ぱちりと目が覚めたタンは
辺りを見回す


あうあうあ
まんま まんま


声を出してみても
優しいウンスの返事はない
さっきもこうだったと
タンはがっかりした

ウンスの腕に抱っこされ
大好きな乳を飲みながら
眠ることはタンの至福の喜び
だが目覚めた時に
大好きな母がいないのは
さみしくて仕方ない


あ〜〜〜ん 
ううう〜〜ん


もう少し大きな声で
泣いてみた


母上ならまたいないぞ
飛び出して行ったのだ
まったく 少しも変わらぬ
思い立ったら火のようだ


チェヨンも小さなため息を
ついている


今日は二人とも
置いてけぼりの日だな


あうあう


ごろんと転がって
タンは四つん這いの姿勢で
寝台の中から
チェヨンを見つめた


こっちへ来るか?


あう


チェヨンはタンを抱き
広い寝台の上に
仰向けに寝転ぶと
自分の腹の上に
タンをうつぶせにして乗せた
タンはくりくりした黒い瞳で
上目遣いにチェヨンを見つめる


んまっ ままま
まんま あ〜あ〜


タンはウンスを恋しがるように
なにやら呟いている
チェヨンはふと思いつき 
自分のすねに
タンの腹を合わせて乗せ
膝をゆっくり曲げ伸ばした
タンもゆっくり上下する


おお これは足腰の
よい鍛錬になるな
ほら タン
お前も重心を保たねば
落ちてしまうぞ


タンは最初驚いた顔をしたが
チェヨンの足に支えられ
きゃっきゃと言いながら
バランスを
とっているようだった
チェヨンの足から
落っこちないように
上手に空中に留まっている


おお いいぞ
タン 楽しいか?


あうあう〜


それからまた
どさりと
腹の上にタンを落とした
引き締まったチェヨンの
腹筋は弾力があり
ちょうどいい頃合いで
タンを受け止める
タンはきゃっきゃと笑った


そこへウンスが戻って来た
手にはチェヨンの藍色の衣
ウンスも綺麗な薄桃色の衣に
着替えている


ねえ これに着替えて


何処かに出かけるつもりか?


ううん そうじゃないわ
ヘジャ達が帰る前に
支度しなくちゃ


なぜに?


今 あの二人はチェ家の
菩提寺にお参りに行ってるの
あのお寺の山の麓に
ソクテのご両親が眠っているん
ですって
ご両親のお墓にお参りして
菩提寺にも寄りたいって
ソクテが言ったの


へえ そうなのか・・・


うん
あなた ボルムタル村から
戻って以来 なかなか
休めなかったでしょう?
ソクテはあなたの留守中に
何かあっては
申し訳が立たないって
長時間の外出を控えてたみたい
だからお墓参りに
なかなか行けなかったのよ
ほら 今日はあなたがいるから
私とタンのこと
守ってくれるでしょう?
うふふ
ソクテって本当に律儀よね


それがなぜに着替える羽目に?


ヨンにも二人の婚礼に
出て欲しいから


こ?婚礼?それはまた急な
そのような準備
何も
ないではないか?


大丈夫 そのうちわかるわ
うふふ 私も
まさか今日とは思ってなくて
それで祝いの餅やらなにやら
急いで
ウォンに買いに行かせたのよ
注文してあったものも間に合って
なんとか形になりそうよ
本当によかった
今 オクリョンに
いろいろ準備させてるから
もうしばらく 
タンをよろしくね


ウンスはタンを手早く
着替えさせ
タンのぷるぷるのほっぺに
ちゅっと口づけ
タンをヨンの腕に預けた
それから驚いたままの
チェヨンの唇にちゅっと
口づけると
忙しそうに閨を後にする
あんぐり口を開けた
チェヨンとタン


ほらな 母上は
言い出したら聞かぬ女人
であろう?
父の苦労がわかったか?


あうあうあ


腕の中にいたタンが
慰めるように
チェヨンの頬をなでた


━─━─━─━─━─


辺りは夕闇に包まれていた


すっかり遅くなったねぇ
夕餉の支度に
間に合わなかったよ
奥様に申し訳ないことを
せっかくのお休みが・・・


オクリョンがなんとか
しているさ
あの子はしっかりした子だろ


それはそうだけど


心配しながら屋敷の勝手口を
くぐった


お帰り ヘジャさん
ソクテさん
ヘジャさん 奥の間で
奥様がずっとお待ちですよ


オクリョンは
にこにこしながら
ヘジャに伝えた
すっかり帰りが遅くなり
恐縮していたヘジャは
オクリョンに尋ねた


オクリョン
夕餉の支度は?
大丈夫だったかい?


大丈夫 心配ないわよ
ちゃんと奥様のいいつけ通り
準備したから


そうかい・・・


ヘジャはほっとして
奥の間へ急いだ
ソクテはウォンに呼ばれ
上等な衣を渡された


なんだいこれ?


