ふぅと大きく息を吐いて

チェヨンはウンスから離れた

ぐったりしている妻の姿さえも

これほど愛しいとは

腑抜けだ 戯け者だ

高麗武士が

もはやおかしくなったのか

と言われても致し方ないくらいに

ウンスが好きで仕方ない

自分の欲に呆れながら

それを隠すこともできず

ただただウンスを愛おしんだ

 

隣に横たわるウンスは

肩で小さく息をしながら

ぼんやりと天井を見つめている

 

 

すまぬ

苦しくはないか?

腹は痛まぬか?

 

 

暗がりの中

チェヨンは声をかけた

 

 

囁くような小さな声で

大丈夫と答えると

視線を天井からチェヨンに向け

口元を緩めて呟いた

 

 

私の旦那様はたくましい

 

 

ん?

 

 

体も心も男としても

たくましくて大好き

 

 

なんだ?誕生日の大盤振る舞いか?

そんなに褒めても何も出ないぞ

 

 

チェヨンは照れたように言って

ウンスの頭をなで

それから尋ねた

 

 

いつから考えていたのだ?

この日のこと

 

 

え?

うふふ 内緒・・・

 

 

ウンスは少し恥ずかしそうに

布団をかぶった

 

チェヨンは家族に囲まれて

自分の誕生日を祝ってもらった

記憶がないと

いつだったか

ふとそんなことを言っていた

甘えることも寂しいということも

できなかった小さなチェヨンが

ウンスは切なくて愛しくて

たまらなかった

 

だからいつか

息子のタンがお祝いの歌が

歌えるくらいになったら

ささやかでも家族で

サプライズのお祝いをして

「生まれて来てくれてありがとう」を

どうしても伝えたかった

いつも無限の愛をくれる大切な人の

喜ぶ顔が見たかった

 

 

驚いた?

 

 

ああ

 

 

うふふ

良かった

成功だわ

一番苦労したのはね・・・

 

 

ああ

 

 

あなたに触れるのを我慢したこと

 

 

あ?

 

 

徐々に減らしたのよ

誕生日の宴の準備やら

何やらが忙しかったってのも

ほんとだけど

今日の日を

体調万全で迎えたかったから

 

 

ウンスは声だけで

顔を見せずに告白

チェヨンはその布団を

そっと剥がすと

ウンスのおでこに口づけて

抱きしめた

 

 

いい匂いがする

 

 

うふふ

磨き上げたからね

 

 

磨いたのか?

俺のために?

 

 

驚く顔のチェヨンに

 

 

他に誰のために磨くのよ

 

 

ウンスは頬を膨らませて

言った

 

 

今日は綺麗でいたかったの

お腹も大きくて

トゥントゥンへ〜だけど

 

 

俺のウンス

 

 

あ なんだか懐かしい呼び方の

気がする・・・

新婚の頃によく言っていたわ

でも最近は言わない

 

 

そうか?

俺のウンス

いつだってそう思っているぞ

他の誰にも渡さぬと

いや俺以外

誰にもウンスは幸せにできぬ

 

 

ウンスの背中に回した

チェヨンの腕に紫水晶の腕輪が光る

その腕輪に蓮の花が彫られた

大振りの水晶玉が

一つ追加されていた

ウンスがチェヨンに用意した

誕生日の小さな贈り物だった

 

蓮の花はチェヨンが仕立てた

婚礼衣装の図案で

ウンスにとって忘れられない大切な花

チェヨンがずっと

幸せでいられますようにと

ウンスの思いを込めて

それを水晶玉に彫り込んでもらい

磨きに出すからと預かった隙に

こっそり腕輪に仕込んでもらったもの

 

 

今夜は私が抱きしめてあげる

腕の中でゆっくり眠って

 

 

ウンスはチェヨンの頭を抱え込み

胸に静かに寄せて抱きしめた

 

 

安堵する

イムジャがいると・・・

 

 

うん

私も・・・

この先もずっと

離れないから

 

 

ああ

 

 

いつしかチェヨンは寝息を立てた

腕の中の夫は甘えた顔をしていた

 

 

━─━─━─━─━─

 

 

旦那様のお誕生日

暖かな

いい宴だったねぇ

 

 

へジャは奥様からいただいた

大好きなコッカム(干し柿)を

満足そうに口に入れ

お茶をすすって夫ソクテに言った

 

 

そうさな

 

 

ヨボや あんたも一つどうだい?

このコッカム 美味しいよ

 

 

そうさな

俺はこっちがいいさ

 

 

ソクテはこれまた

奥様ウンスからいただいた

上等な酒にありつき

満足げに口元を緩めた

 

 

それにしたって

やっとこさ 夫婦になって

こうして一緒に

お暮らしになられているってのに 

いつの間にか厄介ごとが増えちまって

ご苦労の絶えないことだろうさ

 

 

そうだね

まあ 奥様の場合

自分から厄介ごとに首をつっこむ

癖がおありになるけど

それが奥様らしいってとこさ

 

 

へジャは色々

思い出すような顔をして

笑って答えた

 

 

そうさな

奥様らしいだろうさ

旦那様も心配でならねぇさ

 

 

それもまた

幸せってもんかも知れないよ

心配する相手がいるのは

幸せなことさ

 

 

へジャはソクテを見つめた

 

 

めっきり冷え込んできた

高麗の都だが

チェ家に暮らす二組の夫婦の閨は

どちらもぬくぬく暖かい

 

 

翌朝 早く

子供部屋と閨を間仕切る扉が

勢いよく音を立てて開き

まだ寝静まっている閨に

タタタタたっと

小さな足音が響いた

 

知らぬ間に置いていかれ

子供部屋で一人 

夜を明かしたタンは

寝台に並んで眠る両親を見つけて

二人の間に飛び込んだ

それから

むうっと怒った顔をして

大声で言った

 

 

たん りんき よ〜〜

や〜〜よ〜〜

 

 

それきりタンは

赤ん坊が生まれて来るまで

子供部屋で眠ることは

なかったそうだ・・・

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

深まりゆく秋に

深まる親子の縁

そして夫婦の縁









システムエラー表示が続きガーン

なぜか保存できなくて

更新に手間取りました


何がいけなかったのかなぁ?

。゚(T^T)゚。

遅くなりました  ミアネヨ

(。-人-。)



上手く飛ぶのかな?

こちらも上手く貼れず汗ダウン

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