なんで?
あいつがいるの?
なんで?
ウンスが追いかけてるの?


目を三角にして
チェヨンは
それでも必死に怒りを隠して
ウンスに尋ねた


えっと
あの


その花束   なに?


あらあ
噂のチェヨンねぇ
ほんとにいい男だわあ
お肌もプリプリ〜〜


ウンスとスジョンのやり取りを
こっそり覗き見していた
オネエのジスクがやって来て
チェヨンに言った


あたしが代わりに教えて
あ・げ・る
今の美丈夫
あんたの女に気があるみたい
この花束は美丈夫からの
プレゼント
あたしが作ったんだけどねぇ


ジスクオンニ!
余計なこと言わないで
違うのよ
ヨン
違うの


ウンスが訳を話そうとした時
店長がやって来て言った


店先で大声だして
どうしたんだ?
おや
チェヨン君?


店長
すみません
奥の部屋
借りてもいいですか
彼女と話がしたいんで


店長が許可する前に
チェヨンはウンスの手を掴み
奥へと消えた
ジスクが覗き見しようとするのを
店長が止める


やめておきなさい
なんだか深刻そうだけど
まさに青春だねえ
ジスクさん
配達行って来てくれないか?


ジスクは追い出されるように
渋々配達に出かけ
店長は店の入り口で花かごの整理

さっきまで作業をしていた
奥の部屋では
スウィトゥピの花束を
抱えたままのウンスが
泣きそうな顔で
チェヨンを見つめていた


バイト先まで来るって
あいつ
いったいなんなんだ!
花束って?
なんで受け取るんだよ


受け取ってない
返そうとして
追いかけようとしたの
そしたらヨンがいて
でもヨン
お迎えには少し早いわ


二日酔い
大丈夫かと思って
心配だったから
様子を見に来たんだ
来ないほうが良かったのか?


そんなことない
来てくれてうれしいよ 


チェヨンは怒りが収まらず
さらに畳み掛けた


あいつ
ウンスが好きだって?
付き合いたいとでも
言いに来たのか?
ウンスはそれを黙って
聞いていたのか?


どうにも冷静でいられない
他の男には感じたことのない
焦りがチェヨンを
ますます苦しめた


あいつは駄目だ
なぜたがわからないけど
あいつは駄目なんだ


チェヨンはそう言って
ウンスから花束を取り上げ
テーブルに置いた
それから力強く引き寄せ
ウンスの上半身を
テーブルに押し倒した


ヨン?
ちょっと!
ヨン!


テーブルの上に背中が乗って痛い
足も宙ぶらりんで身動きが取れない
ウンスは
覆いかぶさるチェヨンの肩を
どんどん叩いた
チェヨンはそのウンスの手を
押さえつけて
無理矢理   唇を合わせる

乱暴な口づけには慣れていない
カチンと歯が当たった

ウンスは首を振って
逃げだそうとしたが
チェヨンは手を緩めなかった


くるし


ウンスは涙が出て来た
チェヨンの気持ちもわかるだけに
やりきれなくて
切なくて
こんなことを
チェヨンにさせている
自分に腹が立った

チェヨンは
ウンスの涙を見て
はっとしたように
ウンスから離れた
そして
テーブルからウンスのからだを
起き上がらせると
にがい顔で「ごめん」と言った


ヨン
あの人とはほんとに
なんでもないの
花束も受け取らないし
困るってちゃんと言ったわ
だから
おかしな誤解はしないで
そんな辛そうな顔しないで


ポロポロ涙がこぼれてくる
チェヨンはそれを指で拭った


ウンスのことだと
冷静でいられないんだ
泣かせるつもりはなかったのに
ごめんな


ウンスは
泣き顔を取り繕うように
なんとか微笑んで頷いた


でもあいつ
どうしてバイト先に?


ウンスは正直に話すべきだと
口を開いた


私のこと気になるって言ってた
バイト先は
ウネに聞いたって言ってたけど
よくわからない
どう言うことなのか
ウネに聞いてみないと


そうか


うん
チャン・ビン先輩と一緒に
もうすぐいなくなる人よ
だから
感傷的になっているんだわ
きっと


そんな風には
チェヨンには思えなかった
すれ違いざまに
チェヨンを見て涼し気に
笑った顔には余裕が見えた
だが
これ以上ここでウンスを
問い詰めたところで
仕方がない


花   どうする?


チェヨンはテーブルの上に
放置した花束を見て言った


どうしよう


俺が買い取るよ


え?


あいつから受け取った
カネはあいつに返す


うん


花には罪はないけど
ウンスの部屋に
飾られるのは我慢できない


うん


店に飾ってもらって


うん
わかった


それから


なに?


チェヨンはきまり悪そうに
ウンスに言った


さっきのキス
なかったことにして
どうかしてた


ウンスはふふっと笑って
尋ねた


じゃあ
やり直してくれる?


ああ


優しく合わさる唇は
チェヨンの唇
柔らかくて暖かくて
なめらかで
チェヨンの背中に回した
ウンスの手に自然と力が入り
ぎゅーっとチェヨンを抱きしめた

大好きなチェヨンと
いつまでもこうしていたい
ところが
トントンと部屋のドアを
叩く音が聞こえた


ウンスちゃん
いいかい?
ウンスちゃんに
お客様が来てるよ


お?お客?


店長の声に二人は
慌てて唇を離した


*******


『今日よりも明日もっと』
心切なくて
時に辛く思えても
あなたの笑顔に救われる
だから
泣かないで


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