頬をなぞる指先は
チェヨンの優しい指先だ
春の朝の
柔らかな光を浴びて
もう一眠り
チェヨンの腕の中へ

ほんとうに久しぶりに
心ゆくまで肌を重ねた
からだが気怠い

最近典医寺では
難産が続いて
気が休まる暇がなかった
チェヨンの求めには
応じていたけど
どこか頭の片隅は常に
医者の顔

女であるより
医仙であることを
優先して
がむしゃらに頑張っていた
身体も相当疲れていた
そこにチェ侍医を
巻き込んでの騒動があり
ポムの懐妊があり

王妃様の状態が安定している
この機を逃したら
またしばらく
休めないであろうからと
心配したチェヨンに
半ば強引に
休みを取らされた

仕事を離れて
頭を空っぽにして
大好きなこの屋敷で
タンとゆっくり過ごし

そして夜は
何も考えずに
ただ
チェヨンを感じた

その息遣いに溺れ
そのぬくもりに癒された

そうすると
頭の中がすっとした

チェヨンに
もっともっとと
今思い出すと
顔が赤くなるようなことも
ねだった

甘えん坊はタンと一緒
ものすごく幸せだ
ウンスは目を閉じたまま
いつの間にか微笑んでいた


起きているのか?


耳に届く甘い声


うん
でも
まだ目をあけたくないの
夢なら覚めて欲しくないから


そうだな
だがそろそろ
起きねばならぬ
屋敷から王宮まで
道のりがあるからな


この屋敷にウンスを
来させたことを
幾分悔やみながら
チェヨンが言うと
ウンスはぱっと目を開け


そうだったわ
兵舎の隣じゃないもの
ヨンはもう行かなくちゃ


思い切り残念そうに
チェヨンを見つめた


目の前には
いつもと変わらぬ
穏やかなチェヨン
でも今朝はとびきり
甘い顔をしている
そんな気がした


やっぱり
離れたくない


ウンスはもう一度
布団に潜り込み
チェヨンに抱きつく
すぐに
チェヨンの重みを
からだに感じて
ウンスは目を閉じた


いいの?
出仕の時間よ


唇の上で聞いてみる


チュホンを飛ばす


ご飯食べる時間
なくなるわ


一食抜いても死にはせぬ
だがイムジャを
我慢したら
俺は死んでしまう


馬鹿


ウンスはチェヨンの首に
腕を回し
ぎゅっと抱き寄せ笑った

チェヨンの口づけが
降り注ぎ
からだの奥が熱くなっていく

ウンスはチェヨンに
すべてを委ねた
ウンスの甲高い声が
閨に響いている


しばらくして
布団から
起き上がれない
ウンスの額に
チェヨンはちゅっと
音を立てて口づけ
床を離れた

素早く身仕度を整えると


行って参る
なるべく早く帰るゆえ
おとなしゅうしておれ


ぐっすり眠る
タンの寝顔を見て
もう一度ウンスの唇に
口づけると
名残惜しそうに出て行った

からだに残る
チェヨンの
ぬくもりを抱きしめるように
ウンスはまた眠りに落ちた


そして
太陽が南中する頃
ヘジャの母
ソンオクが屋敷を訪れた


*******


『今日よりも明日もっと』
あなたと過ごす
まったりした時間
忘れていた女を思い出す



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