義を貫く家臣は
一人もおらぬのだから
 

チェヨンの呼びかけに
徳興軍が答えた


誰かと思えば
そなた
チェヨンか・・・?
新王を出迎えに参ったか?
 
 
馬鹿を言うな
俺の王は現王だけだ
お前は罪人
処罰に来たのだ
 

徳興君は落ち着き払って
言い返す

 
余の話を聞いても
まだ
そのようなことほざいて
いられるであろうか?
医仙の腹にはアギ(赤ん坊)が
いるとか
息子も可愛い盛りであろうな?
余を都へ連れて行かねば
その二人に二度と会えぬぞ
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
知ってるわ
あなたが人一倍寂しがり屋なこと
そばにいなくちゃ駄目なこと
だからいつもあなたを想うの
私の心が届きますようにって



 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
あれまびっくり
そろそろ戦が決着!と思ったら?
戦の話が終わらぬばかりか
魔の手が都のウンスたちに・・・?
オットケ〜ガーンびっくりキョロキョロ
 
 
そして
今回のお話
タンの嫌いな食べ物は
酸っぱい柚子でした
「タンのお誕生日グルッポ」に
アイデアを
お寄せいただきありがとう
ございました〜
 
 
また
おつきあいくださいませ
 
安寧にお過ごしくださいね
カムサハムニダ〜

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