日が落ちてから
屋敷に戻ったチェヨンを
ウンスとタンが出迎えた
前のように
ウンスが飛び出して来て
首にぶら下がるような
ことはなくなった
それはチェヨンにとって
わずかに寂しい気持ちには
なるが
それ以上に頬が緩む
タンがウンスに手を引かれ
よちよちよちよちと
懸命に歩く様
自分を見つけた時の
目を見開いた表情
廊下の半ばで待っているのが
このところのチェヨンの
楽しみになっていた
おかえり ヨン
ただいま イムジャ
タン
チェヨンは片手で
タンを抱き上げ
もう一方の腕でウンスを
引き寄せた
何か あったのか?
うふふ わかる?
今日
叔母様がいらしたの
叔母上が?
ええ
市場に用事があったみたい
きっとタンのものを
買いに来たのよ
そんな顔してた
どんな顔だ?
言いたくてたまらないけど
我慢してるみたいな?
チェヨンはぶっと
吹き出した
なんとなく想像出来た
それでね
タンのトルチャンチを
どうするかって話になって
私は簡単でいいかと
思っていたけど
あなたも上護軍になったし
やっぱりちゃんと
やらなきゃ駄目だって
叔母様に伺いながら
準備を進めてもいい?
俺は構わぬが
イムジャは大変であろう?
医仙のお役目もある
そうだけど
そんなこと言ったら
叔母様も忙しい武閣氏の長よ
せっかくの一歳の記念日だもの
頑張るわ
タンのトルチャンチぱーちい
は?ぱーちい?
イムジャ
ぱーちいとは宴のこと
だな?
そうよ
チャンチも宴のことで
宴宴になるではないか?
あ!
もうヨンは意外と
細かいんだから
ウンスはぷうと膨れた
だってぱーちいって
付けた方が
タンにはお似合いよね
ね〜〜タン
ネ〜〜
チェヨンは苦笑して
ウンスを見た
それから奥の間に
夕餉の膳が運ばれ
チェヨンの
やっと遅い食事が始まった
ウンスがじっと
チェヨンの口元を見て
目をキラキラさせて言った
美味しそうね
食べたのではないのか?
食べたわよ
でもなんだか
ヨンが食べてるのを見たら
また食べたくなった
うふふと笑うと
しょうがないなと
チェヨンは箸につまんだ
鶏肉の蒸し物を
ウンスの口に放り込んだ
んぐんぐ
隣でタンが小さな口を
パクパク開けている
なんだ?タンもか?
あうあう
チェヨンは自分が食べる
ことも忘れて
せっせと雛鳥たちに餌を運び
それで叔母上はなんだと?
ウンスに聞いた
ああ そうそう
誰を招くか?とか
何処まで招くか?とか
会場を何処にするかとか
料理はどうするとか
あとはお餅を配らなきゃ
いけないけど
その数がものすごいから
餅屋に頼んだ方が
よくないか?とか色々
相談されたの
まったく
タンのことになると
俺の知っている叔母上では
なくなるな
チェヨンはニヤリと笑う
場所など
この屋敷でよいではないか?
うん そうなんだけど
でも王宮の邸なら王妃様も
出席できると思ったの
いつも留守番だから
今度の婚礼だってお留守
でしょう?
ウンスはなかなか
自由が利かない王妃様を
思っていた
それはそうだが
まさか集賢殿となった
邸で執り行うわけには
いかんであろう?
改築して
ちと手狭になったし
そうよね
叔母様もそう言ってたわ
それに王宮を私事に
使うのもあまりよろしく
ないって・・・
まあ そうであろうな
いろんな決まりがあって
なんだか
わくわくするはずの
トルチャンチなのに
体面とか 釣り合い?とか
考え始めたら面倒になるわね
ウンスは顔を曇らせた
慣習とか伝統には
未だにどうにも慣れない
そうだな
確かにそうかも知れぬ
まあ いつものように
イムジャらしく
天界式?で
やればよいであろう
でもあなたの体面も
少しは考えなきゃ
叔母様も心配するだろうし
上護軍の立場もある
俺のことは気にせずともよい
俺は天女を妻に娶ったのだ
体面などとっくに
どうでもよいぞ
イムジャの心のままに
うふふ
ありがとう
ウンスはうれしそうに
チェヨンの頬に
ちゅうっと
口づけ笑って言った
それでこそ
我が夫チェヨンだわ
なんだか
気持ちが軽くなった
二人は微笑み見つめ合い
タンが二人を見比べて
例の如くポ〜〜と
騒いでいる
チェ家の奥の間は
暖かだった
*******
『今日よりも明日もっと』
自分らしくと言うけれど
それが案外難しい
あなたの前では
素のままの私でいたい
現在トルチャンチぱーちいの
準備を進めており
短めの更新になりました
o(_ _*)o
またおつきあいくださいませ
台風の影響が
出始めているような?
皆様
お気をつけくださいネ