高麗の都が夕暮れに染まる
ウンスはタンとともに
家路に急いでいた

チェヨンはまだお役目で
武閣氏の二人と衛兵が
護衛についている

輿の窓を開けながら
市井の風景を眺めると
民達の変わらぬ暮らしが見えた

そこへすすっと
気配をさせずに近寄る女人
ヘミとヒョリが一瞬
身を固くして
それからにっこり笑って言った


医仙様 
スリバンのマンボさんです


まあ なにかしら?
止めて頂戴


道の端に輿を止め
窓を開けた
見慣れない一風変わった
出で立ちのアジュンマと
ウンスの天界の友人ヘラに
そっくりな女人を
連れている


輿の扉を開けるとマンボ妹は
ウンスに言った


輿が見えたんでね
紹介しようと思ってさ
医仙 前に巫女を探して
いなかったかい?


巫女?えっと?


ウンスは考えた
そういえばいつだったか?
公主様の祝賀の儀の折りに
星宿庁(ソンスクチョン)の
巫女が公主様の安寧を
祈祷するのだと聞いて
王室の巫女の祈祷は無理でも
タンのトルチャンチ(一歳の祝い)
では トルチャビをやりたいと
思ったのだ

現代のトルチャンチでは
欠かせない一大イベントで
ウンスも職場の上司や
親戚の子供のお誕生祝いに
駆けつけては トルチャビを
楽しみにしていた

子供が最初に触れたもので
将来を占うトルチャビ
どれを掴むか出席者に
予想してもらって
それが当れば 出席者にも
贈り物がもらえるとあって
みんなはりきって抽選用紙に
赤ん坊が触れる品物を
書いたものだった

もちろん戯れ言
そうと わかっていても
お金を掴ませようと
必死になる親の姿や
歌手にしたくてマイクを勧める
親の姿 いろんな親の思いが
垣間みられ
必死な親に比べて
全然動かずに座ったままの
赤ん坊など
会場はいつも爆笑の渦だった

高麗にそんな風習があるのか
どうかは 知らないけれど
タンのトルチャンチでは
ぜひやってみたいと
思っていた
果たしてタンは何を選ぶのかと
だから 
占い師がいたら 
トルチャビについて聞いてみよう
そう思ったのだった


占い師よ 尋ねたのは


占い師?なんだいそれ?
此処には巫女しかいないさ


そうか うふふ
そうよね 占い師じゃなくて
この時代は巫女か
で?このアジュンマが?
巫女さん?


そうさハッケミって言って
高麗でも指折りの巫女さ
本当なら星宿庁の巫女だって
出来るくらいの霊力がある
けど ちょっと
変わっていて王宮暮らしは
向いていないってわけさ


なるほど


ウンスは納得して頷いた
王宮には向き不向きが
確かにある


あうあうあ〜


全身銀杏の葉のような
黄色の衣に身を包んだ
風変わりな巫女は
輿の中にいるタンをじっと
見つめて言った


天の相をしているねぇ


そりゃあ そうだよ
なんたっておっかさんが
天のお方だ


マンボ妹はけらけら笑ったが
巫女はうやうやしく
タンに向かって頭を下げると
トルチャンチには
祈祷を捧げに参りますと
そう告げ
ふらりといなくなった
そして
マンボと女人が残った


それで この子は
最近 預かった子で
スリバンとしてジホやシウルと
ともに 情報を仕入れている
ヒョジュってんだよ
このところ王宮の密命も
増えただろ?
女しか入れない所もあるから
重宝しているのさ
うちには男だか女だか
わかんない図体のでかい奴なら
いるけど
女のスリバンを使うのは
初めてだよ
だけど
若の宴には小回りの効く
この子も役に立つだろうから
宴に貸し出そうって思ってさ


ありがとう マンボ姐さん
女の子のスリバンなのね
それにしても生まれ変わりか
っていうくらい私の友達に
似てるわ


それは光栄だわ


ヒョジュは笑った
なんだか笑い方までそっくりだ


ああ もちろんお礼は頂くから
よろしく頼むよ
医仙様


マンボはにかりと笑った


マンボと道端で別れ
輿はゆっくり屋敷に着いた
庭先がなにやら騒がしい


お帰りなさいませ 奥様


どうしたの?ヘジャ


はい 近所の犬が
屋敷に迷い込みまして


まあ 


三歳くらいの双子の女の子が
「ウォル ウォルや どこ〜〜」
と 呼んでいる
そのそばで母親らしき女人が
恐縮したように頭を下げていた


犬だって
タン


あうあうあ


女の子達はタンを見かけると
犬探しもそっちのけで
駆け寄って来た


わかさまだ


かわいいお顔だねぇ 
スノ お嫁さんになる


だめだよ ミラがなる


二人は言い争いを始め
母親は汗が吹き出る思いで
二人をたしなめた


うふふ お嫁さんだって
おしゃまな双子ちゃんね


ウンスは笑って


ところで
わんちゃんは見つかったの?


双子に尋ねた


ううん


二人は首を振った
そこへ中庭から真っ白で
ふさふさな 
まん丸なお月様みたいな
子犬を抱いた
ソクテが現れて


この子かい?


双子に聞いた


あ ウォルだ


しっかり手綱を握ってなきゃ
だめじゃないか
急にいなくなったら
犬もお前さん達も
悲しいだろう?


うん ごめんなさい


うふふ でも見つかって
よかったわね


そう言いながらウンスは
去年屋敷に迷い込んで来た
子犬のことを思い出し
元気でいるだろうか?と
考えた


あうあうあ〜


タンは現れた子犬に夢中で
頭をなでたり
からだを触ったり


よかったね タン
双子ちゃんとも
わんちゃんともお友達に
なれて


たん ままま


うふふ
さ そろそろタンは
湯浴みしなくちゃ
じゃあ 気をつけて
帰るのよ


はーーい
声を揃えた双子は
何度も申し訳なさそうに
頭を下げる母親に連れられて
屋敷から帰って行った


そしてそのころ 兵舎に
チェヨンを訪ねる者がいた


*******


『今日よりも明日もっと』
色んな出会いの中で
人は心も成長して行く



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


ご参加いただいた皆様の
ご紹介です

★くるくるしなもん様
マンボの知り合いの巫女ハッケミ
トルチャンチ当日もよろしくです

★まよ様
スリバンの女子 ヒョジュ
宴でも活躍してくださいませ

★farukon1919様
白くてふさふさな子犬のウォル
タンとまた遊んでくださいね〜 

★19383411様
まずはお友達からどうぞよろしく
双子の一人 スノ
仲良くして下さいね〜

★カリメロ様
近所に住む三つくらいの女の子
もう一人の双子 ミラ
当日はお花をお待ちしています


お話に合うように
一部お名前を変えさせて
いただきました
ご了承下さいませ


おお〜大量出演!
お楽しみいただけると
幸いです

で?お話はちゃんと
繋がっているだろうか?と
ちょっと心配・・・(;^_^A


また
おつき合いくださいませ



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