タンは夢を見ていた
 
もうすぐハナが生まれるはずなのに
おんまぁの叫ぶ声を聞いて
夢中でおんまぁのもとへ駆けつけた
 
大丈夫だよ おんまぁ
たんが守るからね
 
まだまだうまく喋れなくて
言いたいことや伝えたいことは
たくさんあるのに
おんまぁに伝わるだろうか?
 
いつもおんまぁがしてくれるみたいに
おんまぁによしよしをしてあげたくて
手に力を入れたら
指の先がふんわり暖かくなった
 
おんまぁの泣き顔が笑顔に戻った
それからすぐにハナが生まれた
 
夢の中で先ほどの出来事が繰り返される
そして 場面が変わった
 
 
タンは澄んだ空の上にいて
空からは高麗の街並みが見えた
立派な屋敷が立ち並ぶ一角に
ひときわ広い屋敷があった
その庭には山桜の木が植えられていて
屋敷を見守るように立っている
 
庭に綺麗な女の人
あれはおんまぁかなぁ
隣で寄り添う強そうな男の人
あれはあっぱぁ
二人は見つめあって微笑みあって
とても幸せそうだった
 
そうだ
たんは二人の子供になりたくて
天の神様にお願いしたんだ
おんまぁとあっぱぁの子供に
してくださいって
 
お空にいた天女様が
おんまぁのところへ無事に
着くようにって見送ってくれたんだ
優しくて綺麗でどこかあっぱぁに
似ていた・・・
 
 
タンのいる世界が
優しい光で包まれますように
あなたの光が
あなたやあなたの大切な人を
幸せに導きますように
さあ ヨンァが待ってますよ  
あの二人のもとへお行きなさい
私の可愛いタン
 
 
よんばぁば?
 
 
お空の天女は無言でタンに微笑んで
指の先から光を放った
その優しい光に護られて
タンは母のお腹にたどり着く
 
お腹の中はふかふかだった
ゆらゆら揺れて安心できた
ずっとそこにいたかったのに
ある日 光を感じた
 
光の方へ 光の方へ
お外に出なくちゃ
一生懸命 頭を前に進めた
お腹の中で聞いていた
おんまぁとあっぱぁの声が聞こえる
そうしてやっと
狭い道を通り抜けると
するんと落ちた
そこは
暖かくて大きな
あっぱぁの手の中だった
 
 
ふいっと目が覚めて
タンはびっくり確かめるように
横を見た
隣には大好きな優しいおんまぁがいて
タンを見て微笑んでいた
夢で見たお空の天女様みたいに
綺麗なおんまぁ
 
 
おんまぁ
ばぁば   いた   よ〜〜
 
 
ばぁば?
叔母様の夢を見たの?
 
 
タンは首を振る
 
 
よん ばぁば よん
おそら 
たん おねがい よ〜
おんまぁのとこ
いく たん いく
たん おんまぁ ちょあ
ぴかぴか きれい 
ネ〜〜
 
 
おばあ様?ヨンの?
ヨンのお母様が夢に出てきたのね?
そっか・・・お母様はいつも
タンを見守ってくださってるんだわ
もしかしてタンの光は
ヨンのお母様譲りなのかも
うん きっとそうだわ
 
 
おんまぁ?
 
 
うふふ なんでもないわ
オンマもタンがだ〜〜〜〜い好き
あっ いたた・・・
 
 
はなとる?いたい?
 
 
顔をしかめたウンスを
心配そうに見ているタンに
ウンスは言った
 
 
大丈夫よ
きっと 
タンにお返事したのね
兄上〜って
 
 
あぁ〜〜い
 
 
二人の声が廊下に聞こえ
へジャが声をかけた
 
 
奥様 お目覚めですか?
夕餉はいかが致しましょう?
王妃様から御膳が届いておりますが
 
 
まぁ 王妃様から?
それはご馳走ね
 
 
ウンスは声を弾ませた
 
 
たん ぺごぱ 
 
 
タンも大活躍だったもの
お腹が空いたわよね
へジャ 夕餉をいただくわ
ヨンはまだ表で執務してるの?
 
