二晩続きで
幸せな夜を過ごした
翌日の昼下がり
ウンスは育児園に向かう
準備をしていた
 
都にある育児園は
親が家業や病気で
子を養育出来ない時の
天界でいうところの
一時預かりの
保育園であり
また戦などで親を失った
孤児達が暮らす施設の
一面も備えていた
 
王宮にも影響力のある
豪商チャン・デホの財力で
作られた育児園は
娘のキンスが
切り盛りしているが
子供は増えるばかり
増築増床を重ねている
 
タンの警護に当たるジュヒの
息子コハクや
通いの女中ミヒャンの娘ミホも
ここの世話になっており
発案者でもあり
一児の母親でもあるウンスも
何かと育児園を気にかけていた
 
急に気温が下がり
晩秋から初冬へ向かうこの時期
傷寒症(流行性感冒)が
流行出す
この時代予防接種は
まだないが
ウンスは今日の午後
予防になる生薬やお茶を
育児園に届け
子供達の検診もする予定だった
 
以前 元に逃げた
徳興君がウンスに会う為に
育児園に現れて以来
チェヨンはウンスが
自分がいない時に
育児園や市井に出ることを
ひどく警戒している
 
武閣氏や衛兵だけでは
心もとないようで
チェヨンが行けない時は
侍医に同行を頼んでいた
背に腹は代えられない
 
だが
今日はあいにく
王様の体調がすぐれず
王妃様同様 喉の痛みを
訴えられているので
チェ侍医も
王宮を離れるわけには
いかなかった
 
授乳と昼休憩に寄った
集賢殿でウンスから
話を聞いたチェヨンは
渋い顔をした
 
チェヨンは
チェ侍医のことを
男として
疎ましく思うこともあるが
ウンスに対する忠誠心は
並々ならぬものがあり
信頼もしていた
また何かあれば
身を呈してでも
ウンスを守るであろう
こともわかっていた
 
 
侍医も行けぬとは・・・
明日にすればよいではないか
今すぐでは 
一緒に行ってはやれぬが
明日ならば段取りをつけて
 
 
役目を放り出してでも
行きかねないチェヨンに
呆れてウンスは笑った
 
 
ケンチャナ
ケンチャナ(大丈夫)
ヘミとヒョリもいるし
それに衛兵もどっさり
あなたのことだから
付けるつもりでしょう?
それに今日は
タンは連れて行かないから
私も自由が利くし
心配ないわよ
チェ先生は仕方ないの
王様の治療が何より大事よ
王妃様から風邪をうつされたの
かしらね?
まったくあそこの夫婦も
仲良しなんだから
 
 
けろっと言うウンスに
チェヨンは苦笑い
王様と王妃様のことを
あそこの夫婦などと言えるのは
この高麗にただ一人
我妻だけであろうと・・・
 
それから ウンスの話術に
ごまかされぬように
チェヨンは釘を差す
 
 
だがな
このところ紅巾にも
不穏な動きありと
スリバンから聞いておるし
元の間者が紛れ込んでいる
可能性もあろうが?
 
 
そんなことを言っていたら
往診にもいけやしない
医者稼業上がったりよ
まったくヨンたら
心配のしすぎよ
今は戦もないし
都も落ち着いているじゃない?
 
 
イムジャは己の価値が
まだわかっておらぬのか?
敵国からすれば
喉から手が出るほど
欲しい女人だということが
 
 
あらそれは医仙として?
不動の地位ってこと?
それも悪くはないわねぇ
私はあなたにとっては?
価値のある女?かな?
 
