高麗の都開京は
朝鮮半島の真ん中に位置し
松獄山(ソンアクサン)の麓に
広がっていた
都の開京はその名の通り
開かれた都という意味で
色々な文化を融合させながら
高麗の伝統を守ろうとした
国づくりが伺える

そのソンアクサンを背にして
チェヨン一行を乗せた輿は
北を目指していた

国境に向かう折も同じ道を辿る
チェヨンはその時の風景と
今日見た風景とはまるきり
違うものになるだろうなと
感慨深く輿の窓から外を眺めた

碧くそびえるソンアクサンに
隣に並んで座るウンスは
感嘆の声を上げる


何度見ても綺麗な山だわ
松が生い茂っているから
綺麗なのかしら?
ほら見て
あそこが顔で
あれがお腹みたい
妊婦さんが横たわっている
ようにも見えるわよね


そう言われれば
そうか?


ウンスの指差しを確認しながら
チェヨンが言った


母なる山よ


俺には
イムジャのようにも見えるぞ


チェヨンはうそぶく


うふふ
そお?
でも私  まだあんなにお腹
出てないわよ


ウンスは笑って
お腹をさする
二人目が出来た兆しは
まだなかった
ウンスは
気持ちを切り替えるように
話題を変えた


天界ではね
私たち
この地を訪れることは
なかなか出来ないの
だから
間近に見られてうれしいわ


天界では高麗が二つの国に
分かれていると
ウンスが言っていたのを思い出し
チェヨンは頷いた


天界の私のいた国を
コリアって言うのよ
コリアは高麗のことだから
天界でもこの高麗の伝統を
受け継いでいるって訳
高麗はいい国よ
ずっと続いて欲しい
だから今回の国境の任務は
とても意義があると思ってる


ウンスは自分に言い聞かせる
ように呟いた


ああ


あっぱぁ
たんも
だっこ


二人の会話を聞いていた
息子のタンが手を伸ばす


タンも窓の外が見たいのね


ウンスはタンの頭をなでながら
にっこり笑った


よし   タン
来るか?


タンはチェヨンに抱えられ
膝の上に立ちながら
窓の外に顔を出した


じゃじゃ
ネ〜〜


タンの柔らかな髪が風に揺れ
輿に並走するように
馬に乗っているヘジャに
タンは楽しそうに声をかけた

ヘジャはにこやかにタンを
見つめ   
御者を務める夫ソクテは
少し後ろを振り返り
ヘジャと目を合わせた


輿の中はお弁当のいい匂い
空は青空
風は優しく
お日様が微笑んでいる


輿はゆるゆると
脇の山道を登る
ケナリ(レンギョウ)の花が道沿いに
咲いていた


ケナリがまだ咲いていて
良かった
今年も一緒に見られたね


ウンスは弾んだ声で
チェヨンに言った


そうだな


なかなか来られないから
気になっていたのよ


チェヨンたちは温泉場に
向かう前にチェ家の菩提寺に
立ち寄ることにしていた


お父様やお母様も
お待ちかね   よね
タンがまた大きくなっていて
びっくりするわね


ああ
そうだな


輿は菩提寺に到着し
チェ家の一行は
土がこんもり盛られた
チェヨンの両親の墓に
お参りをした
タンもチェヨンに並んで
頭を下げている

ウンスはチェヨンの両親に
国境遠征が無事に終わるように
一心に祈り
チェヨンは留守の間の
ウンスとタンの安寧を願った
そこへ寺の住職が現れた


おや
ヨンではないか?


和尚   変わりないか?


ああ   息災じゃ


和尚様
ご無沙汰ばかりですみません


ウンスが頭を下げた


天女も息災なようじゃな
おお   息子も大きくなったのぅ
ご先祖もさぞや
うれしかろう
ヨン  いや上護軍
そろそろ国境に向け出立か?
まあ   しっかりやれ


ああ


和尚様と短い言葉を交わし
一行は菩提寺を後に
次の目的地  
朴淵瀑布に輿を進めた


お昼ご飯は滝を見ながらね


ネ〜〜


風が気持ちいいわ


窓から入る春風に
ウンスの艶やかな髪が
なびいていた


*******


『今日よりも明日もっと』
想いが人を守る
そう信じて
あなたを想う







先月高麗仏画を鑑賞した折
購入した「高麗千年の都 開城」の
写真を見つめては高麗に
タイムトラベルしております
とても興味深い一冊だなぁ
ただ残念なことに
糊が弱いのかページが剥がれてくる
読み過ぎ?(^▽^;)

遠目に見ると
松獄山は妊婦が横たわるように
見えなくもないとか
写真で見ると確かにそんな
気もします

さて次は有名な瀑布に
向かいましょうか
お出かけ日和は続きます

また
おつきあいくださいませ


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