 
はい そのようで・・・
夕餉は先に召し上がるようにと
 
 
あ ヨンファは?
ヨンファのところにも
夕餉を届けなくちゃ
 
 
それは抜かりなく
あわび粥とミヨックク(わかめスープ)を
運んで参りました
 
 
ありがとう へジャ
 
 
ウンスはよいしょと起き上がり
衣を整えて奥の間に向かった
タンもトコトコついて来る
 
 
おんまぁ ぺごぱ ネ〜
 
 
タンは見た夢をすっかり忘れ
心は夕餉のご馳走に向かったようだった
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
ヨンファは夫キム・ドクチェと
へジャの運んで来た膳を囲んでいた
生まれたばかりの赤ん坊は
ヨンファの隣ですやすやと
寝息を立てている
 
 
母上がな・・・
 
 
お母上様が?
 
 
夫の言葉にヨンファは身構える
姑は悪い人ではないとわかっていたが
ヨンファの身分や家柄を
気に入っていないことは確かだった
 
 
国元から乳母を遣わすと言うが・・・
断ったぞ
 
 
ヨンファはほっと息を吐く
 
 
そなた一人で育てるのは
大変だと思うが
母上が選んだ国元の乳母に
あれこれ言われるのも
また辛かろうと思うてな
勝手をして すまぬ
 
 
いえいえ そんな
 
 
ヨンファは夫の気遣いが
うれしく思えた
 
 
城壁の普請はこの先も
時と財がかかる大事業だ
ゆえに
都で落ち着いた暮らしができるのは
まだまだ先の話
時折はこちらへ戻って来るが
そなたを一人にするのは忍びない
 
 
いえ 一人じゃないです
ジェボクも この子もおりますし
 
 
そうは言っても気がかりなのだ
そこで・・・
 
 
はい
 
 
ちょうどポム殿のご実家近くに
空き屋敷があると
パク・インギュ殿から聞いたのだ 
その屋敷を買おうかと思っている
そこならばポム殿の屋敷にも
医仙様のお屋敷にも近いゆえ
ヨンファも訪ねて行き易かろうと・・・
 
 
まあ!
 
 
だが 今の屋敷よりも狭くなるが
 
 
構いません
今のお屋敷は広すぎますもの
でもジェボクのためには
今のお屋敷の方がいいのでは?
お母上様が
狭い屋敷は体裁が悪いと
ご心配されるかも・・・
 
 
余計な気遣いは無用
ヨンファには体を休めて
心穏やかに暮らして欲しいのだ
 
 
ありがとうございます
旦那様・・・
 
 
ヨンファは目を潤ませて
キム・ドクチェの肩に顔を埋めた
冷たいはずの秋風が
暖かく優しく思える夜だった
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
優しい光は
大切な人を守るため
時を超えて受け継がれる
優しい想い
 
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
タンが誕生した二年前
ぴよたろう様より
タンの胎児記憶について
リクエストをいただきました
 
あれから・・・あっと言う間に
もう二年・・・。(;°皿°)
随分とお待たせしました

タンも会話らしい会話が
少しできるようになりましたので
やっとお届けできました
お楽しみいただけると嬉しいです
リクエストありがとうございました
 
 
 
そして
タンの不思議な光について考えました
父親チェヨンの雷功は
修行で身につけた突然変異なのか?
それとも遺伝かなのか?
雷功はきっともともと
チェヨンに素質があったから
鍛錬を積んで
自在に使えるようになったのでしょう

では   タンの光功は?
もし遺伝だとしたら 誰の?
それは
ヨンから受け継いだ能力というより
幼いヨンを残して逝った「よんばぁば」の
優しい想いを受け継いだ隔世遺伝・・・
かも?と
そんなことを考えたりして (///∇//)

 
タンの優しい光が
あなたの心にも届きますように

 
またおつきあいくださいませm(_ _ )m

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