 
伏し目がちに確認する
ウンス
 
 
あ 当たり前であろうが!
何を今更
疑うのであれば
今宵もまた
俺の気持ちをイムジャに
わからせねばならぬ
 
 
勢いづいて言うチェヨンに
頬を染めたウンスは言い返す
 
 
いい 遠慮しておきます
またチェ侍医に房事過多だと
言われちゃうわ
ヨンも少しは節制してよね
昨日だって・・・もうっ
ちょっと凄すぎて・・・
とにかく
また腎虚なんて嫌よ
 
 
ウンスは口ごもりながら
チェヨンに言った
チェヨンも首を振る
 
 
ああ 俺もあんな想いは
二度とごめんだ
 
 
腕の中にウンスを抱きしめて
チェヨンは囁くように答える
 
タンはすっかり
自分が
忘れられている気がして
お乳を飲みながら
二人の会話をじっと見上げて
聞いていた
そして ふいと乳を離すと
二人に言った
 
 
けん
ちゃな〜よん
 
 
なんだかおかしくて
チェヨンとウンスは
顔を見合わせ笑い出す
 
 
もうタンったら
うふふ
 
 
チェヨンも
タンには敵わぬと
頭を掻いている
 
 
そうだわ!
 
 
ウンスは何かを
ひらめいたようで
うれしそうな顔をして
チェヨンを見た
チェヨンは軽くため息・・・
 
 
如何したのだ?
イムジャ?
 
 
ねえ
イサは腕が立つんでしょう?
じゃあ オ先生と 
イサを連れて行くことにする
あの子にも子供の診察は
いい勉強になるだろうし
それに
典医寺とチェ先生の屋敷の
往復の毎日だけだもの
たまには息抜きも必要よね
帰りに饅頭でも食べて
来ようかしら?
あ?あなたも饅頭好きよね?
うふふ 買って来てあげる
 
 
イムジャ
それはイムジャの所望で
あろう?それに
俺が好きなのは饅頭ではない
 
 
へ?
 
 
饅頭を食っている
イムジャのうまそうな顔だ
 
 
もう!ヨンたら
照れるじゃない
 
 
ウンスは口を手で隠して
照れたように笑ったが
チェヨンは真面目な顔で
言った
 
 
日が沈むのも早い
何かあってからでは
遅いのだ
タンも待っているのだし
寄り道せずにまっすぐ
王宮へ戻るのだぞ
よいな
 
 
心配そうなチェヨンと
どことなく呑気なウンス
 
やれやれとした表情で
二人を見守っているのは
赤ん坊のタン
 
瞬く間に家族団らんの
昼時は過ぎ
こうしてウンス達
典医寺の一行は
秋めく高麗の都を抜け
育児園へと
向かうことになった
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
あなたを心配するのは
愛しさから
あなたといて安心なのは
愛してるから
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
天気のせいか
なんとなくどんよりで
気分も体調も冴えない
そんな日もありますよね?

気温が下がり
風邪ひきさんや
体調不良の方が
多いような気がいたします
皆様
どうぞお気をつけ下さいね
 
 
そんな時は
チェヨンからの一言で
ちょっと
気持ちを柔らかく  v(^-^)v
 
このセリフは
haruが管理人のグルっぽに
投稿させて頂いたものですが
もしよかったら
お読み下さいね〜

 
 
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 
 
「チェヨンからの一言」より

 
今日は晴れていたであろうか?
雲はどんな形であったか?
木枯らしが舞ったであろうか?
道端の花が懸命に
咲いていたであろうか?
それとも
落葉が鮮やかに道を飾って
いたであろうか?
今   星は見えているか?
月が輝いているだろうか?

其方の街の景色は
高麗とは異なるのであろうな

ちゃんと
寝て食べているであろうか?
家族は笑っているであろうか?
からだが疲れてはいないか?
泣きたい時に泣いておるか?
自分の心に
手を当て立ち止まることは
あるか?
頑張る自分をねぎらっておるか?
自分ばかりがなぜと  
塞いでないか?

そなたの頑張りを
俺は知っている
そなたが疲れた時は
黙って俺は隣にいる
そなたの暮らしの
小さな幸せを祈りながら 
 
by haru
 
 


皆様
安寧にお過ごし下さいませ
 
 

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