深呼吸をした
ふ～っと息を吐き切る
それから頬をぱんと叩き
ウンスは病室に入った
ウンスさん？
ウネが弱々しく声を出す
お腹の痛みは収まった？
うん 少し
まだ痛いのね
ウンスは少し顔をしかめ
ウネとアンジェの顔を
見比べながら
ゆっくり切り出した
これは医者としての私の見解
それに
典医寺の方針でもあるの
うん
ウネさんは逆子がまだ
治ってないわ
それに双子の出産は高麗では
リスク・・・えっと
危険も高いでしょう
うん そうだね
それにね
転倒したことでお腹に衝撃が
あったでしょう？
え？あ？うん・・・
ウネは歯切れ悪く答えた
だからね
胎盤剥離の可能性もあるの
たいばん？なに？
赤ちゃんとねオンマを繋ぐ
胎盤って大切なものが
お腹の中ではがれ始めてる
かもしれないの
そうなると どうなるの？
十分な空気が赤ちゃんに
行かなくなるわ
実際
胎児の心音が弱っているの
猶予がないのよ
だからね
天界ではよくある手術法を
行いたいと思ってる
どんな？
お腹を切って
赤ちゃんを取り出すわ
これが今のウネさんと赤ちゃんに
一番安全な方法なのよ
アンジェが驚いたように
ウンスに言った
は？
医仙殿 何を言っている？
腹を割いて子を取り出すなど
間違って子まで切られたら
どうするのだ
それに 刀で切られる痛みは
某が一番よく知っている
ウネにそのような辛い想いを
させることなどできぬ
その方法はいくら医仙殿の
勧めでも出来ませぬ
将軍 お気持ちはわかります
でもこの方法が一番危険がないのよ
このままだと赤ちゃんは
助からない
ウネさんだっていつ危険になるか
もう よしてくれ
出来ないと言ったらできない
ウネにそんな想いを
させられるか
将軍 お願いです
私を信じて
医仙殿が腕のいい医者だと
いうことは よく知っています
ですが こればかりは
受け入れられません
お引き取りを
アンジェは言い張った
ウネはふっとため息をもらすと
アンジェ
今 心配しなきゃいけないのは
お腹の子供のことよ
そんなにむきになって
どうするの？
あたしなら平気
痛みには耐えられるし
子供を無事に生むことを
優先したいのよ
その為ならあたしは死んでも・・
何言うの
ウネさんを見殺しにする訳
ないでしょう？
母子ともに助けたいって
そう言ってるのよ
うん ありがと
ウンス先生にお任せします
ウネはウンスに
手を伸ばした
ウンスはその手をしっかりと
握りしめた
一緒にがんばりましょう
はい
ウネ！ お前に何かあったら
何かあったら
意外と心配性なんだから
あんたが どんと構えてないで
どうすんのよ
ウネが言った
では 手術の準備に入ります
サラがこまごまと
用意してくれるから
部屋で待っていてね
うん
準備が出来たら
呼びに来るから
ウネは頷いた
医仙殿
どうか どうか ウネを
ウネと子供達を助けてください
アンジェ将軍の悲痛な声が
ウンスに届き
ウンスは小さく頷いた
ウンスが一度 部屋に戻っると
チェヨンが立っていた
早かったのね
ウンスが微笑む
ああ
ポムがそっと部屋を出た
ウンスはチェヨンの
そばにとことこと
近寄ると額を
その胸にこつんと当てた
抱きしめて
震えが止まらないの
もし しくじったら
どうしようかって
手術をするのにこんなに
緊張してるのは初めてよ
チェヨンはウンスを
腕の中で抱きしめると
大丈夫だ イムジャ
イムジャならば
やり遂げられる
落ち着け
チェヨンはウンスの唇に
唇を重ねた
チェヨンの気がウンスに
送り込まれるようで
ウンスの心から
雲が晴れた
うん
ヨンも力を貸してね
ああ
タンは？
未だ寝ておる
そっか
さっき 乳を飲ませたから
まだ大丈夫かな？
ああ そうだな
ウンスとチェヨンは
並んで立ってタンを見つめた
かわいい我が子
ウネさんにも
絶対赤ちゃん抱かせるんだから
ウンスが気合いをいれて言うと
チェヨンが
その息だと笑った
ポム ポム
タンを見ていてね
部屋の外からポムが戻り
しっかりと頷いた
薬員のダへの声が
扉の向こうから聞こえた
医仙様 侍医様が
手術の準備が整ったと
仰せです
それから これを・・・
大護軍様にと
ありがとう
ヨン お役目は大丈夫？
ああ チュンソクに
頼んで来たゆえ
今しばらくは 大丈夫だ
よかった
じゃあ これを
チェヨンが渡されたのは
真っ白な医員の衣だった
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
きっと上手くいく
強い想いは
きっと天に通じるから
☆*ﾟ ゜ﾟ*☆*ﾟ ゜ﾟ*
いよいよ ウネが出産
高麗初の帝王切開
ウンスとヨンで
この難局を乗り越えて欲しい
お話しにまた
おつき合いくださいませ
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