閨の鏡の前で
湯上りの髪を梳きながら
ウンスが
寝台に寝転んでいる
チェヨンの方を向いて笑う


楽しい一日だったわ
連れ出してくれてありがとう
お墓参りも出来たし
クッパも食べたし
あちこち行って
タンもすっかり
疲れたのね~
もう寝ちゃったもの


湯浴みから戻り
乳を飲むと
あっと言う間に
眠りに落ちた

ぎゅっと握りしめた
小さな手のひら
眉間に寄せたシワ


難しい顔して
眠ってるわ
疲れたのね   きっと


チェヨンは
ちらりと見ると


そうだな


と微笑んだ
何処へ行っても
主役のタンは
皆に見つめられていた


美丈夫だって
みんなに言われたわ
あなたに似たのよ


そうか?
よくわからんが


マンボの店で
高麗一美味しいのが自慢の
クッパを食べて
気持ちもからだも暖まり
それから市を散策した
久しぶりに食べた屋台の饅頭は
美味しかった
小間物屋では綺麗な色の
赤瑪瑙(めのう)の簪を
買って貰って顔がほころんだ

急な大護軍と医仙
それに可愛い愛息のお出ましに
辺りはいっとき騒然とし
あちらこちらの民から
声がかかる
気さくなウンスは
立ち止まっては話をし
立ち止まっては話をし


若様かわいい
医仙様   お綺麗だ
大護軍様   素敵
若様もきっと立派な
武士になるだろうさ


そう言われるのは
悪い気分じゃなかった
だが名家チェ家の跡取りは
思った以上の期待と
重責を担うのだと
まだ小さな息子の行く末を
ウンスは実感した


この時代はやっぱり
生きたいように生きられない
チェ家の跡取りとして
気軽に生きてはいけないわ
タンは私たちの子どもに
生まれて幸せかな?


赤瑪瑙の簪を見つめながら
ウンスが漏らした言葉
チェヨンは
寝台から起き上がり
ウンスを後ろから抱きしめ


俺たちの子だ
心配ない
そうであろう?


うん


イムジャは
この時代に生きて
不幸に感じるか?


え?
ううん


ウンスは首を振った


だって
あなたがいるから


ああ
ならばタンも大丈夫
イムジャがいるゆえ


チェヨンの声が
耳元で響いた


イムジャ
心配はそれくらいにして
早う床へ参ろう
夜は
俺のものなのであろう?


耳たぶを噛むチェヨンの
吐息がすでに熱い


うん


なんだか恥ずかしくて
小さく頷くと
チェヨンがひょいと
ウンスを
抱き上げ
灯りをふっと消した


ぐずらぬとよいが


タン?


ああ    近頃どうも
邪魔をされる気が


そうかしら?
気のせいよ


では   今宵も
気張って子作りに
励むとするか


もう
ヨンたら


寝台に横たわり
上に乗った
チェヨンにウンスは
微笑んだ


月明かりに
ぼんやり照らされている
恋しい夫の姿


屋敷はよい


そうね
こっちに帰って来たくなるわ
明日の夜には
また王宮だなんて寂しいな


そうか
俺はすぐに会える王宮も
捨てがたいが


あら   今
屋敷はいいって


ああ   屋敷だと
イムジャは役目に追われず
ゆっくり
タンの世話が出来るし
それに何より閨でも
いつも以上に


チェヨンは
言葉を切った


何よ


ウンスが尋ねる


さて
なんであろう?
それはこれから
確かめればよい


チェヨンの口づけが
首筋に降り注ぐ


いつも以上に
あなたを・・・


ウンスは目を閉じた


*******


『今日よりも明日もっと』
天に与えられた運命を
切り開いて生きてきた
あなたと一緒に
そしてこれからも



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