数日ぶりに典医寺に出仕する朝
慌ただしい一日の始まり

チェヨンの腕の中で朝早く
目が覚めて
口づけを交わすと
それだけじゃ終わらなくて
結局いつもと変わらぬ
起床になった

それから目覚めた
タンに乳を与える

身支度を整え薄化粧をし
タンの着替えを済ませ
奥の間で朝餉の時間

今日も一日 
忙しいんだろうなと
覚悟を決めて
チェヨンがウンスの
口に運ぶおかずを美味しく食べた

タンは奥の間の隣の寝台の中で
なんとか寝返ると
不満そうにチェヨンとウンスを
見ていた


ごめんね タン
お座りさせてあげたいけど
朝は急ぐのよ
直ぐ行くから 待っててね


口も手も動かしながら
ウンスが言う


そんなに慌てずとも
典医寺は逃げはしないぞ


チェヨンがやや呆れて言うと


久しぶりだから早めに行くって
言ってたのに
行けなくしたのは誰よ


横目でちらっと睨みつけた


同意のうえだ


チェヨンが涼しい顔で答えた


そうだけど
だって 


まだ何か言いかけたウンスは
ここで
痴話喧嘩をしている場合では
ないと思い直し 
またもくもくと食べ始める


ごちそうさま
ヘジャ タンの荷物の準備は?


出来ております 奥様


ありがとう
なるべく早く帰りたいけど
どうかな?


ウンスは数日の留守の間の
典医寺の様子を推し量る


よい あとで迎えに行くゆえ
典医寺で待っておれ


うふふ うん 待ってる


ウンスはチェヨンの唇に
ちゅっと音を立てて口づけて
うれしそうに 答えた


武閣氏のヘミとヒョリが
表で待っている
ヘジャに促されウンスは
タンを抱き上げると表に
向かった


あまり急ぐと転ぶぞ


チェヨンの声と同時に
ふらっとよろける
間一髪でチェヨンがウンスと
タンを抱きしめた


だから言ったであろう
これだからいつまでたっても
目が離せぬ
タンもろとも転んだら
如何するのだ


うふふ ごめんなさい
でも大丈夫
私には必ず守ってくれる
頼りになる旦那様がいるもの


おだてても その手には
のらぬぞ


体勢を元に戻して
起き上がると
ウンスはタンをチェヨンに
預けた
それから チェヨンの首に
抱きついて
ぎゅっと唇を重ね
チェヨンの唇を甘噛みした


さっきのお礼
守ってくれてありがとう


もう一度口づけする


まったく
しょうがない母上だ


チェヨンは頬を緩めて
タンにぼやいた


うふふ
じゃあ 今朝は先に行くわね
お見送り出来なくて
ごめんなさい
ヨン 行ってきます
そして行ってらっしゃい


ウンスは顔の横で
小さく手を振ってから
再びタンを引き取ると
表に向かって今度は用心深く
急ぎ足で歩き出した

相変わらず 火のような女人
鉄砲玉のように飛び出して
周りが止めても
納得するまで諦めない
出会った頃から少しも変わらぬ
妻の後ろ姿を
チェヨンは見送った

春風にウンスの艶やかな髪が
ふわりと舞っている


典医寺に着いたウンスは
まずは
育児室にタンを預けに向かった

楽しかった休暇を思い出し
それから気を引き締める


タン 
また寂しい想いをさせるわ
でもオンマも頑張るからね
一緒にがんばろうね


あう あう あ~


タンが頷くように答えた
高麗の日常がまた始まる


*******


『今日よりも明日もっと』
久しぶりの慌ただしさに
なんだか
ちょっぴり ほっとする




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