さあ?おいらわかんねぇ
これに着替えさせろって
奥様がいっただ
着替えたら使用人部屋で
待ってろって


う〜ん


薄紫色のパジチョゴリを
ソクテは首を傾げて
見つめていた


奥の間ではウンスが
手ぐすね引いて
ヘジャを待っていた


ヘジャ お帰り


遅くなりまして


薄桃色の衣を身にまとい
美しく微笑むウンスが
ヘジャを出迎える


いいの いいの
それよりご挨拶出来た?


はい おかげさまで
そうそう 和尚様が
たまには顔を見せるように
伝えてくれと・・・


そうよね
お墓参りに行かなくちゃ
このところ忙しくて
すっかりご無沙汰だもの
・・・
伝言確かに受取ったわ


そう言ってから
頭を切り替えるように
ヘジャの腕を引いて
自分の衣装部屋に
連れて行った


お 奥様?


うふふ
これに着替えてね
間に合わないかと思って
ヒヤヒヤしたわ


こ これは?


婚礼は挙げないって
言ってたけど
ソンオクのところに
挨拶には行くかなと思って
仕立てておいたのよ
さっきウォンに絹屋に
取りに行ってもらったの
仕上がっていてよかったわ
花嫁衣装の代わり
どお?気に入った?


綺麗な紫色のチマに
空色のチョゴリ
チョゴリには縁起物の
ナビ(蝶)が
刺繍されていた


気に入るも何も
あまりにもったいないお話で
それにヘジャには
綺麗過ぎて 眩しいくらいで


なに言うのよ
婚礼の夜よ
どれだけ綺麗にしたって
罰は当らないわ


こ 婚礼?


うふふ
ヨンと私はちょこっと
立ち会うけど
でもね
招待客は誰もいないの
二人だけの婚礼だもの


二人だけの?


ええ そうよ
ヘジャは
盛大にお祝いするのは
気が引けるみたいだったし
だから 二人きり・・・
そのほうが
ヘジャとソクテらしい
婚礼の夜だと思ったのよ
静かにゆっくり始まる夫婦も
いるって 
ヨンも言ってたし
だけど祝い餅は用意したわ
それに
オクリョンが頑張ってくれて
ささやかだけどご馳走も
用意できた
さあ 
早く着替えて行きましょう


渋るヘジャの衣を
無理矢理着替えさせると
髪を綺麗に結い上げて
白粉を塗り紅を差す


綺麗だわ ヘジャ
どこぞの娘にも負けないわよ


何をお戯れを


ヘジャは大いに照れたが
きめの細かい肌は滑らかで
ほんのり上気した頬は
若い娘のように初々しかった


さあ ソクテが待ってる
ヨン タン
行きましょう


閨の二人にも声をかけ
一同は客間に向かった
部屋の前ではソクテが
落ち着かない様子で
ウォンとともに
ヘジャを待っていた


おまたせ ソクテ
綺麗な花嫁さんでしょう?
うふふ
ソクテは果報者だわ
ヘジャをよろしく頼むわよ


へえ お任せを


美しいヘジャを見て
ソクテは顔を赤くして
そう言った

チェヨンはふたりの前に
座ると 赤い盃に酒をつぎ
二人はかわるがわる
それを受け
ウォンとオクリョン
それに途中からテマンも
屋敷に帰って来て
客間の外から見守る

タンは美しい母ウンスの
腕に抱かれて
ご満悦の様子だった


ソクテ ヘジャ
おめでとう
これからもチェ家を
よろしく頼むぞ


二人はしっかり頷いた


おめでとう お二人さん
幸せになってね
さてと
結婚の立ち会いも
済んだし
私達はこの辺で失礼するわ
ヘジャ・・・ちょっと・・・


ウンスは耳元で
ごにょごにょと囁いた
ヘジャは真っ赤になって
言った


お 奥様!
困ります


いいじゃないの
じゃあ ごゆっくり


ウンスはチェヨンに
ぴたっと寄り添うと
奥の間へと引き上げた


オクリョン みんなの分も
夕餉を奥の間に運んでね
今日はお祝いだもの
一緒に食べましょう?
いいでしょう?ヨン


ああ 構わぬが
それにテマンから
今日の王宮の様子も
聞かねばならぬしな
飯を食いながら聞くとするか


イェ 
と 後ろでテマンの声がする


それにしても
イムジャは今度は
何を企んだのだ?
ヘジャが困っておったようだが


チェヨンはからかうように
ウンスに尋ねた


うふふ
あのね 客間の隣の部屋に
寝床を用意したって
言って来たの
お布団は結婚祝いよって


はあ?


だって大切な夜だもの


また 随分と戯れ言が
好きな母上だなぁ


ヨンはタンの頬を
つつきながら言った


まんま あうあうあ


タンの声が楽し気に
聞こえてきた


*******


『今日よりも明日もっと』
新しい夫婦にも たくさん
幸せが降り注ぎますように



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


切りどころがなくて
少し長めになりました
m(_ _ )m

ヘジャお幸せに・・・

アメンバーの皆様とは次回
禁断の?飛ばないアメ限で
お会いしましょう

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

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アップ
茄子の花のような綺麗な紫色の
チマチョゴリを探して
商品紹介から (;^_^A
貼付けてみました
ヘジャには少し派手かしら?
初夜の衣だもの 
綺麗に着飾って欲しくて♡




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