このお話は2014年11月15日に

アメ限でアップしたお話を加筆修正して

お届けいたしております

 

なお当時のアメ限記事は

いただいたコメントとともに

お蔵入りさせていただきました

ご了承くださいませ

 


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朝から頭痛がする
現代では頭痛なんて
しょっちゅうだったのに
ここしばらく何もなかったから
自分が頭痛持ちだったことも
すっかり忘れていた
とりたてて原因は思いつかず

低気圧が近づいてるのかな と
ウンスは布団の中で考えた

隣にいたはずのヨンは
すでに起き出したようで
閨にはいなかった

あぁ
目覚めた時に隣にいないだけで
がっかりしてしまう
今日は朝議だと言っていた
出仕は早いと言っていた
もう行ったのだろうか
起こしてくれても良かったのに
なんだかな 今日は少しばかり
心がざわついているな 
 

ウンスは思った
どうも自分の気持ちを
持て余しているみたいだ
昨日典医寺に診察に来た
若い美しい女人に言われたことを
思い出した


大護軍様の奥方様だなんて
うらやましいですわ

 
言われた言葉が
少しとげのあるように
感じてしまった
なんだか
ちょっとした言い回しが
気になる辺り 
気分が落ち込んでいる
証拠だと思った


もうひと眠りしたら
気分も晴れるかしら

 
ウンスが寝る体制に入ろうとした時
扉の向こう側から声がかかった


朝餉を食べぬか?


あれ  まだいたの?
 

ウンスはそろりと起き出して
上着を羽織り扉を開けた


もう王宮へ行ったと思ってた


昨夜 いささか
沈んでおるように見えたゆえ
イムジャの好きな果物でもと
朝市に出掛けておった


自分でも気づかない程度の
気持ちの沈み込みに
ヨンが気配りしてくれたことが
とてもうれしかった
なのに 今日はどうもだめだ


大護軍が朝から
果物を買いになんて
体面が悪いわ

 
素直にうれしいと言えなくて
わざと素っ気なく言ってしまう
ヨンはふぅと息を吐いてから


何かあったのなら
溜め込まずに
話をしてくれぬか
イムジャの塞ぎこんでいる姿は
どうにも落ちつかん


と言った


別に何かあった訳じゃないの
少し頭が痛くて
少し疲れが溜まっているだけ
自分でも素直じゃないって
わかってる


ほんとはヨンの気持ちすごく
うれしいのに・・・と
胸の内で付け足した
ヨンは目の前にいる
いかにも素直じゃないウンスを
優しく抱きとめて呟く


まあ そのような日もあろう


それから指で
ウンスの頬をぷにっとつまむと


朝餉にせぬか 


ふたたび優しく耳元でたずねた


ヨンの腕の中で安心したのか
ウンスはなんだか自分の気鬱が
ばからしくなって


おいしいものある?
ああ お腹がすいちゃった


からりと笑った


わが妻は今朝はたいそう
気まぐれだなぁ


そう言って ヨンも目を細めて
腕の中のウンスを見おろした
ヨンの胸の鼓動を聞きながら
先ほどまでの鬱々とした気分に
さよならして 
ウンスはヨンの腕を掴んで 
足取り軽く朝餉に向かう
頭痛のことまで
すっかり忘れてしまったようだった


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『今日よりも明日もっと』
些細なことで落ち込んだ時
あなたの優しさがすっと沁みてくる
 
 
 

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