ウンスはタンとともに
王妃様の元へ向かった
タンも通い慣れている王妃様の居所は
今は出産の準備に追われて
女官たちも忙しく働いていた
 
次のお子様が
男の子であろうと言うことを
知っているのは
ウンスとチェ侍医と医官のサラ
そして先日の刺客騒ぎも憂慮し
夫のチェヨンとチェ尚宮にも
もちろん伝えてあった
しかし
エコー診断のない時代のこと
万が一
脈診の誤まりがあってはと
王妃様ご夫妻には伏せられ

王妃様の出産に関し
歴史を知っているウンスとしては
産科のサラと協力して
今回の出産に十分な気配りをしていた
 
 
おお 医仙
タンも参ったか?
今朝はお腹の張りが幾分強うて
気を揉んでおったとこじゃ
 
 
そうですか
では診て見ましょうね
案ずることはありませんよ
公主様の時よりもずっと順調ですもの
 
 
そうか?
医仙
いや姉様にそういわれると
なんとのぅ安堵する
 
 
うふふ
 
 
ミレ公主(コンジュ)の時は
少しばかり早産で難産だった
タンが放った柔らかな光がミレを救い
ミレが生まれてからは
典医寺のちーむが
昼夜を問わず木製の保育器の中で
気を配りながら見守って来たから
この時代にはありえないほどの
健やかな成長を遂げることが出来た
 
 
そうか・・・
もうすぐこの子にも
会えるのじゃな
 
 
王妃様は大きくせり出した
ご自分のお腹を
そっと撫でながら微笑まれた
 
 
はい 王妃様
それまでしっかり栄養をつけて
お薬を飲んで備えましょうね
 

わかりました   姉様
しかし この子が生まれたら
公主が別の居所を構えることになる
寂しゅうてならぬぞ
 
 
王妃様は微かに沈んだ顔を見せた
今まで
同じ居所に暮らしていたこと自体
王族として 前例がないことを
王妃様もよくわかっていたが
次のお子の出産をきっかけに
ミレ公主と住まいが離れることが
寂しくて仕方ないようだった
 
 
王族のしきたりも大変ですよね
我が子と離れて暮らさなきゃ
ならないなんて
 
 
真っ直ぐなウンスの言葉に
チェ尚宮が
咳払いをし王妃様は苦笑
 
 
でも
同じ王宮内じゃないですか
いつだって会えますよ
それに 大妃(デビ)様は
密かにお喜びかも・・・うふふ
だって
ここよりも自分のお住まいに
近くなるって
先日お会いした時に
うれしそうでしたよ
 
 
そうか?
お母上様には公主を
慈しんでいただいて
本当に感謝しておるのじゃ
そして公主がいたからこそ
行き違った王様とお母上様の
距離が近づいたと言うもの
 
 
そうですね・・・
今じゃ すっかり
いいおばば様ですもの
 
 
診察が終わるまで
部屋の端で控えていたタンが
ウンスの言葉に
チェ尚宮を見上げ
その手に自分の手を
滑り込ませてきゅっと握って
笑った
 
 
たん ばぁば ネ〜〜
 
 
チェ尚宮はタンの仕草に思わず
体面も忘れ
タンを抱き上げそうになったが 
さすがに王妃様の手前
グッとこらえてタンに微笑み返すに
とどめた
 
 
ああ タンのばぁばですよ
 
 
女官として王宮に身を捧げたチェ尚宮は
生涯 孫を持つことなとありえないと
思っていたが
タンは紛れもなく我が孫だと思っている
誰に阿呆呼ばわりされても
愛くて仕方ない
 
そんな叔母チェ尚宮が
タンと手を繋いだ様子を
王妃様とウンスは
目配せしあって微笑ましく見ていた
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
王妃様の居所を下がると
往診のことをチェヨンに伝えるため
ウンスを乗せた輿は集賢殿に向かった
 
 
暑いわね〜
ジリジリするわ
 
 
日除けがあっても
なんの役にも立たないくらいの
夏の強い日差しに辟易としながら
ウンスは
タンの首回りやおでこの汗を
手ぬぐいで拭いた
 
 
ネ〜〜〜
あぢぢぃ よ〜
おんまぁ
 
 
扇子をウンスに向け
ぱたぱたしてくれる優しいタンに
ウンスはチェ尚宮にもらった
冷えた竹筒を首筋に当てた
 
 
ひゃっ 
 
 
首をすくめる様子が可愛らしい
 
 
冷たくて気持ちがいいでしょう?
ばぁばが
井戸水で冷やしてくれたの
タンが来たら渡そうと思って
作ってくれていたのね
飲んでごらんなさい
 
 
竹筒の蓋を開け
タンは一口ごくんと飲んだ
 
 
ましっそ 
よ〜( 맛있어요  美味しい!)
おんまぁ
 
 
そお?よかったわ
シッケ(お米のジュース)よ
 
 
しっく?
 
