我ながら単純だと
チェヨンはぼんやり考えた
 
生身の妻の肌に癒されて
久しぶりに
深い眠りに落ちたようだ
 
守りたくなるような
柔らかで暖かなものに
心が癒える
チェヨンにとって
それは妻のウンスであり
息子のタンであることは
疑いようがない
 
 
起きた?
 
 
はっと目を覚ましたチェヨンの
顔を覆うように覗き込んで
ウンスが尋ねる
チェヨンの心のうちにあった
不機嫌な悋気は朝になると
跡形もなく消えていた
 
 
あ?ああ
朝か・・・
 
 
うん
・・・うふふ
ぐっすり寝てたわよ
 
 
そうか?
 
 
うん
 
 
ウンスや
ウンスはよく眠れたのか?
 
 
どうかしら?
ヨンが寝かせてくれなかったのよ
赤ん坊がお腹にいるのに・・・
おかげで眠くて・・・
 
 
ウンスは大きなあくびをした
その表情すら愛しい身重な妻に
無理をさせた夜だったと
後悔がよぎる
 
 
そ そうか
すまぬ
 
 
うふふ 嘘
気がついたら寝落ちしてた
だってすごく気持ちよくて
・・・よかったから
 
 
耳たぶに向かって
小声で呟くウンスの頬は
ほんのり赤らんでいた
 
 
よかったか?
そうか
よかったか・・・
 
 
チェヨンは可笑しいくらい
くつくつとうれしさがこみ上げて
ウンスに何度も確かめた
 
 
知らない
もう言わない
 
 
照れたのか
くるりと背中を向けたウンスの
肩を食むと
またうずうずと欲が持ち上がり
チェヨンは衣の中へ
手を伸ばした
 
 
もう 朝よ
ヨン・・・
タンが起きるわ
叔母様が来る・・・し
 
 
嫌がるふりをして
いつしか吐息が甘くなる妻に
チェヨンの身は熱くなった
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
チェヨンが邸の表の集賢殿に
出仕してしまうと
ウンスは
朝のうちに王妃様の回診を終え
順調な回復ぶりを確認した
それから
武閣氏のヘミとヒョリに守られ
典医寺に向かった
 
寝ずに夜通し
王子様のご様子を診ていた
チェ侍医に代わり
王子様のそばには 
本人の強い希望もあって
オ・アム医員を遣わした
 
ウンスより少し遅れて
典医寺に戻って来たチェ侍医は
いつもと同じ
涼しげな表情ではあったが
徹夜明けでやはり少し
疲れているようにも見えた
 
 
チェ先生
空いてる病室で横になってね
本当は屋敷に帰って
ゆっくりして欲しいんだけど
なにぶん私もこの通り
無理がきかないもんだし
 
 
ウンスは笑って膨らみ始めた
お腹をさすった
 
 
私ならば心配いりませぬが
ではお言葉に甘え
少しばかり横になってまいります
 
 
ウンスの好意を無にせぬように
チェ侍医は頷いた
 
 
ええ そうして頂戴
ところで イサは?
 
 
ああ イサならば
いつも通り書堂(ソダン)へ
行かせました
 
 
そう・・・ねえチェ先生?
イサも随分と
高麗の書が読めるようになったし
秋にある
医官の試験を受けさせたら
どうかしら?
もちろん本人が望めばだけど・・・
受かれば見習い医官として
ここで修行させてもいいし
 
 
そうですね・・・
それはありがたい話ではありますが
典医寺は一介の医員がいくら望んでも
なかなか
勤めにつくことができない場所
それをたやすく手に入れるのは
イサにとって好ましいこととは
思えません
できれば養成所に入り
同じ志の者たちと腕を競い合い
実力でここに戻って来て欲しいと
父親としてそう願います
 
 
父親として・・・そう言った
チェ侍医の顔が誇らしげに見えた
 
 
そうね
チェ先生の言う通りだわ
 
 
ウンスは笑いかけた
柔らかな表情はお腹に子供を
宿しているためだろうか?
それとも昨夜・・・
いつも以上に
あまりに美しく見えるウンスを
見つめながら
チェ侍医はほうっと
小さなため息をついて話題を変える
 
 
ところで若様のお姿が
見当たりませんが?
 
 
いつもは診療室の片隅で
遊んでいるタンの姿がないことに
気がついてチェ侍医が尋ねる
 
 
タンなら
朝の涼しいうちに
公主様や他の子供たちと共に
船型の遊具で遊ぶことになっていて
ばぁばに手を引かれて
行っちゃったの
 
 
ちょっと不満げにウンスは答えた
 
 
オンマ ちょあ(大好き)って
言ってるくせに
おもちゃに買収されたのよ
 
 
そうでしたか・・・
ですが 
すぐに戻っておいででしょう
お母上様が大好きなお子ですから
 
 
くすりと笑ってチェ侍医が言った
 
 
そうかしら?
そうよね
うふふ
私も案外ヤキモチ妬きだわ
ごめんなさい
休んでもらうはずが
すっかり引き止めて・・・
 
 
これだからチェヨンが
悋気するのだと肩をすくめ
チェ侍医が出て行ってから
ウンスは大きく深呼吸をした

お腹の赤ん坊が
それに呼応するように
とんとウンスの腹を蹴る
 
 
さて 今日も頑張ろう
あーたん よろしくね
 
 
窓から差し込む日差しは
夏の太陽
ウンスは手をかざして
眩しそうに微笑んだ
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
頑張り過ぎずに頑張りたい
一日一日 大切に・・・
空の青さにそう思う
 
 
 
 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 
お話の流れ的には
閨の話(アメ限)になるはずが
あれ?おかしいなキョロキョロ
体力気力が不足したのか?
たどり着けず・・・あれ?笑
 
 
夏バテ注意
皆様 どうぞ
安寧にお過ごしくださいね
 
ポチッとカムサハムニダニコニコ

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村