明日はいよいよ祝賀の儀
打ち合わせ漬けの毎日とも
にわか文官としての使命も
やっとこれでお別れだと
チェヨンはほっとしていた

最終の王宮警備の
打ち合わせだと言って 
ポムの兄 パク・インギュに
宴の仕切りを任せ
兵舎を訪れたチェヨンは
チュンソクにこぼした


身体が鈍る
俺は剣を振り回していた方が
性にあっておるのだ


はっ


チュンソクは苦笑い
チュンソクはチュンソクで
チェヨンがいるだけで
兵舎全体が
ぴりっと
締まることに安堵する一方
隊長としてもっと
隊を引き締めねばと感じていた


ウダルチは変わりないか?


はっ


そうか
国を挙げての慶事ゆえ
ウダルチも心してかかれ


はっ


それにしても
王妃様は元の魏王の姫君なれば
元からの使者も迎えぬわけには
いかぬ
厄介なことだが致し方なかろう


そうですね
して 元からは誰が?
まさか徳興君様を寄越すとか?


まさか
奴は元にかくまわれてはおるが
元国のものではない
使者にはなり得ぬ
そのようなこと
いくらなんでも魏王が
黙っておらぬであろうしな


そうですね


だが油断は禁物
無事終わるまで気が抜けぬぞ


はっ


それからチェヨンとチュンソクは
もう一度王宮の見取り図を開いて
ウダルチや各軍の配置を確認した
王宮で行われる慶事に
民が参加するのは初めてのこと
あまり物々しくするのも
よろしくないが
刺客や敵から王宮と民を
護るのは大切なお役目
万に一つのことがあってはならない

二人が念入りに計画を確認し
それから各担当の軍の長を呼び出し
最終の打ち合わせ
そこにはアン・ジェ将軍の姿もあった


すっかり文官が板についたな


アン・ジェがチェヨンを
からかう


うるさい!
お前こそ明日は抜かるなよ
市の警備は
お前たちの軍に任せたぞ


ああ 任された
お前たち夫婦には
世話になっているからな
王宮のためでもあるが
お前たちのためにも
最善を尽くす


アン・ジェはにやりと笑って
頷いた
そこへテマンがやってきて
チェヨンに
マンボ兄妹が来たと告げた


ああ そうだった
明日の準備で
必要なものを王宮に運び入れると
言っていたな


市場はスリバンの仕切りか?


アン・ジェが尋ねる


いや マンボたちは
食べ物屋と薬売りだ
他の店はチャン・デホに頼んである


高麗一の豪商が後ろ盾なら
市も賑やかになりそうだ
それにしても王宮に市場を開くとは
斬新な考えに恐れ入る
まるで祭りの縁日のようだな


ああ 祝賀自体が祭りなのだから
理にかなったことであろう?


チェヨンはアン・ジェたち
武官と別れ兵舎を後にすると
今度はスリバンやチャン・デホの
店のものたちと打ち合わせた


とにかく火の始末は厳重に
宴の前に王様と王妃様の
ご視察があるゆえ
粗相のないように


なんだか面倒くさいねぇ


マンボ妹がぶつくさ言った


あたしゃ クッパが売れたら
それでいいんだよ
あ~王宮の犬のお付き合いか


まあ そう言わんと
ヨンだって頑張っておるんだし


マンボ兄が言って 
付け加えるように
チェヨンが笑ってマンボ妹に
言った


ああ それに
王様が召し上がった
クッパともなれば
名実ともに高麗一のクッパだ
店の売り上げだって
どんどん 伸びるだろうよ
ウンスも久しぶりにマンボの
クッパが食べられるって
楽しみにしてるんだ


まさか
医仙に
クッパを食べさせたくて
うちを引き入れたんじゃ
ないだろうね


━─━─━─━─━─


チェヨンの屋敷でも
明日の慶事で
休みをもらった女中たちが
楽しそうに
使用人の休憩部屋で話をしていた


王宮へ向かう道にずらっと
市が立つんでしょう?
きっと すごい眺めよね
それに
王宮にも入っていいんでしょう?


オクリョンが聞いた


ああ そうだよ
この度の慶事は
旦那様が責任者なんだ
とてつもない名誉なお役目を
担当されてるんだよ
都中が いや 国中が
明日を楽しみにしてるだからね
屋敷のものがご迷惑を
おかけしないように
みんな頼むよ


昼の休憩に使用人の
休憩部屋に集まった女中たちを
前にヘジャが言った


は~い


女中たちが声をそろえて答える


それから 明日はここには
通わなくていいから
その分 今日しっかり働いて
おくれよ


は~い


ああ そうだった
帰りに晴れ着と小遣いを渡すから
チェ家の女中として
恥ずかしくない
身なりで王宮に行っておくれ


きゃーほんと?ヘジャさん


ユウが興奮したように
確かめる


ああ 奥様のお心遣いだよ
ありがたくいただきな


なんだかウキウキするわね
お祭り騒ぎだもの
さあ 明日の分も働かなくちゃ


おや もう休憩はいいのかい?


ええ 早く済ませて
早く帰りたいわ


ハヌルが笑って言う
女中たちが行ってしまうと
入れ違いにソクテとウォンが
休憩にやってきた
ウォンがヘジャに言う


ヘジャさん
おらたち住み込みの者で
前みたく
市見物に一緒に行きたいだ


おや ウォンは王宮に
テマンさんと一緒に
行くんじゃないのかい?


そ そうだども
馬の世話が終われば
暇になるだし
ヘジャさんは
お オクリョンちゃんと
い行くだか?


そうだけど・・・


ヘジャはソクテをちらりと見た
ソクテはヘジャに言う


そうさな
ウォンの気持ちも
わからんではないし
なあ ヘジャさん
明日は一緒に王宮へ行っても
構わないかい?


ソクテさんさえ良けりゃ
あたしは構わないよ


ソクテに答えながら
浮き足立っているのは
若い女中だけじゃないと
密かに 明日が一層楽しみに
思えてきたヘジャ


さあさあ
残りの仕事を片付けなきゃ
ウォン ここにお茶があるから
ソクテさんについでおあげ


ヘジャはそう言い残すと
軽やかな足取りで
厨房へと向かった


━─━─━─━─━─


ウンスは帰りの輿の中から
着々と祝賀のための準備が進む
王宮や都の通りの様子を
見物しながら家路に着いた
都全体が華やかな雰囲気を
醸し出している


父上のお役目がやっと
花開くわね
明日が楽しみだわ


あうあう~


ウンスの膝の上でタンが
ご機嫌に返事をする


今日は父上の帰りは
遅くなりそうね
でもさっき会いに来てくれたから
許してあげようか うふふ


んまま~


「気をつけて帰れ」と
典医寺まで
忙しい合間を縫って
わざわざ会いに来てくれた
優しい夫 チェヨンを思い出し
「明日が無事におわりますように」
と祈るウンスだった


*******


『今日よりも明日もっと』
水菊の花のように
一つ一つの小さな力が集まって
やがて 綺麗な花を咲かせる



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


徒然に書いていたら
なんだか 切りどころがなく
なが~く
なった気が・・・ m(_ _ )m


また
おつきあいくださいませ



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