夕暮れ時
いつもより少し早めに
チェヨンが邸に戻って来た


あれ?どおしたの?


まだポムもいて
ウンスは不思議そうな顔をして
チェヨンを出迎えた


ウネのところへいくので
あろう?


うん


一緒に行こうと思うてな


え?うれしいけど
役目は大丈夫なの?
昨日だって雷光をお願いするのに
チュンソクさんに迷惑かけたし


ああ このところ
帰る暇もないくらい
忙しかったゆえ
たまにはよい
チュンソクも
もうそろそろ迎えに来るぞ


本当でございまするか?


ポムの目が生き生きと
輝いた


ああ


旦那様ったら 最近 
ちっとも構ってくれなくて
ポムは寂しいのでございまする


あらら そうなのね
チュンソクさんも忙しいから


ぷう


ポムは口をとんがらせた


うふふ うちも同じよ
年の瀬も迫って来たし
片を付けるお役目が
沢山あって
旦那様たちも大変なのよ


そうでするね~
でもおふたりは
いつも仲良しではありませぬか
だって・・・


ポムがウンスの首筋から
なかなか消えない印を見て
くすっと笑った


もう ポムったら


ウンスは困り顔だ
だが ウンスに
減らず口を叩いていたポムも
チュンソクが
迎えに来たとたん
嬉々とした顔で


では失礼いたしまする
チュンソク様~~
待ってくだされ~


と 邸を後にした


分かり易い子ね
あんなにチュンソクさんに
夢中で


ウンスがくくっと笑うと
後で控えていた
ヘジャがぶっと吹き出した
チェヨンもヘジャを見る


なによ ヘジャ


いえ なんでも
失礼致しました


言ってよ なんだか
気になるわよ


ならば・・・
失礼して
お二人ほど分かり易い方も
いらっしゃらないかと
お互いに夢中ですから


もう ヘジャったら


ウンスは頬に手を当てた


しょうがないじゃない
好きなんだもの


ウンスは聞こえないように
呟いた


何か言ったか?


べつに
出かける準備をしなくちゃ
ヘジャ タンのおくるみを
おしめも取り替えなくちゃ


若様もお連れに?


ええ そうしようかと


長いお時間で?


ううん
そんなでもないけど
一時はかかるわ


さきほど乳も飲みましたゆえ
若様は
ヘジャにお任せを


え?


折角ですので
おふたりでお出かけを


でも・・・泣いたら・・・


奥様 ヘジャにお任せを
夕餉には
牡蠣のたんと入った
海鮮汁をご用意してございます
お寒いでしょうから
お気をつけて
いってらっしゃいませ


ヘジャが頷いた


海鮮汁?楽しみだわ
でも本当にいいのかな?


ウンスはチェヨンの顔を見た
チェヨンが大きく頷いている


じゃあ お言葉に甘えて
行って来ようかな?


ウンスはタンを見た
自分の手をおもちゃのように
眺めたりしゃぶったりして
時折 あ~~う~~と
声を出し
機嫌良く遊んでいた


もう少ししたら 
眠ると思うけど?


はいたぶん
ですから ご心配なく
ごゆっくりお出かけ
くださいませ


うん 
ありがとう ヘジャ


ウンスの瞳は先ほどの
ポム以上に輝いた


それからウンスは
ふわふわの外套を着込んで
久しぶりに二人きりで
邸の外に出た


二人で出かけるのって
久しぶりだわ


出かけるといっても
典医寺ではないか?


チェヨンが目を細めて
ウンスを慈しむように見た


それでもいいの
でも
なんだか おかしな感じ
いっつも腕にいる
タンがいない


そうだな


チェヨンは腕を伸ばして
ウンスの手を握った
大きなチェヨンの手が
ウンスの華奢な指先を掴み
握りしめる


滑ると危ないゆえ


チェヨンのいい訳に
ふふっと笑って言った


手をつないで歩くのも
久しぶりだわ


ウンスは
手のひらを重ねあわせて
チェヨンの指に
しっかり指を絡め
わずかに雪が積もった道を
踏みしめるように歩き始めた

チェヨンがぎゅっと
握り返してくる

朝 離れたからだが
またくっつくみたいだと
ウンスはどきどきした
なんだかとってもうれしくて 
自然と笑みがこぼれた


タンには悪いけど
たまにはいいわよね
恋人気分も


ウンスのかわいい言い方に
王宮の庭園にも関わらず
チェヨンは引き寄せて
抱きしめた


ああ たまには構わぬ


ウンスの唇の上で
吐息を漏らすように
チェヨンが囁く


うん


外套のなかに閉じ込められて
目を閉じると
チェヨンの心臓の音が
とくんとくんと聞こえて来て
ウンスは幸せだった


ヨン・・・


甘えるような声で
チェヨンを呼んだ


なんだ?ウンスや?


うふふ


唇を重ねあわせて
口づけをかわす
外気の冷たさが吐く息を
真白に代える


寒いわね
でも こうしてると
あったかい


チェヨンの外套の中に
引き込まれ
チェヨンの体温で
暖まりながら
ウンスとチェヨンは
ゆっくりと歩いた
典医寺までのわずかな道が
今のふたりには
新鮮に思えた


ウネさん 
どうしているかしら?
アンジェ将軍に
甘えてくれていたらいいけど
我慢強いし
頑張り屋さんだから


そうだな
ウンスといい勝負だ


私と?


ああ 
俺には ウンスも
相当な頑張り屋に見えるぞ


そうかな?


ああ あんまり無茶するなよ
俺の心の臓がいくつあっても
足らぬから


はい 旦那様


しおらしく言うウンスを
また引き寄せて
口づけをかわす


うふふ これじゃあ
すぐそこの典医寺なのに
いつ着くか分かんないわ


ウンスが笑った


たまには 構わぬ


チェヨンもうれしそうだった


夕陽が二人を照らし
重なりあった長い影を
道に残していた


*******


『今日よりも明日もっと』
たまには恋人気分で
過ごしてみよう
いつもの景色も違って見える




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

あ この二人は
いつも恋人気分だった(・・;)

気がつくと
お話は ものすごく
スローペース m(_ _ )m
ゆるゆる
おつき合い下さいませ


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