チュンソクとポムはミョンを連れて
兄パク・インギュの
住まいを訪れた後市に来ていた
 
インギュは嫁の実家で暮らしており
つまりは高麗文官の最高位
イ・ジェヒョンの屋敷
 
役目を休んで
のこのこと妻とともに
イ・ジェヒョンの屋敷を訪問するのは
なんとも決まりが悪かったが
義姉ヨルムは暖かく歓迎してくれた
 
ポムとヨルムが
赤ん坊の話で盛り上がっている頃
チュンソクはイ・ジェヒョンに
国境の軍備の話を聞かれ
結局 お役目についているよりも
気が張る始末
 
だが
気を利かせたポムが
話を切り上げ
早々に市に向かったのだった
 
 
やっぱりお屋敷にいたら
よかったのではないでするか?
申し訳なかったでする
 
 
いや 良いのだ
 
 
義姉よりもずっと
年下のはずのポムが
ヨルムと話をするときは
しっかりとした母親に見えたことが
チュンソクには新鮮な発見だった
 
 
して
市では
何を所望なのだ?
 
 
熱心に絹屋を見ているポムに
チュンソクは声をかけた
腕には
同じ顔の息子のミョンがいて
疲れたのか父親の肩に頭を乗せて
コクコク居眠りをしていた
 
 
ミョンの新しい絹が欲しいでする
トルチャンチは秋口でするが
そろそろ準備をしなければ
それに旦那様の上着も新調したいし
 
 
なんだ 
自分のものを買いに来たかと
思うていたのに・・・
 
 
ポムは首を振った
 
 
ポムは入りませぬ
実家の母のお下がりもありますし
 
 
ポムはもともと良家の子女だが
今は武官であるチュンソクの嫁で
どちらかというと
つましい暮らしだ
 
 
禄が足らぬのか?
 
 
チュンソクはそういえば
ちっとも自分のものを欲しがらない
ポムに気がつき心配そうに尋ねた
奥のことは
すべてポムに丸投げもしていた
 
 
めっそうもない
旦那様からいただいた禄で
屋敷を切り盛りするには十分でする
ただ無駄なことには
お金は使わないだけでする


しっかり者のポムが答える
 
 
新しい衣を新調するのは
無駄なことではないぞ
ポムが綺麗だと俺がうれしい
さすれば お勤めにも
気合が入るというものだ
 
 
ぷぷっとポムは笑った
 
 
物は言いようでするね
 
 
たまには良いではないか?
親子三人で揃えて衣を誂えても
 
 
ポムの表情が輝いているのが
見て取れた
 
 
でも・・・
 
 
夫婦に遠慮な無しだ
だがいつもいつも
買うてはやれぬぞ
 
 
はいでする!
じゃあ どれにしようかな?
悩んじゃうでする
ミョン どうしよう?
 

その時
微笑ましいチュンソク家族を
呼ぶ可愛らしい声がした
 
 
みょん ネ〜〜
おんまぁ みょん よ〜〜
 
 
チュンソクは驚いた顔をして
声の方角を見た
タンがチェヨンの肩車の上から
ミョンに向けて
大きく手を振っていた
ウンスを見つけたポムは
うれしそうに
すでに駆け出している
 
 
医仙様 上護軍様 若様
いかがされたのでする?
このようなところで
お会いできるとは!
 
 
あら ポム
うふふ
一緒になったわね
こちらはね
お役目が早く終わって・・・
というか 早速インギュさんに
こき使われて
ヨンたら逃げ出して来たのよ
 
 
まあ お兄様が・・・
しょうがないでする
 
 
おい イムジャ
逃げ出した訳ではないぞ
奴が来た途端に
書類が増え今日は働きすぎたゆえ
休憩だ 休憩
 
 
ま そういうことにしておくわ
おかげで私もタンもこうして
市を一緒にぶらぶらできる
訳だし・・・
 
 
ネ〜〜
 
 
タンはチェヨンの肩車に乗って
ご機嫌だった
 
 
そうだ たまには一緒に
お買い物しましょう
それにご飯も食べて帰りましょうよ
ね?ヨン 
いいでしょう?
 
 
あ?ああ
だが腹は大丈夫か?
疲れてはならぬぞ
それに夕刻になり人の出も
多くなっておる
 
 
大丈夫よ
だってあなたがいるもの
人混みから守ってくれるでしょう?
 
 
甘えの含んだ言葉に
チェヨンは
苦笑しながら頷いた
 
 
じゃ 決まりね
ポム 何を見ていたの?
 
 
新しい衣を仕立てようかと
そこの絹屋で反物を
 
 
あら いいわね
私も見たいわ
ヨン タンをお願いね
 
 
旦那様 ミョンをお願いでする
 
 
妻たちは連れ立って買い物へ
子供達は父親たちの足元で
楽しげに鬼ごっこ
 
チェヨンとチュンソクは
肩を並べて
楽しそうな妻たちを見ていた
 
 
なんだか 
平和でありますな
上護軍
 
 
そうだな・・・
北の果てを取り戻した頃が
嘘のようだ
あれから数年で
このように穏やかな日を
迎えるとはな・・・
 
 
誠に・・・
家族を守ることもできぬ奴に
国を護ることなどできぬと
言われた上護軍のお言葉
忘れることはありませぬ
その通りだと
感じる毎日にございます
 
 
そうか・・・
 
 
はっ
 
 
二人は愛妻をそれぞれ
目を細めて見つめている
チェヨンが口を開いた
 
 
チュンソク
たまには呑むか?
父親同士
 
 
茜色に染まり出した空を見上げ
チェヨンが言った
 
 
たまにはいいですね
お伴します
 
 
チュンソクはうれしそうに
頷いた
暑い日中が一段落し
市の通りを
少し涼しげな風が吹いている
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
心通じる仲間がいる
それは何にも代えがたい
己の力になる
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
チュンソク夫妻の休日の続きを
お届けいたしました
チェヨンたちも加わって
賑やかな夕餉になりそうです
 
 
またおつきあいくださいませ
ポチッとカムサハムニダ〜
 

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