育児室の扉を開けて
ウンスはびっくり仰天した


え?なんで?
なんでいるの?


しっかりとウンスを見て
女人は言った


プジャンに
いえ  今は
チュンソク隊長でしたね
泣きつかれまして


えええ?
チュンソクさんが?


妊娠されてるポム様が
医仙様と若様を
心配されて
どうしても典医寺に行くと
言って聞かないそうで
チュンソク隊長も
気が気でないと・・・
困り果て
ポム様の身体が
落ち着くまででよいから
せめて昼間だけでも
医仙様のそばに居ては
くれないかとそう言われ


あらら


プジャン
いえ
チュンソク隊長にも
大護軍様にも医仙様にも
恩義のある身
これ以上お断りする訳には
参りません
お役に立てるならばと
こうして
お引き受けいたしました


乳母ヒョンジュと揃いの
白衣姿のジュヒが
ウンスに答えた


まあ   そうだったのね
それはこちらとしては
願ってもないわ
ポムは初産なのに
すぐ無茶をするもの
それにコハクは武術にも
長けているし
あ   違った
ジュヒだったわね


はい
息子のコハクは育児園に
預けて参りました
王宮に出入りさせるわけにも
行きませんし


そお  残念
会いたかったわ
連れて来てもいいのに


いえ   医仙様
コハクのことは
誰にも知られず
そっとしておきたいのです


ジュヒが懇願するような
目でウンスを見た


わかったわ
じゃあ   無理にとは言わない
ジュヒ   
しばらくの間よろしくね
わからないことは
ヒョンジュに聞いて
数日のうちに
また出産があるから
ここも忙しくなるわよ


はい   医仙様


奥にいるヒョンジュが
返事をした
ウンスはタンをジュヒに
預けると育児室を後に
診療室に向かう

タンは初め
ジュヒをちろりと見たが
泣きもせずにおとなしく
抱っこされた


必ず若様を
お守りいたします


ジュヒがきりりと
ウンスに誓った


━─━─━─━─━─


久方ぶりの診療室
穏やかなチェ侍医の顔
忙しそうなトギ
しっかり者のサラ
皆が揃ってウンスを出迎えた


留守中迷惑かけました


ウンスがぺこりと
頭を下げた


ゆるりと出来たようですね
顔の色もよくおなりだ


チェ侍医が微笑んだ


ええ   やっぱり人間
適度な休息は必要ね


そうですよ
医仙様はすぐ無理をするから
医仙様の代わりはいないの
ですよ


サラがウンスに言った


ありがとう   サラ
王妃様に
お変わりはないわよね


ウンスは来月末には
出産を控える王妃様を
気にかけた


それがですね
ここにきて少しばかり
浮腫があります
この数日なんだか
お元気がないようで
医仙様のお帰りを待ちわびて
いらっしゃいました


そお
マタニティーブルーかしら?


またまた?


妊婦にはよくあるわ
不安になったり
寂しくなったり
それを天界では
マタニティーブルーって
言うのよ
すぐに王妃様の所へ
行ってみるわ


それがよい


チェ侍医も頷いた
ウンスは思い出したように
話を続けた


そうそう
育児室にね
ポムの代わりにしばらく
チュンソクさんの
知り合いのジュヒが
詰めてくれることになったの
武術も優れているから
助かるわ


ウダルチ仕込みですからね


チェ侍医が小さな声で
ウンスに囁く


え?どうして?


大護軍から仔細は
聞いております


ヨンたら
私には内緒にして
先生には相談してるのね


ウンスは少し口を
尖らせた


医仙様を驚かせたかったの
でございましょう
いかにも大護軍らしいやり方


チェ侍医はにやりと笑って
話を続けた


私には面倒なことに
なるかも知れぬから
一応耳に入れておくと
そう仰られて


ふーん   なんだかんだと
ヨンはチェ先生を
信頼しているのよね
男同士の同盟かしら?
まあ   いいわ
ジュヒも
息子のコハクのことは
秘密にしておきたいみたいだし
チェ先生が
事情を知ってる方が
何かと話が早いもの


はい
心得ております


チェ侍医はウンスに
優しく言った


じゃあ王妃様のとこに
行って来ます
サラを借りるわよ


はい   医仙様


サラとともに
ウンスは武閣氏の二人に
守られながら
急足で
王妃様のもとへ向かった

入れ替わるように
テマンがチェヨンの使いで
典医寺を訪れた

チェヨンは王様のお供で
急に王宮の外に出ることになり
迎えが遅くなるから
先に邸に戻るようにと
伝えに来たのだ

ウンスはいなかったが
チェ侍医に言付けを頼み
さて兵舎に戻ろうとして
見覚えのある
可愛らしい顔の
女人に行き交った

女人は中庭の木の下で
タンを抱いてあやしていた


コハク!
コハクじゃないか?
いやいや   コハクは男
それにここにいるわけがない
お前誰だ?
なんで若様を抱いている?


じっと見つめ問うテマンに
ジュヒは困ったように
俯いた


*******


『今日よりも明日もっと』
春は思わぬ出会いの季節
新たな風が吹いている



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