はぁと
チェヨンはため息をついた
そんなつもりはなかったのに
ウンスを怒らせ
さらにはがっかりさせたようだ

自分だけがこんなに
好きで好きで
仕方ないのかもしれない

チェヨンは
だんだん自信がなくなった
もともと逃げ腰のウンスに
粘って粘って
彼氏に昇格したのを思い出す

ウンスのすべてを知ってるわけ
ではないけれど
知ってるウンスのすべてが
苦しいほどに愛しくて
気持ちもからだも持て余してしまう

ウンスや
今   何してる?
まだ怒ってる?

聞きたいけれど
今夜は
どうにも意気地がなくて
さっきから携帯画面を
じっと見たままだった





シャワーを浴びたウネが
ウンスの部屋をノックした


寝た?


ううん


ウィスキー飲まない?
たまにはいいじゃない?
ほら免税店で買ってきた奴
開けたいなと思って


ごめん
今飲んだら
荒れそうだから
今夜はやめとく


ウンスは部屋のドアを開けて
ウネに言った


まさか泣いてたの?
鼻の頭が赤いよ


違う違う
なんでもないから


それならいいけど
あいつと何があっても
あたしはウンスの味方だからね
でも
喧嘩するほど仲がいいっていうし
早く仲直りするんだよ


うん
ありがとう
ウネは人の心配より
自分の心配して
週末デートなんでしょう?


ウネは春休みに行った
旅先で釜山の学生と知り合った
男気があって
そのくせ純朴だそうで
付き合っているわけではないが
そうなったらいいなと
一歳年上の彼と
現在恋の駆け引き進行形だ


私は大丈夫だから
もう寝るね


ウンスはパタリとドアを閉めた


あんたが大丈夫って時ほど
怪しいってことくらい
知ってるんだから
何年付き合ってると思ってるの


人のいいウネは
週末デートのことよりも
ウンスのことが気にかかる


とりあえずあいつに
メールしなよ
他愛のない喧嘩でしょう?
意地はる必要なんて
ないんだからね


ウネはドアに向かって
声をかけた


ウンスは携帯を握りしめ
画面を見つめた
ウネの言う通りだ
他愛のない言い争いで
何に腹を立てたのか
もうどうでもいいくらいに
チェヨンが恋しい


どうしてメールも
電話もして来ないのよ
追いかけてもくれなかったし
私のことどうでもいいの?
抱きしめて
ごめんで済む話だったのに


餓鬼!でも大好き!


入力した画面をじっと見て
送信を押しかけては
思いとどまる

いつもならこの時間は
メールが飛び交う時間
うっかり癖で画面をなぞると
シャランと音がして送信完了に
なってしまった


ぎゃ!どうしよう
餓鬼って送信しちゃった


ウンスは青ざめた
チェヨンが気にしていること
わかっていたのに
傷つけたかも?

メールの返信は
なかなか来なかった


チェヨンが携帯画面を
凝視している時に
そのメールは届いた


餓鬼!でも大好き
か・・・
これが大人なら
餓鬼で悪いかと開き直れる
だが今夜は自分でも
嫌になるくらい器が小さな男だ

悩みに悩み
悶えに悶えて
ベッドの上を転がりながら
考えた
いっそそっとしておいた方が
いいかも知れない

頭ではわかっていたが
やっぱり餓鬼だ
ウンスの声が聞きたくて
このまま眠ることなど
出来なくて
チェヨンは携帯の短縮ボタン1を
押してしまった


出ろ   ウンスや
出てくれ


逸る気持ちに呼び出し音が
鳴り響く


여보세요(もしもし)?
ヨン?


ああ
メール・・・見た


うん


餓鬼だ  ほんと


いいよ
餓鬼で構わない
だって私の前でだけでしょう?
天才チェヨンが子供みたいに
拗ねたり嫉妬したりするのは
それに
他の子に見せるのは
絶対嫌だもの!


ウンスは語気を強めた


見せれるかよ
こんな情けない自分
ウンスにだって
ほんとは見せたくないのに


チェヨンは答える


どんなチェヨンも
私のチェヨンだよ


・・・
ウンスや


なあに?


口紅   似合ってた


うふふ   ありがと
ヨンに褒められるのが
一番うれしい


そっか


うん
安心したら眠くなって来た


俺も


ヨン
また明日ね


ああ   明日の朝
迎えに行くから


うん
おやすみ


ああ
おやすみ


チェヨンの声に
なんだかホッとして
急に眠くなったウンスは
携帯を握りしめたまま
眠りに落ちた


*******


『今日よりも明日もっと』
どんな子守唄より
やっぱり安心するあなたの声
夢の中でも聞いていたい


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