夜になってテマンは
都の屋敷に戻って来た
少しお酒を飲んだようで
顔がほんのり上気している

湯浴みも
夕餉も終えて奥の間で
お茶を飲みながら
くつろいでいたチェヨンと
ウンスと そして
楽し気に遊んでいる
タンのもとにやって来ると
頭を下げた


本当にすみませんでした
俺 俺


気にするな
ほら この通りタンも
何事もなかったように
元気にしておる


チェヨンが言った


そうよ テマン
気にすることないわ
兵舎に連れて行った私が
悪かったのよ


ウンスも取りなす
それでも
テマンはもう一度頭を下げた
そばで控えるヘジャが
心配そうにテマンを見る


もう失敗はしないから


うんうん
よろしくね
こんなの失敗に入らないわよ
テマン 気にしないのよ
うふふ


ウンスは笑ってみせた
それから優しく尋ねる


それにしても
テマンは悩みでもあるの?


え?どうして?


だって日頃から
俊敏なあなたが
どうしたのかなって?
考え事でもしてたのかって


い いや別に


そお
困ったことがあれば
相談してね
ヨンも私もテマンのこと
実の弟だと思っているわ


テマンはもう一度頭を下げ
屋敷の自分の部屋に戻った


どうしたのかしらね?
テマンらしくないっていうか


まあ 誰にでも
魔が差すことはある


うん そうだけど
ねえ ヘジャ?


左様でございますねぇ


ヘジャも考えるような
素振りを見せた


叔母チェ尚宮から届いた
木馬に乗って機嫌良く
遊んでいたタンは
急に立ち上がると
とてとてと
ウンスのそばに来て
抱っこをせがむ


うふふ
眠くなったの?
タン?
チュホン2号に
いっぱい乗ったものね


ウンスはタンを抱き上げた
タンは 柔らかな
陽射しのような匂いがした


たん あうあ


そっか
そろそろ おねむの時間ね
ヨン 閨に行きましょう?


ああ そうだな
寝るとするか


チェヨンは二つ返事で
立ち上がり
家族三人 奥の間を後にする
そばに控えていた
ヘジャが後ろから声をかけた


ごゆっくり
お休みなさいませ


━─━─━─━─━─


翌日 
王妃様と公主様の回診に
ウンスが坤成殿に伺うと
待ちかねたように
王妃様が出迎えた


おお 来たか
医仙 待っておったぞ


はい 王妃様
先ほど 公主様のご様子も
拝見致しました
お健やかにお過ごしです
晴れた日には
そろそろご一緒に
庭園をお散歩されても
いい頃かと
気分転換にもなりますし
公主様も
夜 よくお休みになれると
思います


時々は外に出て
尚宮たちが
日光浴をさせておるが
そうか 妾がのぅ
散歩のぅ・・・公主とのぅ
それはよいのぅ


王妃様はうれしそうに
微笑んだ


ええ 王様と三人で
のんびりお庭巡りをされても
いいかもしれません


それはよい 
チェ尚宮
養育係のキム尚宮に言って
段取りをつけるように


はい 王妃様


チェ尚宮は頭を下げ
それからうやうやしく
なにやら手渡した
王妃様は ふふふと
優しい笑みを浮かべて
ウンスに言った


やっと出来上がったのじゃ
医仙 いや 姉様


卓の上に広げたものは
濃紺の生地にぐるりと
菊の花のような刺繍が
施されたトルボク(祝い服)と
光沢のある黒の絹織物で作られた
トリョンモ(帽子)
ウンスは驚いた顔で王妃様を見た


どうじゃ?
気に入ったであろうか?
妾からの祝いの品じゃ
姉様に差し上げた
婚礼のファルオッを仕立てた
ホン尚宮が縫ったのじゃ


横からチェ尚宮が口を挟む


ミソル いやホン尚宮は
高麗一の裁縫の腕前を持つ
王宮の針房(チムバン)の
尚宮じゃ


とっても素敵
タンによく似合いそうだわ


うれしそうに
ウンスは目を細めた


トルチャンチは大きな祝い事
妾も楽しみじゃ


はい 王妃様にも
是非ご出席いただきたいわ
王妃の立場が無理ならば
私の妹として


王妃様は微笑んだ
チェ尚宮も無礼なことをとは
咎めなかった
高麗に来たウンスのことを
いつも気にかけ
タンの誕生を
見守ってくれた王妃様
チェ尚宮も今回ばかりは
なんとか 王宮の外へ
連れ出せないものか
と 画策しているようだった

それから
坤成殿を後にしたウンスを
チェ尚宮が追いかけて来た


王妃様は宴の折
王宮のスラ(厨房)の女官を
チェ家の屋敷に使わすおつもり
のようだ


えええ?
そこまでして頂かなくても


そこまでしてやりたいと
有り難いお言葉をいただいた
あのトルボクもそうじゃ
王族以外のトルボクを
チムバンが仕立てるなど
慣例ではあり得ぬのじゃ
それほど 
大事にしてくださっている
のだよ
タンのこともウンスのことも
タンは幸せ者じゃ


チェ尚宮はしみじみと言った


嵐になるかと思われた夜は
何事もなく過ぎ去り
秋晴れのなか
タンのトルチャンチの準備は
着々と進んでいる


*******


『今日よりも明日もっと』
大切な人の為に心を砕く
ひと時の幸せ



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


アメンバー様を中心にお迎えして
16日まで開催のグルっぽ
「タンのトルチャンチぱーちい」

グルをお話に連携させながら
お楽しみいただこうと言う
戯れ言好きなharuの企画ですが

本編トルチャンチ参加者名簿と
銘打って 
お話に参加していただく方を
募集したところ
たくさんの皆様が名乗りを
あげてくださっております

その中から今日は
チェ家のお抱え仕立て屋を
リクいただいたagemaki様に
設定を チムバン(針房)の
尚宮に変更して
ご出演いただきました

本編の流れを考えながら
お話に無理のない設定で
より多くの皆様にトルチャンチに
ご参加いただけますようにと
頭をひねっているところ

次はどなたが出て来るか?
どうぞお楽しみいただけると
うれしいです



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