 
シッケ
 
 
しって?
 
 
タンの舌足らずな言葉に
ウンスが笑い声をあげていたら
後ろからチェヨンの声がした
 
 
如何したのだ?
昼でもないのに
立ち寄るとは珍しい
 
 
ぶっきらぼうにわざと言いながら
うれしさは隠せないようで
目尻が下がっている
 
 
うん ヨンは?
 
 
王様のところへ伺っていたのだ
で 何の用だ?
 
 
えっと・・・
許可をもらいにぃ
 
 
ウンスはチェヨンに輿から
降ろしてもらうと
すこ〜し甘えた声色を混ぜて
呟いた
 
 
ならぬ
 
 
ええ?
まだ何も言ってない!!
 
 
そのやりとりに
そばにいた武閣氏がくすくす
笑っている
 
 
ならぬぞ
イムジャが
そのような声を出すときは
大抵 良からぬ企みに違いない
 
 
そんなぁ   違うわよ
チェ先生と一緒に
ドルベさんのお父様のところへ
往診に行きたいだけよ
ほら
お加減が悪いでしょう?
でも私が妊娠初期だからって
チェ先生に任せっきりだったし


チェヨンは渋い顔をした
 
 
なれど この暑さの中
わざわざ出向くこともない
侍医に任せておけば良いではないか?
 
 
でも・・・ジュヒもコハクも
お世話になっているのよ
 
 
ジュヒは慌ててウンスに言った
 
 
私たちのことでしたら
お気遣いには及びません
義両親には本当によくして
いただいておりますから
それにコハクと住むようになってから
張り合いが出たのか
気力が回復したようだと
義母も言っておりますし
 
 
ほれみよ
ジュヒが言うのであるから
間違いあるまい
それに侍医はなんと言うておる?
 
 
あなたが許可しないと
駄目だって
 
 
そうであろう
普通の体でもこの暑さはこたえる
昼からの外出など以ての外だぞ
ならぬものはならぬ
それに侍医と一緒など・・・
 
 
最後の方は独り言のように
チェヨンは呟いた
 
 
もう・・・
心配性なんだから
どうしても?
 
 
ああ ならぬ
 
 
チェヨンに許してもらえず
ウンスはがっかりした
諸手を挙げて賛成してくれるとは
思わなかったが
結局は
許してくれると
たかをくくっていたのだ
 
 
密かに抜け出すのも
ならぬぞ
テマンを貼り付けておくゆえ
 
 
ウンスの次の行動を
見透かしたようにチェヨンは言った
 
 
うん・・・わかったわ
 
 
だんだんと声が小さくなり
しょんぼりしていく母を見て
タンがウンスに尋ねる
 
 
おんまぁ けんちゃな?
あっぱぁ め〜〜よ〜〜
たん りんき よ〜〜
 
 
ぷうと頬を膨らませて
チェヨンの前で腕組みをした
息子のタンに
ウンスは愛しさが溢れた
 
 
ありがとう タン
でもね 父上は私と赤ちゃんを
心配しているのよ
 
 
あーたん?
 
 
そう あーたん
 
 
ウンスは少し膨らみ始めた
お腹をさすって微笑んだ
確かにチェヨンの言う通りだ
夏の日差しが一番強い時に
暑がりな妊婦が
わざわざ出かけることはない
ウンスは素直に頷き
チェヨンに従うことにした
 
 
テマン 送ってやれ
 
 
はい  上護軍


チェヨンはテマンに言ってから
ウンスを見た
 
 
イムジャ
 
 
何よ
 
 
ちょっと喧嘩腰のウンスに
チェヨンは苦笑い
 
 
帰りに迎えにいく
 
 
うん
わかった
 
 
ゆえに
イムジャ・・・


なに?


夕方涼しくなってからなら
行っても構わぬ
 
 
え?
それって一緒に行ってくれるの?
 
 
ああ
タンに睨まれては敵わぬ
それに
トルベのお父上のこと
俺も気になっていたのだ
今日はこの後 会議もないし
兵舎はチュンソクに任せ
ウンスの往診を兼ねて
屋敷の様子を見にいくとするか?
だからそれまでは
典医寺でおとなしゅうしておれよ
 
 
小躍りしそうなウンスの肩に
手を置いて
チェヨンは笑いかけた
 
 
それから・・・
 
 
なに? 
 
 
侍医の同行はいらぬぞ
 
 
夏の雲は青空を悠々と流れ
お日様は相変わらず
ジリジリと照りつけている
ウンスはうふふと笑って頷いた
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
ほんとは優しいくせに
わざと意地悪?
本音の想いが心に沁みる時
 
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
猛暑が続いておりますあせる
皆様
熱中症には
十分お気をつけくださいませ
 
三連休最終日
夏はこれからが本番
なのに すでにバテバテびっくり

高麗も暑いようです
タン
夏バテしないでね〜
 
ポチッとカムサハムニダ〜
ダウン
 

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